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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
22.月の都
397/683

1.夢と現の狭間

 アレンはわなわなと震えていた。これが貴族の食糧か。

 もう何日も連続で活動をしている勇者一行にとって、休息の時間はほとんどない。食事や睡眠時間であっても、気が休まることはない。いつ魔物や敵対者が襲撃してくるか分からないからだ。

 だからこそ、襲撃がないと分かっているときは、心から休むことができる。


 ナイト・クレアとフィリス・クレアは久しぶりに会えた兄と、その仲間をもてなすために、特別な時にしか出さない料理を提供していた。


 ビックホーンのステーキ。捕獲することが難しいほど強く、絶対数が少ないので、超高級品だ。貴族だからと言って、好きな時に食べられるわけではない。

 その肉はドラゴンやキラーシャークと違い柔らかく、食用家畜より硬い。グリフォンやオルトロスと同じく、旨い魔物ランキング上位に必ず入る。


 アレンは感動しすぎて涙を流している。


 ちなみに、アストロもアシドもコストイラも泣いた。





「じゃあね、兄上』


『……』


「あぁ、元気でな」


 クレア家の三兄弟は握手をしながら、ハグをした。他6人は誰も邪魔しない。邪魔するほど無粋ではない。


「そろそろ、行かせてもらおう」


「じゃあ』


『また』


 扉を開けて、勇者達は旅立った。





「……一旦戻んない?」


 あのコストイラが弱音を吐いている。正直、アレンも戻りたい。


 家屋を出たら一本道だった。その一本道が戻りたい原因である。なぜか紺やピンクなどの色が淡く輝いている。タイル生地のようになっていて、目がチカチカしてくる。色とりどりで、一つとして同じ色のタイルがない。色彩豊かな道が不安を煽ってくる。


 何でこんな道にしたんだ?


 ガシと曲がり角に指がかけられた。位置から考えて背丈は5mを超えて8mはありそうだ。

 ヌッと姿が現れる。予想通り身長は8mくらい。肌は淡紫色で、金髪を長く伸ばした女体。裸であり、豊かに膨らんだ胸に視線を向けると、金髪が大部分を隠していた。

 尻尾をくるりとくねらせると、翼を限界まで広げて、指をこちらに向けてきた。指に魔力が集まっていく。


「マズッ!」


 初手を取られてしまったので、カウンターを狙う。

 しかし、その前に攻撃をどうする?


 レイドが前に出た。楯を構えている。やはりこういう時のレイドは本当に頼りになる。

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