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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
18.最果ての孤島
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16.謎施設の祠

 コストイラ達とシキ達のいる場所は、きちんとした扉で繋がっていた。近場の探検を終えると、ミノタウロスの肉を焼く準備が出来上がっていた。アレンは捌くのに使った解体用ナイフの血を拭う。


 その光景を見て、アシドがピクリと眉を上げた。


「そういえば探検している時に水の匂いがしたぞ。結構奥まで行きそうだったから帰ってきたけど」


「潮の匂い?」


「幽かかなぁ。多分汽水だ」


 汽水とは淡水と海水が混ざった水のことだ。ということは海が近いのだろう。


「肉肉。肉があればどんな怪我でも治るな」


「は?言ったわね」


「っ!?」


「あ、ごめんなさい。嘘です。お腹が満たされるだけです。はい」


 肉でテンションが上がったコストイラが冗句を言っただけなのに、アストロには詰め寄られ、エンドローゼにはそんなんですべての怪我でも治るわけねェだろ、と凄い形相で睨まれてしまった。コストイラは小さく縮こまり、もしょもしょと肉を食べ始めた。


「どうですか?これ、美味しいですか?」


 微妙に食事の手を止めながら、アレンは皆に意見を求める。


「……美味しくねェな。不味いわけもねェけど」


「うむ。何というか、調理法の問題があるかもしれんな。こう、何だ、筋を切っておくとか」


「肉叩きが必要だったわね。まぁ、そのレベルにあるのかも謎だけど」


 三者三様の答えが返ってくる。言い方が違うが、言いたいことは一つなのかもしれない。


「ミノタウロスは筋肉質だからな。筋肉の肥大化に血管が圧迫されて、張っちまうんだろ」


 肉を噛み千切れず苦戦しながら、コストイラが考察を述べる。


「まぁでも、洞窟だか遺跡だかの中で無計画で調達した食材で作ったんです。こんなものですよ」


「確かにな」


 疲れた顎に手を当てながら締めくくると、ブチッと肉を噛み千切ったコストイラが応じた。








 アシドが嗅いだ汽水の匂いを辿って進むことにした。アレンには全く分からないが、アシドは感じるらしい。アシドは自分のことを凡人だと評していたが、アレンには充分天才に見える。足がパーティ一速く、水の匂いを感じることができる嗅覚がある。


 少し空気が湿ってきた。それを感じ取れたのも、アレンが最後だ。


「だいぶ湿ってきたわね。水辺は近そうね」


「あぁ、かなり湿気がある。今の湿度は85%くらいありそうだな」


 どうやらアシドは肌感覚で湿度まで分かるらしい。


「湿度が高いってことは、やっぱりいるよな」


 アシドは槍で肩をトントン叩きながら、ワーアメーバを見つめる。アシドは肩慣らしとばかりに槍を振るった。


 飛び散るワーアメーバを見ながら、アレンは思った。アシドも天才だ。アシドが凡人だというのなら真の凡人は何と形容したらいいのだ。それ以下である者達は何と表したらいい。


「ワーアメーバ…………。こっから先は水棲の魔物が多く出てきてもおかしくないわね」


「あぁ、水辺はそれだけ近いぞ」


 この遺跡が何の場所なのか、プロではないアレン達には見当がつかない。何か神を祀ったり、神事を執り行ったりする施設に、水場が内部にあることは重要ではない。


 ではここは集合住宅のような人が住む場所かと言われれば疑問が残る。住めるような部屋が一つも見当たらない。


「何の施設何でしょうか?」


「さぁな。けどタイラントがあったあたり、もしかしたら何かの研究施設とか戦争の拠点とか、案外その辺かもな」


 アレンがキョロキョロしながらところどころ崩れている鉄の壁を触る。コストイラは問いに答えながらそこに巣食っているディープネレイドを切る。


 アレンは闘技場の一件以降戦いを諦めかけている。コストイラ達はそれを咎めることなどしない。アレンは別の分野で活躍してくれればいいからだ。まぁ、それが何の分野かは分からないが。


 サラサラと川が流れている。幅が1mあるかないかで、飛び越えることは可能だろう。


「祠だ」


 川を挟んで向こう岸には、歪な形をした祠があった。

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