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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
22.月の都
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5.凍結している月面

「よし、出口だ!」


 コストイラが洞窟の出口を見つけ、はしゃぎだす。声には出していないが、エンドローゼもはしゃいでいる。

 アストロは走り出す2人に目を細めている。あんなにはしゃいだら怪我するかもしれないと思っていると、コストイラの姿が消えた。


「え?」


 アストロ達が出口に辿り着くと、エンドローゼがおたおたしていた。

 崖の下にコストイラがいた。


「大丈夫ですか?」


 アレンが覗き込もうとした時、足を滑らせた。


「だぶっ!?」


 アレンが顔面から着地した。鼻や歯茎もだが、首も痛い。首裏を押さえながら、鼻や口から出る血を手で押さえる。


「分かる。足、滑るよな」


 コストイラが足首を手で無理矢理回しながら発言する。


「コストイラさえ滑らせたんですか?」


「おう。これ、地面凍ってんぞ」


 コストイラが拳を岩に叩きつけると、表面が薄く割れた。アレンが手を取ると、それは、氷だった。


「いつの間にか息が白くなっているしな」


 コストイラが脆く擦りながら、わざとらしく息を吐いた。その息は確かに白い。アレンはぶるりと身を震わせて、自身の腕を擦った。ここまで寒いのは、日が当たっていないからだろう。


「大丈夫なの?」


 アストロ達も下りきったようだ。コストイラが立ち上がろうとすると、パタパタとエンドローゼが走ってきた。そして、いつものようにエンドローゼは足を滑らせて転んで、するすると滑ってきた。


「貴女、特に気を付けなさいって言わなかったっけ?」


「ひょ、ひょ、ひょへんああい」


「謝らないでよ。私が悪いみたいじゃない」


「ふぁい」


 アストロがエンドローゼの頬を引っ張りながら叱る。エンドローゼはアストロの手を借りて立ち上がり、自身の膝を叩くと、丁寧に腰を折った。


「地面が凍っているのね。ていうか、硬くない?」


 アストロがコツコツと靴で地面を叩く。そして、暗によく無事だったな、と言っている。コストイラは自分の頭に作られた瘤を触りながら、震える声でそうだな、と答えた。


 エンドローゼは布で鼻血を止め、アレンの頭から出ている血に目を向けた。


「無事じゃないわね」


「か、かか、回復しなきゃ!」


「貴女もね」


 自分のことを後回しにしがちなエンドローゼに釘を刺しておく。エンドローゼは分かっているのかいないのか、アレンの頭を回復させていった。





 ディーノイはアレン達から視線を切り、手で笠を作って先を見た。


『月の中枢まであと少し……、いや、まだあるな。1週間はかかるかもしれない。私を基準にしてはいけないな。前にもやらかしたからな』


 ディーノイはかつての雪の進軍事件を思い返しながら、目を細める。

 ディーノイの目にはよくわからない、珍しい服を着ている女が映っていた。その服はあのマレビトと同じ服だ。


『また殺さなくてはいけないかな』


 ディーノイは自身の剣の柄をトントンと叩いて、考えを続けた。

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