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転生  作者: まつ
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05

魔法の無い世界に転生して05


 トムは街の道路の人だかりに興味をもった。「なんでしょうか、姉さん。」エリカも興味を持つ。「見にゆきましょう。」手品師だった。手元にもったカードをきり、観客の求める数字をたちどころに出す。カードさばきも見事だった。なにもない空間から鳩をだす。魔法かとトムは最初考えた。神のけんぞくたるトムは神の領域で、魔法素子マナによる初級魔法を教えられている。「魔法ではないわ、手品よ、それにしても見事。」女神のとろける顔をみる。トムは目をこらして手品師をみた。巧みな話術、観客の意識を自在に操るゼスチャー、習ってみたいとトムは思った。


 トムは決意したような顔で姉のほうに、顔をむける。「姉さん、手品を習おう、あれは役にたつよ。」エリカはまじまじとトムに顔をむける。「手品師になるの?」「なってもよい、しかし魔獸や人との戦いでも、精神魔法のような効果があると思う。一瞬の催眠効果、一瞬の勘違い、一瞬の思い込み、武術ににているよ。」「わかった、私も習う。」


 街角の手品師はなかば強引にエリカとトムの家に誘われた。手品師は困惑した様子で三人の家にいる。「これから3ヶ月間、手品を教えて欲しい。報酬は出す。」「商売にするのですか?」「そうなるかもしれないが、あなたと商売でかち合うことはない。」「いつからはじめますか。」「いまからだ。」手品師はトムとエリカにゼスチャーや目線のつかいかた、話術のつかいかたなどを教えた。自動人形をふくめた3人は真剣にみる。


 手品師は内心驚愕した。3人は手品の天才ではないかと思った。「面白い!面白いぞ!君たちは手品師に向いているよ。」彼はこれ程の才能ある若者をしらなかった。トムも手品の技術をひとつひとつ習得していくことに喜びを感じた。トムは習得した技術をすぐに応用することを考える。自分であたらしい手品を作ることを日課にした。カード技術を毎日練習した。カードでいかさまを考えるのも、おもしろかった。


 トムはとばくじょうに出入りするようになった。とばくじょうの男たちのギラギラした雰囲気に飲まれることもなく、手品の練習のつもりで、いかさまをする。場が殺気だってくる。トムは自分の儲けた分を、不自然にならない程度に、男たちに返していく。長丁場の賭け事で、トムの収支はゼロになった。トムのおかげで損をした人間はいない。


 トムは騎士団と仲が良い。鍛冶場で仕事をしている関係、医師として野戦病院に参加する関係で、ほとんどの人間を知っている。トムは騎士団の訓練に参加させてもらう。はげしい打ち合いに、トムは相手にトムの次の一手をゼスチャー、目線、声で予想させる。相手が思った通りの動きをすることに、面白いと思った。


 トムは夕食の準備をしている。魔獸と対峙してもう2時間、この魔獸がトムの夕食になる。いままで手品の応用で対人戦では、なんとか勝ちをひろえるようになった。魔獸相手でも通用するかと、もう2時間頑張っているが、状況は追い詰められるいっぽうだ。「まいったな、このままでは、僕が魔獸の夕御飯になってしまう。」


 とつぜんトムは口から火を吐く。魔法ではない。手品だ。一瞬魔獸は炎に意識をむける。トムは黒い布を地面すれすれに魔獸に投げる。それがトムの影が襲ってきたように魔獸は錯覚した。「こんちくしょう、死にやがれ!」トムは決死の攻撃を仕掛けた。大型ナイフが魔獸の頸動脈を切り裂いた。「よかった、死ぬかと思った。」トムはしばらく動けなかった。やがて飛び起きて、魔獸の解体にはいる。ゆっくりしてはいられない。いつ、血の臭いにつらえて、他の魔獸が近寄ってくるかわからない。


 火が野獣の肉を焙る。肉汁がしたたり落ちる。香辛料をかけて肉をくらう。今日の肉は特別うまかった。このあとの戦いに、和妻わづま術、胡蝶の舞を、戦いにいかせないか、肉を食いながらトムは考える。


 二回戦が始まった。先程の魔獸の血につられて、魔獸が集まる。トムは用意した紙の蝶を取りだし、扇子で空間に浮かべる。蝶が魔獸の真上をゆっくりと飛び回る。魔獸は頭上の飛ぶ蝶にいらつき、腕で追い払おうとする、瞬間、トムから影が走って、魔獸を四方から襲う。魔獸が影を追い払おうと、もがくと、影は跡形もなく消え失せている。意識をトムに向けようとすると、今度は己の影が襲って来ようとする。蝶が銀ぷんを撒き散らしながら、頭上を飛び回る。魔獸が蝶に意識を向けると、おのれの影が、わきおこり、鋭い爪で腹を突き破る。魔獸は恐怖した。


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