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【完結済み】メグルユメ  作者: sugar
7.旧地獄
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5.魔王領への道

 その日も、コストイラは刀を振っていた。


「おい、いつかみたいに手合わせしてやろうか?」


 後ろから声がした。コストイラは振り返らない。


「いらん」


「………なんでだよ」


 顔すら合わせようともしないコストイラへの苛つき、いらないと言われたことに対しての哀しみを声に乗せて答える。コストイラも分かったがそれを表に出さないように努める。コストイラは刀を振る手を止め、左胸のペンダントに触れる。


「そういや氷の子供のやつと会ってから変だぜ」


「あの存在は精霊だ。あれでも大人だぞ。オレ達よりは年上だ」


「マジかよ。よく分かるな」


 アシドは驚きながらコストイラの背を見る。コストイラは刀を収めると汗だくになり、湯気を出しながらアシドの横を通り過ぎる。


「…戻ろう。今日は出発だろう」


「そうだな」


 アシドはコストイラの背を見ながら、コストイラには聞こえない声で呟く。


「何で女物のペンダントなんてつけてんだ?」








 魔王城に行くには、防衛戦線を超えていかなくてはならない。門番やレリアの話では戦線の基地は欲深い男がいるらしい。女に眼がなく金にがめつい、欲しいものは人から奪い取るような男らしい。そんな傍若無人で傲慢な男だが、防衛の要でありその基地には欠かせない人物らしい。なんでも砦の王とも呼ばれているらしい。


 砦までは一本道だ。迷うことはないだろう。歩いていて魔物に出会う。今までは普通に思っていたが改めて考えてみれば、不思議に思う。魔王軍防衛戦線基地があるにもかかわらず、なぜその内側にも魔物が現れるのだろうか。魔物と魔王は別?魔王を倒しても魔物はどうにもならない?


 前からエキドナが現れた。防衛前線の近くであるのに関わらず魔物がオレンジの目を輝かせながら向かってくる。エキドナがナイフを投げつけてくる。シキがナイフを弾く。蛇の下半身をばねのようにし、一気に距離を縮める。エキドナの両手にはナイフがある。さっき投げた筈なのにいつの間に両手に装備したのだろうか。エキドナのレベルは38。明らかにこちらよりも高い。しかし、格上よりも速いスピードでシキはエキドナを翻弄していく。エキドナのナイフが当たらない。直情的で直線的な魔物と違い、こちらは技と駆け引きで戦っている。


 シキが一気に畳みかける。どさりと頭をなくしたエキドナが倒れる。シキはナイフを振り血を飛ばすと、布で油脂を拭う。


 なぜ魔物は襲ってくるのだろうか。眼を爛々と輝かせ、本能のままに攻撃してくる印象がある。野生の生き物であれば間違いなく襲わない場面でも襲ってくる。だんだん強くなっているのも不思議だ。誰かが意図的に配置したような。そんな印象を受ける。


「おい、アレン。行くぞ」


 アシドに急かされ、アレンが考えを中断する。遠くには砦が見えてきた。

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