表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
15.奈落
281/683

28.―理の試練―

 エンドローゼには恐いものがある。それは仲間を失うことである。逆に言えばそれ以外に恐いものがないのだ。


 よく悲鳴を上げたり、レイドやアストロにしがみついたりしているが、それは驚愕から来るもので恐怖から来るものではない。


 それゆえに一対一の戦いにおいて、臆することがない。


 闘技場の中心に立つ前にアストロがローブを剥がせた。いつも着ていたローブだったので、取り戻そうとするが、アストロが譲らない。


「アンタがローブに巻き込まれて倒れる未来しか見えないわ」


 取り戻そうとするエンドローゼが止まり、ぎこちない動きで闘技場に入っていく。


 観客席からは、エンドローゼの俯き具合が凄く、髪の毛が顔を隠しているようにしか見えない。皆覗き込もうとして、ガヤを飛ばす暇すらない。ビクビクしたままのエンドローゼに、野次は飛ばした方がいいのだろうか。


 敵であるマインドフレアも開始していいのか分からない。カードを回すことなく1枚を引き抜く。魔力の塊をエンドローゼに向け放つと、エンドローゼは一目散に逃げだした。魔力の塊を何発も放つが、エンドローゼはそれを上回る逃げ足で回避していく。


 全体攻撃をしたくてもテクニカルポイントがない。5mの巨体を前のめりにし、エンドローゼを掴もうとする。


「ピィッ!?」


 エンドローゼの進行方向が直角に曲がり、マインドフレアの股下を抜ける。


 逃げる。逃げる。逃げ続ける。戦っているからこそ逃げる。しかし、今ここには一人を除いて敵を倒してくれる者はいない。


 その一人はもちろんエンドローゼだ。逃げ続けるエンドローゼもいつかは向き合わなければならない。敵を討つという対応だけは、今だけは向き合わなければならない。


 エンドローゼがマインドフレアに両手を向ける。今までこの両手からは人を癒す光しか出されたことがない。


 手から月の光にも似た、星の光にも似た魔力が放たれた。その柔らかな光はゆっくりとマインドフレアに向かい、そしてぶつかった。


『あやつめ』


 どこかで声がしたような気がした。しわがれた声が大気に溶ける。声を出したのはどこの魔王なのか、誰の耳にも届かない。


 半径2㎝程の光の珠なのだから、とマインドフレアは甘んじて受け入れた。しかし、それがいけなかった。その魔力塊は大きさに合わない威力を有しており、5m、320㎏を超える体格をしている巨体が浮かび上がり、壁に激突した。


 そのままマインドフレアは気絶した。




「え、あ、しょ、勝者、エンドローゼ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ