表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
3.魔法の森
38/683

2.魔物の盗賊団

 森の中を歩き始めてから3時間が経過していた。森の凸凹とした地形にようやく慣れてきたエンドローゼが皆に追いつきはじめた。森の中を歩く時は一番遅い人に合わせるのが鉄則だが、エンドローゼが早まったことで基礎速度が上がっていた。


「大丈夫か?荷物を持とうか?」


 レイドはエンドローゼを気遣い、声を掛ける。しかし、優しい言葉を言われる機会の少ないエンドローゼはドギマギしてしまう。


「でゅぁ、だ、だ、大丈夫でっしゅ!!?」


 噛み噛みである。アシドとアストロは口を手で覆い、でっしゅと笑う。


「あぅう~」


 顔は真っ赤である。その赤さは湯気さえ見えるのではないかという気がした。


「何やってるんですかね?」


「さぁ?」


 アレンとシキはその光景をジト目で見守る。


『オイ、お前らその荷物を置いていきな!』


『女もな!』


 明らかに山賊のようなことを言いながら、山刀を向け、木の陰から賊が現れる。後ろには山羊の頭をした長身の悪魔が立っていた。バフォメットは手にしていた大鎌を振り、闇の魔術を発射する。アレンは即座に対応しようとするが、目の前で魔術が爆発する。破裂した魔術が生み出した煙から賊2人が飛び出してくる。


 手慣れている。


 彼らの常套手段なのだろう。たいていの人はこれでビビってしまい負けてしまうのだろう。しかし、血気盛んな者が出張り出す。


『『ハッ??』』


 2人にはこんな経験がなかったのだろう。顔が驚愕に染まる。煙を抜けると炎を纏った男がいた。すれ違う際、足の腱を斬る。さしものコストイラも人を斬るのは躊躇したのだろうか。


 しかし、バフォメットに対してはそんな躊躇いはない。


 コストイラがバフォメットと対峙する。その隙にアレンはこっそりと賊に近付く。この賊は見た目では分からないが魔物である。アレンは解体用のナイフを抜く。


『クッ。我らシレスト盗賊団が負けるわけには。これは逃げるべきか」


 ……山賊かと思ったが、盗賊だったらしい。


 残しておいてもどうなるか分からない。相手は魔物だ、何か害をなすかもしれない。


 アレンは気付かれる前にバンデットの首裏へナイツを突き立てる。


『グ?』


 盗賊の一人が倒れたところ、もう一人が気付く。仲間も気付いたようだ。


「アレン?」


 アストロが静かに問いかける。アストロからはただの人殺しにしか見えないのだろう。エンドローゼはレイドの後ろに隠れ、震えている。アシドは我関せずを貫いている。


「えっと、こいつらは、その、信じてくれないかもしれないですけど」


「早く言いなさい」


「こいつらは」


「魔物」


 アレンが弁明しようとするが、言い訳が多くアストロに怒られる。意を決したところ、シキに先に言われる。シキの手には残った盗賊の頭があった。顔一つ変わっていない。


「これが魔物なの?」


「見た目じゃ分かんねェな」


 アストロは盗賊の首を凝視するが、見分けはつかない。


「は?おい」


 コストイラの苛立った声が聞こえ、そちらを見る。


「おい、え?誰もオレの活躍、誰も見てねェの?」


 コストイラの後ろでは、バフォメットが燃え上がっていた。コストイラには目立った外傷がない。余裕があったのだろう。しかし、誰も見ていなかった。


「…………すまん」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ