第九章 モメンタム 8
「どうする?」
ひかるのLINEに、葉月からのメッセージが届いた。
「本当に申し訳ございませんでした。友人夫婦の頼みとはいえ、とんでもないことをしてしまいました。どうにかして謝らせてほしくて、アリスさんにメッセージをさせていただきました。青山さんのご友人ですよね。連絡を取らせていただけませんか」
何度も読み返す。どうしよう。祐子先生には「肥後夫妻とは会わない方がいい」と制された。しかし……。
「ちょっと向井さんに相談してみる。なすびには『青山に聞いておきます』とだけ言っといてほしい」
「分かった」
「直接話す、か……そうだなあ……青山さんはどうしたいの?」
「炎上当時は腹が立ったし怖かったけど、今となってはハルモニアに腹が立ってて、なすびに関しては、むしろ一度話を聞いてみたい気がしてて」
「実は俺も、ちょっと話は聞いてみたい」
「ですよね。でも変にこじれたらまた……」
「俺が代理で通話しようか。青山さんはそれを聞いてればいい。スマホのスピーカーホンでなすびと話しつつ、タブレットで青山さんと音声を共有」
「お願いしてもいいですか? 映画とかドラマならここが対決シーンなんでしょうけど、自分に起こってみると『いざ決戦!』とかそういう感じじゃないんですね」
「そんなもんだろうね。とりあえず新しいアカウントを作って、それを通話用に使おう」
なすびへの質問項目の確認やある程度の気持ちの準備もしたい。何より今は、祐子先生に提出する時系列のまとめも必要だ。周囲が手伝ってくれているとはいえ、まだまだ日数はかかるだろう。そこでひかるは今から二週間後、九月十四日になすびと話すことにした。こちらは代理の向井が話す。その旨(向井の本名以外)、アリスからなすびへと伝えられた。




