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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
12.世界樹
207/683

2.**の洞窟

 洞窟は、流水や地熱によってできる。人工的ではない場合は、大体のがこれだ。


 しかし、この近くには水場がない。大昔の話だとすれば成立するが、レイベルスの話を本当だとすれば、600~700年前には、この地形のようだ。有史1000年を考えれば最大400年あるが、その期間内にこれほどの大きさができるのだろうか。


 地熱はどうだろう。そこまでの熱を発生させる場所がどこかにあるのだろうか。


 そう話すと、アストロは魔物が掘ったんじゃない?と返してきた。


「魔物って穴を掘るんですかね」


「流水が作ったなら、もっと綺麗よ。行きしか考えなかったんじゃない?」


「ふむ」


 アレンが凸凹の激しい地面を触る。


「お前、ちょっと機嫌がいいな」


「私?」


 自分が言われると終わってなかったのか、アストロが自身に指を向ける。コストイラはそうだと言うように大きく頷く。


「広いからじゃない?」


「ん?」


「気兼ねなく魔術が放てるじゃない」


 言われて改めて洞窟内を見渡す。縦8m横10m。確かに広い。


「巻き込むなよ」


「当たり前じゃない」


 オーン。オーン。


 獣の声が響いた。


「これは、オルトロスか」


「森にいなかった分、洞窟内で出るのね」


 洞窟の奥からオルトロスが出てくる。しかも、3匹。


「よっしゃ、行くぜ」


 コストイラは刀を鞘から抜き去り、サメのような笑みを浮かべる。アストロは電撃を出し、手前の一体に当てる。雷は伝播していき、3匹ともに電撃魔術が当たり、動きが止まる。コストイラは、オルトロスの2つの頭の間に刀を入れ込み、真っ二つに切る。


 オルトロスは仲間の仇敵であるコストイラを睨み、牙を剥く。アシドはオルトロスの頭の一つを上から突き刺す。動きを縫い留めると、残りの1匹をシキが抑える。シキはオルトロスの口の内に白瓏石をねじ込み、下顎を蹴り飛ばす。白瓏石に強い衝撃が加わり、爆発が起きる。頭の一つが飛び、もう片方の頭は片側の皮が剥がれ、肉が飛び出している。


 縫い留められている1匹の片方の頭をコストイラが切り飛ばす。コストイラが刀を振り、血を飛ばすと、鞘に収める。


「最初の頃と比べて、余裕が出てきたな」


「その余裕、足元掬われるわよ」


「………はい」


 アストロにジト目で見られ、コストイラの鼻が長くなる前に折られる。アレンとしてはそれよりも気になることがある。


「シキさん、大丈夫ですか?」


「ん?」


「爆発の近くにいましたけど」


「大丈夫」


 表情を一切変えず、返答される。大丈夫ならばいいのだが、こういうタイプの人は隠して溜めるからな。


「白瓏石なんてどこで買い込んだんですか?」


「買い取り先の付かなかった屑石を譲ってもらった」


「………そうですか」


 いつの間にかそんな交渉をしていたのか。


「まだいる」


 シキの一言に、洞窟の奥を見ると、鉄板をいくつも繋いで作ったような体の魔物だ。


『ハッ』


 舌を出し、息を吐く魔物は竜種特有の圧迫感を出していた。こいつは竜種だろう。大きさは2mくらいか。竜種の魔物は1匹でも脅威とされているが、ワイバーンのように群れるものもいる。


 こいつらは後者のようだ。4匹もいる。オルトロスよりも多いではないか。


 瞳に魔力を込める。名前はロックドラゴン。やはり竜種か。属性は地。そこで魔力を切る。


 ロックドラゴンたちが急に雄叫びを上げる。


『オオオオオオオオ!!』


 2匹が駆けだす。狙いはアレン。2足で走る竜の前にレイドが立ち塞がる。


『オオ!!』


 短く鳴く一番後ろの竜は司令塔だろうか。なんにせよ、その声に呼応するように地面から岩が出現し、楯を叩く。さらに突進の追撃。


 しかし、レイドはこれ抑え込む。


 もう1匹は回り込むように方向転換する。その行く手を阻むようにアシドが立つ。ロックドラゴンは逃げるように方向をさらに変える。


「足で勝てると思ってんのかよ」


 アシドはすぐに追いつき、横を位置取り、回転するように槍を振るい、腹を叩く。ロックドラゴンはゴロゴロと転がり、立つと同時に走り出す。その前に、アシドが追いつく。


『オオッ!!』


 追撃を入れる前に岩が迫りだし、アシドの脇腹を捉える。アストロが炎を撃ち出すが、迫りだす岩に阻まれる。司令塔と思しき個体の前は、守るように立つ個体もいる。


『オオッ!!』


「うおっ!」


 密かに近づこうとするコストイラの前に岩が迫り出る。顔面スレスレだ。


「隠密とか慣れねェことはするもんじゃねェな」


 スレスレで当たった鼻を擦りながらぼやく。コストイラは結局当たってしまったのだ。

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