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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
10.境目果て
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3.凍てつき始める雪原

 アレン達はすでに疲労が溜まっていた。過度な寒さは、いつも以上に体力を削っていた。


 アレン達は寒さを舐めていた。この疲労は想定よりも遅い移動にさせており、アレンには焦りを生んでいた。元より体力の低いエンドローゼは、すでに息を切らしていた。


 しかし、長時間の休憩はできない。体が凍えてしまうからだ。エンドローゼには申し訳ないが、もう少し頑張ってもらわなければならない。レイドはエンドローゼの荷物を持ってやる。エンドローゼの眼は半分虚ろだ。早いとこ休憩をはさみたいが、休めるところにまだ着けていない。


「来た」


 シキがナイフを抜く。目の前に現れたのは先ほども見た緑牛が2体。緑牛は1体が丸盾を前にして、もう1体はその後ろでハンマーを構えている。分かり易いコンビネーションだ。コストイラが丸盾を覗き込みながら後ろのバトルオックスとの間に入る。


 ちらつく雪の中、視界で敵を見据えていることにアレンは信じることができない。察知能力がここまで高いのか、この人たち。ちなみにアレンは技を使用しなければ把握できない。


 コストイラが急に止まった。緑牛は目を見開いた。止まると思っていなかったのだろう。コストイラの横からアシドとシキが飛び出してくる。2人は後ろのハンマーを構えた緑牛に向かう。


『ブモッ!?』


 バトルオックスは咄嗟にハンマーを振る。ハンマーは空を薙ぐ。ハンマーの面は、雪の結晶しかついていない。アシドはバトルオックスの頭上を超えるように跳んで躱す。


 シキは振り抜かれたハンマーを持つ右手首を刺し、神経を断ち切る。


『ブムゥ!?』


 バトルオックスは再度振ろうと力を込めようとするが、裏に回ったアシドが背を刺す。


 しかし、バトルオックスは倒れない。バトルオックスは迷ってしまった。どちらから対処すべきか、と考えてしまった。魔物らしく何も考えず、両者いっぺんに片付けてしまえばよかったのだ。シキのナイフが首元を捉え、引き裂いた。


『ブモォオオ!!』


 丸盾を構えていた緑牛が啼いた。仲間が倒されたのだ。仲間の敵を討とうと吠えた。しかし、バトルオックスはコストイラに背を向けていた。向けてはいけない相手に向けていた。


「いい度胸だっ!!オラァンッ!!」


 震える体に鞭を打ち、コストイラはバトルオックスを真っ二つにする。


「だぁっ!動いても寒いままだっ!クソッ!!」


 白い息を撒きながら、腕を擦っている。ずっと苛立っているが、大丈夫なのだろうか。血管も切れるんじゃなかろうか。


 風が強くなっていく。


 雪も強くなっていく。


 視界も埋まっていく。

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