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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
21.月の裏側
387/683

9.頂上の見えない山

「ふっ! 」


 コストイラが刀を振るう。レッドジャイアントの右腕が斬り飛ばされる。


『グオ!!』


 左腕を大きく振るい、コストイラを殺そうとする。その左腕が爆発した。半ばまで露出した腕は空気抵抗に負け、メリメリと折れていき、千切れた。

 上段から刀を振り下ろされ、頭部にめり込む。圧力によってレッドジャイアントの左目がデロリと飛び出した。


 ドンと倒れる。


「よし」


 コストイラは刀を振り、オレンジの血を拭い取った。そして、アストロとグータッチをした。


 アシドが槍でトライヘッドの真ん中の頭を叩き潰した。頭蓋骨が砕かれ、脳が漏れ出る。両端の頭が嚙みつこうとした。

 その瞬間、視界が急激に下がった。顎が閉じない。自分の瞳に自分の体が映っている。あれ? いつの間に首を斬られた?


 シキが何事もなかったかのようにナイフの血を拭うと、トライヘッドに僅かに残っていた意識が落ちる。


「これってどこに向かってんだ? 」


 コストリアが刀の背を肩に置き、見渡している。そして、一行の全員の視線が一点に集中する。


「ま、これだよな」


 コストイラは自己完結させたが、アレンは処理しきれていない。


「ここって月なんですよね? この山の向こうにファン様がいる可能性だって」


「ねェだろ」


 言い終わる前にコストイラに突っ込まれた。おそらく気配や魔力を感じ取っているのだろう。アレンには分からない感覚だ。


「ふ、ふ、フォン様はか、かなり向こうにいますね。お、お、お、お仕事中でしょうね」


 エンドローゼが山の向こうを見ながら、手で傘を作り観察している。


 エンドローゼでさえ感じているのに、と落ち込みそうになるが、よくよく考えれば当たり前かもしれない。エンドローゼはフォンの加護があるからか、意外にスペックが高い。肉体には恵まれていないが、魔力面に関してはかなり恵まれている。逃げ足はかなり早い。

 どう見てもアレンよりもスペックが高い。改めてちょっと悲しくなった。やっぱり脱退した方がいいのではなかろうか。


「よし、登らなくても洞窟があるじゃないか」


 アレンが悩んでいる間に、コストイラが道を見つけた。






『この洞窟に複数の出入り口があって助かった。さ、奴らが処理できない魔物を対処するか』


 ディーノイが剣を抜いて、先回りするように走り出す。この洞窟は何度も通っているため、道を覚えている。


 ディーノイとしてはとある事情により、勇者一行に知られたくないことがある。それを隠すためのタイムアタックが始まっている。


『済まない。邪魔すんな』


 ディーノイの剣が黒いオーラを纏い、綺麗な三日月を描いた。

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