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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
20.シン・ジゴク
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12.血を吐く針山・血を吸う草原

 コストイラが草原であることを気遣い、炎を纏わない。そんな配慮を知らずにバルログが炎を拳に纏わせた。バルログの炎の拳が地面を舐めるように繰り出される。もうそこにレイド達はいなかった。その代わりドライアドがいる。


 鈍い音とともにドライアドの頭が後ろに飛ぶ。ドライアドが蔓を何本かで纏めたもので腹を叩く。


 アシドとアストロは攻撃を躊躇する。一瞬でも逃げ出したくなった。


 しかし、コストイラとシキは戦闘に参加した。


 バルログの拳は連撃である。2回目の拳はコストイラを狙う。コストイラは刀を拳に当てて、自分が回転した。コストイラが往なした拳を、シキがナイフで切った。そのまま切りながら肩まで登っていく。バルログの左手がばねのようになり、戻らなくなる。


 蔓を何本か束ねた鞭を振るう。コストイラが刀で弾こうとすると、ぐるりと巻き付いた。


「お?」


 コストイラが持ち上げられて投げ飛ばされた。向かっている先が針山だ。このままだと串刺しか?


 コストイラは手を伸ばし、針の先端を掴み、動きを止める。


「あっぶね」


 そこでようやくアシドとアストロが動きだした。アシドがドライアドのターゲットを取り、アストロは魔術を放っていく。


 コストイラは慎重に周りを見る。これ、どうやって降りようか?


 シキがバルログの肩を飛び降り、翼の片方を切り落とす。


『オオオオオオ!!』


 痛みによってバルログが暴れ出す。シキは上手く体を捻り、躱していった。そして、シキは着地の直前でナイフを振るう。バルログの脚が切られ、バランスを崩した。


 バルログが宙を手で掻きながら、ドライアドに突っ込んだ。ドライアドは蔓を編み込んだネットで受け止め、弾き返した。バルログは宙でもがくが、翼がないので体勢が整えられない。バルログの体が針山に突っ込んだ。


 バルログとコストイラの違いは体の重さだ。針がたくさん密集していると、圧力が分散して、刺さることがほとんどない。しかし、それは極度の圧力がかかっていない時だ。


 バルログが針山にかけた圧力はかなり強く、何本かの針をへし折りながら、背中に針が刺さった。


 バルログの血液が針を伝い、流れて草原を濡らす。


 アシドが槍を振るってドライアドの首を叩き、体勢を崩す。ドライアドの意識がアシドに向く。その瞬間、ドライアドの頭に魔術が浴びせられる。ドライアドの頭が燃えた。アシドは、暴れ狂うドライアドの首をもう一度叩く。そして、ドライアドの首をゴキリと折った。


「下りている時にバルログが来てビビったんだけど」


 コストイラが己の両腕を擦りながら合流してきた。すでに終わってから合流したからか、アストロが指を差して煽ってくる。コストイラはそれを甘んじて受け入れている。


 それでいいのか、コストイラ。



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