表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
23.大空洞
417/683

6.煉獄の重兵

 ズベシャア。


 少女が派手に落ちてきた。コストイラ達は目を丸くして、互いの顔を見る。

 どうする? という問いの目線に、何も答えられない。


 少女はもぞもぞと体を動かしている。立ち上がろうとしているのだろう。何とか両手を胸の横につけ、もぞもぞと動く。俯せになっている体は、持ち上がることなく、寝返りすらうたない。

 少女は驚いた顔をしている。何がしたいのか分からないので、驚きたいのはこちら側だ。


『助けて』


 少女が声を出した。何人もの声が重なり合い、掠れたような声だ。平素暗闇で聞こえてきたら震え上がっていただろう。


 しかし、現在の姿が間抜けなので、あまり怖くない。


 エンドローゼがビビりながら少女に近づく。その肩に手を置いて、レイドが止めた。


「もしもの時、回復術士がいなくなるのはマズイ。私が行こう」


「え、あ、う」


 理解してしまった回復術士は何も言えない。


 レイドが少女のもとに寄る。


『助けて』


「何をしてほしいのだ」


『立たせて』


「フム」


 レイドは少し屈み、脇の下に手を入れ、立たせる。しかし、足に力が入らないのか、膝から崩れ落ちそうになる。


『た、立てない!?』


 顔を驚きに染め、必死にレイドにしがみつく。大丈夫だと判断したエンドローゼが少女に近づく。

 触診のため、ツンツンと少女の足をつつく。感覚がないのか、少女は反応しない。


 エンドローゼが回復魔法を掛けようと腕まくりをして、目を瞑った時、レイドが2人を掴んで投げた。


 何事かと思うと、奥から巨大な剣が見えた。


 剣が振り下ろされる。地面が抉れ、瓦礫が舞う。一緒になってレイドが空にいる。頭や体から血を噴き出して。


「レイドさん!」


「シキ、行け!」


 コストイラが指さして指示を出す。シキは命令を受け、跳躍する。空を飛ぶ岩に着地し、蹴り出して、レイドをキャッチする。そのまま、エンドローゼの目に着地した。


 エンドローゼが回復を始める。


「咄嗟に身を固めることができてよかった」


「s、しゃ、喋らないでください!」


「う、ウム」


 技を使うことができたことを誇ろうとすると、エンドローゼに叱られた。回復に関しては、いつだって真剣だ。

 レイドの脇腹は、半ばまで斬れていた。しかし、硬く変形しづらい鎧を身に着けていたおかげで、内臓が出てこなかった。


 急だったのに、よく反応できたと思う。これは誇れる部分だ。しかし、同時に後悔した。楯がこんなに柔らかくてどうする。


 レイドはいつまで経っても柔らかい楯のままだ。強き刃とは大違いだ。


 その強き刃、コストイラはソードジェネラルと対峙していた。5m近い体躯を包む鎧が、青い光を反射している。


 この灼熱の中、晒され続ける鎧はいかほどの熱を蓄えているのだろうか。触れたら皮膚が融けて癒着したという事態は避けたい。


 どう攻めるのかを考えていると、ソードジェネラルが突進してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ