表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
12.世界樹
213/683

8.墓の遺跡

 大穴を繋ぐ地下道と度重なる爆発。他にも様々な要因が重なり、砂の床は抜けた。


 砂に呑まれる。デジャヴだ。確か、彼岸へと向かう道の途中で流砂に呑まれたんだ。


 砂から抜け、砂丘にぶつかる。斜めになっているのか、転がり滑っていく。


 怖い。


 光源がなく、真っ暗なので手の先さえも見えない。終わりも見えない。恐い。いつまで滑り落ちればいいんだ?


 あぁ、我々はいつも落ちる。








「ごほっ!げは、げー、ハッハッ、ガッ!」


 意識が戻るとともに、思い切り咳き込む。落ち着くと、先ほどまでの状況を思い出し、口を塞ぐ。


 サンドウォームという音や振動に反応する砂の怪物に襲われていた。アレン達はそのサンドウォームの縄張り内の砂に落ちたのだ。まだ縄張り内の可能性が高い。


「平気だぞ」


 コストイラはアレンの手首を掴み、下ろさせる。


「平気?」


「あぁ、ここは砂の中じゃなくて、岩の道の上だ」


「岩の道」


 アレン達は呟くと辺りを見渡した。床も壁も天井も岩だ。丁寧に切られ、均され、一定の規格に基づいた人工の岩だ。そして何より気になるのは、


「門」


 洞窟を刳り抜いて造られた人工的なスペース。その入り口を縁取る彫刻。


「あぁ、今はアシドとシキとレイドが軽く調査している」


「えぇ、そうねって言っている間に戻ってきたようね」


 コストイラが捕捉し、アストロも加える。そういえばどうしてこの2人が残っているのだろう。


「何でコストイラさんが残っているんですか?」


「護衛。アストロがこんなだしな」


「これは私のせいではない」


 アストロは顔いっぱいに不機嫌を表現している。アストロの右腕には、エンドローゼが引っ付いた状態で気絶していた。無理矢理引き剥がすことができず、放置しているようだ。


 洞窟からアシド達が出てくる。


「軽く中を見てきたけど、結構ボロボロだぜ。戦闘は避けたが、ワ―アメーバがいたよ。湿度が高くなってる証拠だな。この2つのせいで進めない道がたくさんあった。出口は見つかってない。多分オレ達が見れたのはほんの一部だ。迷路みたいになってっから骨が折れるぜ」


「マジかよ」


 アシドの報告を聞くと、コストイラは舌を出して不快感を表す。しかし、いくら嫌でも進まなければならない。後ろは砂地、そのサンドウォームの縄張りだ。


「ボロボロ?」


 アストロが眉根を寄せる。


「強い衝撃を加えると、崩れる?」


「ひェ」


 強い衝撃を与えそうなアストロとコストイラが嫌そうな顔をする。レイドは恐いくらいの真顔だ。


「ん?ウェ?ここは?」


 エンドローゼが寝ぼけ眼を擦りながら周りを見る。エンドローゼは寝起きが良く、理解が早い。


「ご、ご、ごめんなさい」


「言葉はいらないから活躍で返しなさい」


「は、はい」


 アストロが右手をグーパーさせている。血を通わせている。


「んじゃま、行きますか」


「ええ」


 全員が立ち上がり、勇ましく門を抜ける。








 確かに言われた通りボロボロだ。触れるのもはばかられる。


「思っていた以上にボロボロで引いてんだけど」


「私本格的にお荷物と化したわ。荷物持ちやりましょうか?」


 コストイラは口の端を引く付かせ、アストロは今までにない以上に卑屈になる。


「そんなこと言ってんなよ。ほら、ワ―アメーバだぞ」


『コロロロ』


 アシドが指さす先に言葉通りにワ―アメーバがいる。


「ここ狭いし、おまえがやれ」


「おいおい、投げ槍じゃね?」


「槍はお前のもんだろ」


 アシドは返答することなく、ワ―アメーバに槍を向ける。一撃で仕留めなければ被害が出てしまう。最速の突きは的確にワ―アメーバの核を貫いた。


「よし、よくやった。先に進むぞ」


「お前は何もしてねェだろ」


 アシドは呆れるが、それ以上は何も言わない。アシドの報告通り中は迷路のようになっている。


「どこに行けばいいんだ」


「こっちさっき来なかった?」


「また分かれ道か」


 すでに遺跡内で2時間が経過していた。そして、アレン達は少し広いところに着いた。


「ここは綺麗ですね」


「何かの結界が張られてるわね」


「あれ」


 皆が周りに注目する中、シキは一つの台座を指さす。台座の上には腕輪やベルトが置いてある。


「何だ?墓か?」


 コストイラは前に出る。コストイラの属するシラスタ教は故人や墓が神聖視されている。祈りを捧げようとするコストイラの前で、腕輪が動き始める。


 カシャカシャと音を立てながらそれは浮き、衣服が人の形をし始める。サークレットや冠が頭部を作り、腕輪が腕の長さを示す。ベルトは腰の位置を作成し、緋色のマントが身長を表す。その姿はまるで王族のようで、意匠が整った瞬間、輪郭が生まれ、人が現れる。半透明な体、オレンジの瞳。


 これは霊体である。


 微妙に5㎝ほど浮いている霊は口を開く。


『なぜここにきた?この凶暴で崩壊した土地を鎮めに来たのか?この土地を清めようと多くの者がやってきたが、ここに暮らした者はすべて呑み込まれてしまった』


 男の霊がこちらに手を向ける。


『君達は何しに来た。いや、君達も清めに来たのだろう』


「あの腕輪、テクニカルポイントが詰まっているわ」


 掌から魔法陣が出現し、頭上斜め上から隕石が降ってくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ