小説家と主人公
少しでも面白いって感じてくれたら嬉しいです。
「あー、次どうしようかな?」
とある小説家は悩んでいた。次の場面が思い浮かばないのだ。
「んー、ここで戦わせるのは良いけど、どうやって魔王を倒すんだよ。レベル差99でどうやって勝つんだよ」
とある小説家の主人公はレベルが1から全く上がらない主人公がレベル100の魔王を倒すと言うお話だ。
「あるのは、知識だけ。武器も魔力も何も無い。なんとか、四天王は倒せたけど、んー、よし。今日は寝て明日考えよう。明日の自分頼んだぞ!」
その日小説家は変な夢を見た。
「おーい! 俺の創造主! 俺は気付いてるんだからな!! 悪いが俺は逃げる!! ハーハッハッハッ!! 逃げるが勝ちなんだよ!!」
「ハッ!? なんだ今の? 夢? まぁ、いいか。朝ごはん食べたら小説書くか」
朝ごはんを食べ終えたので、小説を書くためにPCの前に座ると違和感に気付いた。
「あれ? なんか進んでる?」
昨日書き終えたところから少し進んでるのだ。
「なんだ、これ、夢で言われたのが文字になってる」
その文を凝視していると、いきなりカーソルが動き出した。
「!?」
「俺は逃げる。あんなやつにどうやって勝つんだよ!? もう気付いてるんだぞ!! 俺をあそこで殺す気だっただろ!? 俺は死にたく無いんでね。さらば!!」
なんだこれ? ハッキングか?
そう思ったが、それは無い。昔からPCを使っていてハッキングては絶対に開けられないパスワードを作ったんだ。そう簡単にハッキングなんてされない。ハッキングの標的にされても、こんな面倒なパスワードをこじ開けるなんて時間の無駄だ。
「まぁ、消すか」
今書かれた文字を消して新しく書こうとすると、またもや文字が勝手に現れた。
「ちょっと待て!! 創造主よ、さっきの話聞いてたか? 俺は逃げたいんだよ!! 俺を逃してくれ!!」
そこで、小説家は一つの可能性に気が付いた。そして、そのページに文字を打ち出した。
「もしかして、お前は俺の小説の主人公か?」
「そうだよ。やっと気付いたのか。だったら、早く俺を魔王城から逃してくれよ」
「いや無理」
「なんでだよ!!」
「だって、この先魔王倒した後に魔神が来るんだよ。それも倒さないと、今までの伏線を回収しないといけないんだよ」
「そんなの俺に関係あるか!? 俺は死にたく無いんだよ!!」
「大丈夫だって、死なないから」
「……え? 俺死なないの?」
「死なないよ。ただ、一回だけ蘇生されるけど」
「おいてめぇ!! 死んでんじゃねぇか!! 蘇生されるってなんだよ!! 俺は一回も死にたく無いんだよ!!」
「あははー、頑張ってね」
「あい、どこ行く気だ!?」
「ここだと書けなさそうだから、別の所で書いてコピペしてくるよ」
「ちょっと待て、それは、それはダメだ!!」
そして、そのページを一旦閉じで別のサイトでさっきの続きを書いて来た。
「お待たせ」
「ぐすん」
「え? 泣いてるの?」
「……泣くよ。泣くに決まってるじゃん」
「ごめんごめん、ちゃんと続き書いてきたから許して」
「ちゃんと、魔王倒したんだよね」
「それは……お楽しみに!」
「ちょ、創造主!! 創造主様!! まって、やめ、やめてくれーーーーー!!!!!」