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転生  作者: まつ
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07

魔法の無い世界に転生して07


 騎士団のともだちと、美人で名高い少女をデートに誘えるか、賭けをした。次々に若い騎士は作戦を考え彼女に言い寄るが、次々にふられていく。確かに魅力的な少女だな。少女は言い寄る男たちに魅力ある微笑みとともに、機知溢れる会話を楽しみながら、ふっていく。とうとう、次はトムの番になった。全員が物陰から固唾を飲んで見守っている。トムが勝てば掛け金は総取りである。トムは手品の応用を考えている。全体的な方向性を考え、意識をトムの望む方向性にもっていく。以外なことに、彼女から挨拶してきた。こんにちは、きみで10人目だよ、きみはどんな口説き文句を用意してきたの。トムは苦笑した。彼女から隠れている騎士団の仲間が丸見えだからだ。馬鹿な奴らだな。


 君の瞳が魅力的だと、みんなが言うから、確かめに来たんだよ。トムはなにもない空間からバラの花を取り出して、少女にささげる。少女はびっくりして、目を大きく見開く。胸元に突きつけられた花束を思わず受けとる。いつのまにか、赤バラは白バラになっている。「まあ、あなた、魔法使い?」「ここにすわっていいかい。」少女はどぎまぎして、声もでない。状況を把握できなくなった生物は隙だらけだ。人間でも魔獸でも同じだ。少女は完全にトムのコントロール下にはいった。「君は今日から僕の大事な友達だ。ここで毎日、紅茶を飲もうね。」


 この日からしばらく、トムは街角で女性を口説く練習をした。手品をつかわず、会話、ゼスチャー、目の動きだけで、女性はトムに好意以上の感情をいだくようになる。ひとりの例外もなかった。トムは気分をよくして、こんどは騎士団の治安部隊の取り調べ官をする。騎士団の医師兼調理人であるトムは、団の中での役職は、自由自在だ。その国の諜報部員を捕まえて取り調べをする。拷問も許可されているが、トムは尋問だけですべてを解決して見ようと思う。これは魔獸と対峙する前の練習である。前回の魔獸との対峙は、死ぬ思いをしたが、今度は負けられない。人間との対峙はその前の練習である。トムの武器は手品。手品とは会話、ゼスチャー、目線、雰囲気だけでお客を自由自在に操る能力のことである。魔獸とはうまくいったとは言えなかった。トムは魔獸との対峙の前に、人間を自在にあつかえなければ、勝ち目があるとは、思えなかった。少なくとも女性ではうまくいった。今度は、其の国のスパイ相手に練習である。


 相手の口許を見る。目線を見る、表情筋のひとつひとつをみすごさない。相手に警戒感をいだかれないようにする。相手の証言を引き出すのでなく、この男が何を考えているのか、まず思考を読んで、自在に操ってみたいと思う。yes、noで答えられる質問を繰り返し、相手の深層に入り込んでゆく。矛盾を突いていく。自分の言葉に齟齬があることに気がつき、焦りが産まれる。知らないうちに、男はすべてを、トムに語っていた。


 いくつか、やってみたいものがあったが、大きな取引の商談をしてみたかった。海千山千の商人が、トムの言葉ひとつで、どこまで言いなりになるのか、トムは考えただけでワクワクする。トムは団長と必要な資材の調達のための打ち合わせをする。まず言葉巧みに団長を籠絡する。すべての取引をトム主導で行うことに決定した。異例のことである。


 トムは商談に先立ち、だいたいの見積もりと資金を用意してある。目標金額を決定して、それを少しでも下回れば、成功だと思っている。しかしトムの目論みはちがう。海千山千の商人に自分の手品を応用した能力がどこまで通用するか、試してみたいのだ。


 商館の応接室に通された。団長、トムの二人に、商会の責任者と担当者が商談を開始する。団長にとってもはじめての大口の発注である。トムは最初から場の雰囲気を支配した。トムの能力はすでに集団睡眠術に近いものになっている。トム主導で取引は進み、問題なく契約は締結される予定であった。しかしこの取引をそのまま契約すれば、商人側に多大な損害が発生することにトムは気がついていた。今回一回だけの取引ならそれでも良いだろう。トムは問題を指摘して、商人に恩を売った。最初からトムの手のひらの取引であった。その異常さにだれも気がつかないままであった。トムもこれ以上やってはいけないと思った。最初の目論見通りの金額で、契約はなった。商人はトムを信義もあり有能な人間と思った。そして深く感謝した。


 城塞都市にもどってから、トムは大きなイベントで総司会を務めた。手品の応用の人間相手の最後の訓練である。トムのおかげで、会場を熱気の渦と化した。完全な集団睡眠術である。

イベントの責任者はトムの能力を高く評価した。


 そしていまトムは魔獸の森にいる。トムの目の前には子牛ほどもある魔獸灰色狼がいる。トムはこの狼を調教する積もりでいる。出来るわけがない。普通の人はそう思う。トムは出来ると思っている。

 


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