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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
1.始まりの里
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19.墓場の亡霊

「お湯浴びたい」


 アストロのぼやきに皆が全力で同意する。


 泥のせいで皮が突っ張っているし、髪が軋み、何よりボロボロと剥がれ落ちて気持ち悪い。お湯などと贅沢は言わないから、この泥を落としたい。


「残念ながら、その前に墓場についてしまいましたね」


 それに、とアレンが続ける。


「魔物も見えますし」


 アレンが向ける視線の先に、炎のような揺らめく何かが舞っていた。


「何だあれ」


 アシドが手で傘を作り何かを見つめる。図鑑か何かで見た記憶があるが思い出せない。


「東方には墓場に現れるあぁいう浮遊している生き物をタマシイっていう習慣があるらしいぜ」


「へー」


「で、対処法は?」


「すまん。知らね」


「おい」


 コストイラは博識になり切れず、アストロにゲシゲシと蹴られている。普段はあまり痛そうにはしないが、今回は脛に当たったようで顔を顰めている。


 炎のような何かは3つが集まり、円を描くようにくるくると回り始める。


「何だ?」


 レイドが呟くと、何かの中心から、球状の闇の魔力が出現する。それはものすごい速度で射出される。


 急速の攻撃に慌てて対処する。あまりにも不格好な回避にアレンとエンドローゼは足を滑らせ、アレンは腰を打ち付けエンドローゼは顔面から着地する。


『クスクス』


「誰ですか?今笑ったの?」


 全員が首を横に振る。え、嘘。誰もいないの?笑い声は幻聴だった?


「ん」


 アストロは一点を指さす。その先にいるのはタマシイのような魔物。え?あれ笑うの?


 アレンは弓矢でタマシイを狙う。が、当たらない。ふよふよと漂っているので、狙いが定まらず何本も外す。次の行動が読めず、先撃ちもできない。


「えぇ」


 アストロの落胆の声を聴き、肩を落とす。


 面倒臭げに溜め息を吐く。次なんか考えたくない。次があるのか?え?僕、殺されるかもしれない。


 アストロは大雑把に狙う。


 アストロは炎の塔を建設する。








「今ので終わり?」


 アストロの一言がアレンの心を抉る。その終わりにもできなかったアレンは肩身の狭い思いをする。


「お前、矢全然当たんなくなってない?」


「ゔ」


 さらに心が抉られる。とても気にしているところを平然と言ってくる。


 アレンは顔を覆った。エンドローゼがオロオロし始める。コストイラとアシド、アストロは面倒なことをしたと後悔する。


「えっと、魔物はこれで終わり?」


「い、いえ、話によると、ここで現れる魔物はゾンビという話だったので」


 アレンは顔を覆ったまま、正直に答える。きょろきょろと辺りを見渡す。そのゾンビはどこにもいない。じゃあ。どこに?


 皆がとっとと帰りたいので、さらりと見渡す。


 警戒が強まる。


 シキが口を開く。


「下」


 言われて、皆が下を向く。


 地面がうっすらと盛り上がり、ボコりと手が現れる。エンドローゼの足元から出てきた手は、エンドローゼの足首を摑んだ。

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