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1話

トントン

「ひな~?話があるんだけど、ちょっといい?」

そう呼びかけるのは、私の母、遠藤(えんどう) 夏美(なつみ)だ。


話の内容について大体の見当はついている。


うちは母子家庭だ。

かといって、別に不幸だと思ったことはないし、生活に困っているわけでもない。

ただ、母が再婚しないのはおそらく私のせいだというのは幼いながらもわかっていた。

今はもう一人でもだいたい何とかなるし、生活費さえくれれば生きていける。


そういうこともあってかはわからないが、最近の母は家を留守にすることが多かった。

最初は仕事かと思っていたが、仕事にしてはおしゃれをしすぎていると思ったのもあって、だれか付き合っている人がいるのだと思っていた。

今呼び出されたのは、きっと再婚の話だろう。

いつから付き合っていたのかは知らないが、私が気づいてから半年は経っていたからいつ話をされるのかとずっと待っていた。


「いきなりどうしたの?」

いかにも何も知りません、というような感じで聞く。

「あのね、ひなに合わせたい人がいるの。

その人とは少し前からお付き合いをさせていただいていて、その人と再婚も前向きに考えていきたいとのお話をいただいたの。」


きた。

もう返す言葉は決まっている。


「よかったね!!私は大賛成だよ!!

それで、私のお父さんになる人はどんな人なの?」

「ありがとう、ひな!

このひとで、とてもやさしい人なんだけど、直接会ってほしいの。

でもね、お母さんはひなが嫌なら再婚はしないから。

だから、無理だけはしないでね?」


お母さんが、やっと幸せになれそうなのに、どうして私が断れるのだろうか。

何があっても絶対に成功させてみせる。


「全然嫌じゃないよ!

しかも、写真めっちゃイケメンじゃん!

もしかして、お母さん意外と面食い?」


ちょっとにやにやしながら言うと、


「そ、そんなんじゃないわよ!

確かにかっこいいけど、、、。じゃなくてそうだ!!

あ、あとね、もうひとつあるんだけど、、、。」

「ん?どうかしたの?」


てっきりこれで終わりだと思っていた私は面食らってしまった。


「実は、相手の方にもお子さんがいらっしゃるのよ。

ひなよりも3つ年上の男の子なんだけど、大丈夫?」


うわ、お兄ちゃんができるのかぁ、、、。

お兄ちゃん欲しかったからうれしいなぁ。


「全然大丈夫だよ!!

仲良くするし、新しいお義父さんとお義兄さんに会えるの楽しみにしてる!!」

「そ、そう??ならよかったわ!

急で悪いんだけど、明日の夜に顔合わせがてら一緒にお食事をするから、寄り道とかせずにまっすぐ帰ってきてね!」

「は~い。

じゃあもう寝るね!おやすみなさい!」

「おやすみ。」


うん、お兄ちゃんできるのは予想外だったけど、まあ何とかなるよね。

とりあえず、明日は何とか好印象を抱いてもらって、早く再婚させてあげよう。

それが一番の親孝行だと思うから、、、。

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