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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
17.彼岸
313/683

16.右か左か

 ガシャンと壺が割れる音は、新たな魔物を呼び寄せた。10mほどある身長。真っ白な全身。淡く光る体には天使のような輪が見え、神々しさすら感じられる。下から3mほどの高さの位置には翼が生えている。赤と白の2色からなる仮面の眼の位置が少し光る。


 天秤が少しだけ傾く。本当に少しだけなのでなぜ傾いたのかが分からない。


『じゅ、☆○ザ□△ンミェ』


 何かしらの言語を発したのは分かるが、何かは分からない。コストイラの膝が曲がり、腰が落ちていく。踏ん張る足元の床が砕けて沈む。首も曲がり、血管がビキビキと浮かび上がり、何かに耐えている。


 アレンが矢をコストイラの上目掛けて放つ。ある境を超えた瞬間、矢がカツンと何かに当たって床に落ちた。何か見えない透明な壁がそこにできていた。コストイラがその壁に腕を添えて、馬鹿力で持ち上げる。


 首を縦にできたところで、前へと転がって範囲外に出る。出たところで目の前には10mの巨体が出る。すぐさま刀を構えるが、何もしてこない。


 天秤が左に傾く。


 アシドとシキも前衛に参戦する。アシドが槍を振るうが、魔法陣が出現して、魔物の身を護る。


 コストイラが刀を振るうと、こちらも魔法陣が防ぐ。シキのナイフも防いだ。魔法陣が砕けない。アレンが矢を同じ軌道で放つ。今度は何にも阻まれずに進む。矢にも魔法陣で防衛する。


 天秤が少し平衡状態に戻るが、まだ左側に傾いている。


 10mの巨体の魔物スケアリブラの後光の中に、防衛とは違う魔法陣が展開される。至近距離から繰り出された攻撃に持ち前の反射神経で対応していく。避け、弾き、斬り潰す。


 アレンは顔面に魔力塊をぶつけられながら、感心してしまう。よくあの近さで対処できるな。


 エンドローゼに向かった魔力弾をアストロが庇う。背中に当てられた勢いのまま、建物の窓を突き破った。


 天秤が右に傾く。


 スケアリブラの頭の輪が淡く光る。その瞬間、コストイラ達前衛が勢いよく吹き飛んだ。コストイラとアシドが壁に激突してめり込む。石造りの壁のはずなのにめり込むなんて、相当な威力のようだ。


 シキは反転して壁に着地しようとしたが、そこに壁がなかった。アストロの突き破った窓しかなく、足は何も踏めなかった。


「ん?」


 足に何の感触もないまま外に出てしまったことに、どこか不思議そうな声を出す。


 レイドとアレンは壁に激突したが、そこまでの距離がなかったが幸いしたのか、壁にめり込むことはなかった。その代わりアレンは耐久が低く、気絶してしまった。


 この場において立ち上がった者はレイドしかいない。


 天秤が完全に右に傾いている。


 レイドは無理に倒しに行って返り討ちに合うのを避け、護りに行くことを決めた。楯を構えるレイドにスケアリブラが瞳を輝かせた。


 何か分からない攻撃が再びやってくる。レイドの腰が落ちる。コストイラの時と同様に、踏ん張る足元が砕けて沈む。曲がった首にいくつもの青筋が浮かぶ。レイドは楯を落とし、見えない何かに手を添えて、力を込める。


 ズンと重みが増した。コストイラの受けた重みの2倍近くの重量になる。スケアリブラの後ろに出現した魔法陣から魔法弾が発射される。


 天秤が傾いた。

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