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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
22.月の都
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10.豊かな海

 海は多くの水が張られている。その水は真上から見れば内部を見通すことができるが、斜めから見ればガラスのように反射する。


 ついに辿り着いた海は宇宙を反射していた。海は宇宙のような暗闇の色をしており、小さな星々の輝きまで投影していた。

 海に反映した星の光がアレン達の顔を照らしている。その幻想的な光景に瞳がきらきらする。


「綺麗」


 アレンが思わずといった風に呟く。コストイラがズボンのポケットに手を突っ込んで、アレンの顔を見る。


「お前ってきらきらした景色とか好きなのか?」


「え? どうなんでしょうね」


「果ての温泉前の大樹とか、雪景色とかそんな景色に目を奪われているよな」


「確かにそうですね。どうやら僕はそういう景色が好きみたいですね」


「オレは暗闇の方が好きだな。その中で輝く花火とか好き」


「意外ね。コストイラって花火とか見るのね」


「生涯2回しか見たことないけどな」


 コストイラが高笑いしながら、後頭部を掻いた。その声につられたのか、海からキラーシャークが出てきた。


 コストイラが刀を振るうと、キラーシャークが三枚おろしになって、地面に落ちた。


「鮫って美味しいの? というか、落ちたから食べられないんじゃない?」


「鮫はふわふわしていて美味しいとか、脂が多くてすごく柔らかいとか聞くな。食べたことないけど」


「淡泊。ザ・淡泊」


「脂」


 アストロはシキが鮫肉を食べるのを見て、げんなりしている。コストイラは育ての親から聞いた情報を披露すると、実際に食べたアシドが感想を述べる。シキは味を一言で表した。


「……生でいけるの?」


「……普通は食べないな」


 生で食べるには菌が多すぎて最悪死んでしまう。


「シキって体強いわよね」


「ん?」


「魚も肉も生で食べて平気なの?」


「僕なら死ねる自身があります」


「自信を持つな」


 シキはもっもッと鮫肉を噛みながら、首を捻る。


「父さんに食べさせられた」


「英才教育だな」


 シキの過去にアシドがドン引きしている。実は同じようなことがあって、生食ができてしまうエンドローゼが視線を逸らした。


「しかし、食べられるとしても、調理した方がいいのではないか? 生で食べるよりもよっぽど美味しいぞ」


「そ、そ、そ、そうですよー。や、焼いたり、煮込んだりした方がいいですって」


 レイドとエンドローゼの発言を受け、自身の手元の生肉とコストイラの手元の焼食を交互に見る。


「ん」


「じゃあ、や、焼きますね」


「ん」


 シキは焼くことを選んだ。これは一種の餌付けなのだろうか。エンドローゼは必死に餌にありつくシキの頭を撫でている。ペット感覚なのだろうか。シキは手を払うことなく、受け入れている。


『キュオーン』


 何かが啼いた。


 全員の動きが止まる。アレンとエンドローゼがワタワタし始めるが、アストロに拳骨を食らった。

 アレン達が頭を押さえる中、悲しげな声だけが響いた。

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