表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
16.天界
294/683

9.宮殿の騎士王

 顔に魔術を浴び、背をのけぞらせる。騎士として名乗りを上げようとして、顔を上げたらこれだ。これだから野蛮な冒険者は嫌なんだ。


 煙の隙間からこちらに向かってくる青年が見えた。


 向こうよりもこちらにリーチがあることを利用して、脳漿が付着したままの剣を無造作に振るう。青年は下から迫る剣を槍で防ぐが止まらない。


 アシドは一日ぶり2回目の空中散歩を果たした。


 ショーケーレは上体を戻す勢いを利用し、ロングソードを振るう。コストイラは身を屈めて剣を躱す。コストイラは刀を振るい、灰色の鎧を切りつける。灰色の鎧は黒色の鎧よりも上等なのか、傷一つついていない。


 ショーケーレは剣を振ったままの姿勢でタックルしてくる。但し、ショーケーレの身長が高すぎて肩に当たらず、膝に当たってしまう。


 鼻血が出て、歯が1,2本折れるが、骨は大丈夫そうだ。背を反らしてバク転して着地する。左手で片鼻を押さえ、息を吐いて鼻の通りをよくする。


 キンとショーケーレの兜が矢を弾く。刺さっていないのは当然として、注意を引くためのものなのだろう矢が、効果を発揮していない。ショーケーレの標的は最初からコストイラだ。


 ショーケーレが剣を振るう。コストイラは跳んで、剣を足場にして炎を纏う刀を叩きつける。煤をつけるが、傷はついていない。右肩に乗っているコストイラを掴もうとするが、上から一本の線が落ちてきた。


 落下も利用した突きが左の小手を凹ませる。火花が散り、火の粉が舞う。


 ショーケーレが左手を裏ビンタのように動かし、アシドを叩き飛ばす。アシドは一直線に塀へと突っ込む。勢いが強すぎて、塀の向こう側まで行ってしまった。


 コストイラは未だに炎を振っていた。ただ幾本もの煤が描かれていくだけだ。ショーケーレが肩を跳ね上げると、釣られてコストイラが宙に出される。


 矢や魔術がショーケーレを襲うが、ショーケーレはまったく気にしない。


 ゆえに浮いたコストイラを左手が迫る。コストイラは間に刀を入れるが、ショーケーレはそれごと殴り飛ばす。コストイラはアシド以上の威力で塀へと突っ込み、止まることなくゴロゴロと転がっていく。


「どうする?」


「コストイラは根性で攻撃力を上げるタイプだから先にアシドの方ね」


「よし分かった」


 レイドはエンドローゼを抱え、塀の上をアシドの方へと走る。ショーケーレがそれを見逃すはずがなく、剣を掲げてジャンプする。それを邪魔するのはシキだ。


 2人程犠牲を出したが、シキには動きを見切れた。ショーケーレはジャンプした状態であったため、対処の方法が限られている。そして、何か対処する前にシキが攻撃を加える。


 ただのタックルだが、ショーケーレの軌道をずらすことに成功する。行き場を失う左手を蹴り、早々に射程外へと離脱する。


 ショーケーレは無理な体勢のまま剣を振るう。


「ピィ!?」


 塀に当たらず、空振りに合わるが、エンドローゼは肝を冷やしてレイドに強く抱き着く。


『く』


 悔しそうに声を出したショーケーレがドンと地面に着地する。レイドはショーケーレに狙われるように塀の向こうに消える。


 中庭には、5mの巨体を持つ”世話焼き”の隊長ショーケーレと勇者シキが、一対一で対峙していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ