表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
20.シン・ジゴク
364/683

8.真・地獄街道

 アストロが後頭部を触る。フォンに叩かれたのは腹立たしいが、きっと何か触れてはいけない領域に入ってしまったのだろう。何でも治せる、と言って叩かれたので、何でもは治せんはボケェ!ということなのだろうか。


「い、い、痛むのなら回復しましょうか?」


 エンドローゼに心配されてしまった。大元凶は彼女な気がするが、きっと過保護なフォンの暴走だろう。アストロはエンドローゼに大丈夫だと、手を離す。


「大丈夫よ。何でもないから安心して。心配だって言うんなら、貴女の主神に早とちりするな、とでも言っておいて」


「は、はい」


 エンドローゼが申し訳なさそうにしているが、アストロの言う通り、気にする必要などない。計画も実行もフォンの仕業なのだから。


「マジでここどこなんだ」


 コストイラがヘビーアーマーを切った刀の手入れをしながら、溜息を吐いた。


 現在のアレン達は重度の迷子だ。別に目標物が見えなくなったわけではない。そもそも目標物がないのだから関係ない。


 今のコストイラの問いは、世界の中のどこなんだ?という意味だ。天界から奈落まで、上下はかなり限界近くまで行ったが、横が広すぎる。


 ここはよく分からない。海の底の城になった扉を開けただけなのだ。どこかだなんて把握していない。


「どこかとか分かんねェな。過ごしやすい気温になったことぐらいしか分かんねェな」


 アシドがヘブンズソードに刺していた槍を引き抜く。ヘブンズソードがビクンと痙攣して内部にあった血液が噴き出た。


 現在は先ほどまでの寒さと違い、間違いなく5度以上気温が上がっている。少し寒くなり始めた秋の中盤くらいの気温か。


 すでに地面からは雪が消えており、短い草花が生えてきている。柔らかい草原に腰を下ろし、休憩している。吹いてくる風に身を任せて、エンドローゼは気持ちよさそうに目を細めている。


 上からシキが降ってきた。エンドローゼは驚いて目を丸くする。


「街があった」


 シキの言葉に対して、一番最初に反応したのはコストイラだった。コストイラは膝を叩いて立ち上がり、キョロキョロしだした。まだ方向を教えてもらっていないのだから当然だろう。


「ん」


 シキが人差し指で方向を示す。コストイラは早速歩き出そうとして止まった。クルと顔だけで振り返る。


「早よ行くぞ」


「元気ね」


 アストロは立ち上がり、臀部についた草を落とす。アレンは気合を入れるように頬を叩いた。


 しばらく歩くと、篝火が見えた。もう少し近づいてみると、東方式の、木を多く使った門が見えてきた。


「お?ここは東方か?」


 コストイラが手で傘を作りながら様子を見る。門衛や監視塔がある。何人かの行商人や旅人が入っていく。同じような格好をしている。コストイラ達が行っても問題なさそうだ。


 その時、見覚えのある白髪が目に留まった。


「あれ、ヲルクィトゥか?」


「久しぶりに見たわね。最後に会ったのいつ?」


「えっと魔界、だっけ」


 見知った顔を見て少し安心感を覚えたが、そこでアレンが首を傾げた。そういえばヲルクィトゥって何者なの?


 当然のようにヲルクィトゥの名前を出したが、アレン達は実はそれ以上知らない。彼の出身がどこで役職が何で、どのような戦い方をするのか、一切知らない。


 それを考えて、アレンはブルりと身を震わせた。ヲルクィトゥはいったい何者だ?


 アレン達の視線の先、ヲルクィトゥは街に入っていった。

こっちも宣伝

https://ncode.syosetu.com/n8271ho/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ