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転生  作者: まつ
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魔法のない世界に転生して12


 「やあ、ごくろうさん。」あらかじめトムによって魔獸は一匹しか確認できなかったことが知らされていたので、斥候隊は余裕で魔獸を退治することが出来た。「ずいぶん、魔獸が少ないですね。どこにいってしまたのか?」トムも丁度、テントを張り終わり、騎士団の人々に話しかける。騎士は魔獸の肉をトムに渡す。「今夜のごちそうですね。」さっそく築いたこんろに火を興し、鉄鍋でいためる。狼がおおきな鴨をくわえてくる。「魚もとれるならいいのですが」「魔獸がいなくなっても、これからが大変だ。」


 「このあたりは、もう領地にはいっていますか?」トムはこの湖がきにいった。蓼ノ湖というらしい。「ここは王都の直轄地だ。」トムは浜辺を指差して、「砂鉄が取れます。鍛冶をやるのに最適です。」「新しい産業を起こさないといけないな。」「農業はしばらくだめだ。」魔獸がいないことにほっとしながらも、一様に元気がない。「今回の調査はどこまでいくのですか。」「できれば城塞都市まで行きたいね。」トムもいままで住んでいたところがどうなっているのか興味があった。

 調査隊隊長は、全員を集めて、これからの計画の全体像をかたる。「とにかく、辺境候の領地内部がどのような状況になっているのか調べる。調べたことは逐次王都の辺境候に知らせる。王都では、いまは我々に同情的だ。しかしいつまで続くか分からない。」トムにもわかる。いますぐ、再建のための拠点を欲しいのだ。王都を追い出される前に。「トム、手をあげてどうしたのですか?」女性隊員の疑問に、「質問していいですか?」全員がトムを見る。「農業が長期間に渡って、期待出来ないのなら、生活の基本は何に置くのですか。全員で鍛冶で産業を起こすか、おおきな湖で魚の養殖をするか、特殊な植物を育てるか、あるていど将来のビジョンをもって調査したほうが良いと思います。」


 トムの提案は報告書に記載することになった。先ず、拠点となる街の姿を見なければならない。わずか半年だが森を覆った蔦類は煩雑に絡み合い、街道の地表も変形させていた。とてもこれが半年のブランクの結果とは思えない。野獣が全く見当たらない。「野生動物はいませんね。」「食いつくしたんだろう。」


 トムはときどき、王都の姉に連絡を取る。身体能力由来の超能力によるものだが、神のけんぞくだからこそ、出来るわざである。姉に土壌に問題があっても、強く早く育つ野菜の候補を、研究してくれる事を、お願いした。妹のスージーが、やる気を出している。スージーは回りから赤ん坊と見られているが、神のけんぞくとなった時点で、永遠の生命となる。時間は意味が無い。本人が望めば赤ん坊でも、農業の第一人者の研究員になる。年齢もいくらでも作り替えることが出来る。トム自信も、前世で自然災害で、からだを失ってから、女神エリカによって召喚されるまで、肉体の消失時を、10歳、神の領域での修行の時間が5年、そして湖の世界での、せいかつ、そのような足し算は、けんぞくしんには無意味なのだ。


 スージーは赤ん坊の肉体を、17歳のからだに一時的に変化させた。自動人形にさまざまな植物の性質を学び、トムの求めることに、答えたくって努力する。もちろんまだ離乳食になったばかりのからだ。一時的な変装のようなものである。

 エリカは辺境候の領地からの難民の治療をで、手一杯である。そろそろ王都にも居ずらくなってくる。エリカが辺境候の屋敷に、定期診察にいく。ずいぶん小柄になった人物が窓辺にたっている。老いてまだ毅然とした立ち姿であるが、ひとまわりも、ふたまわりも小さくなっている。「おお、先生、来てくれましたか。」老人は深い苦悩の色を気にしながら、エリカに声をかける。


 エリカは治療を行ったあとで、老人に植物の種子を見せた。エリカは老人の目を深いまなざしで、じーっと見つめる。それからひとこと、ひとこと、よく聞き取れる澄んだ声で、話しかける。調査隊がとうはつ、基地として使う予定だった、街に入ったようです。街は無かったそうです。「なかった?」老人は驚きの声をあげた。「石造りの家も、道路の敷石もなにもかも。」エリカが神威で老人に生命力をおくる。


 「でも、魔獸の数は以前より少なくなっています。」老人はエリカを見つめる。「私は医師として参加したトムの私的見解をのべています。調査隊の報告はもう少し遅れると思います。」エリカは部屋を暗くして、サンプルの土壌を見せた。「これは以前採取した畑の土です。もうひとつは、今回採取した、同じ場所の土です。暗くすると判りますが、魔獸が蹂躙した土壌は、わずかにひかりをおびてます。毒素です。この土壌で作った野菜は毒を持ちます。」老人の顔に絶望の色が見てとれる。


 「でも手があります。魔獸の毒素を含んだ土壌は、ある種の植物を活性化します。」エリカは先程の種子をみせる。老人は何もいわず、エリカの声を聞く。「この種子は汚染された土壌の毒素を集めて成長します。そして集めた毒素によって、短期間に枯れます。」老人は口をはさむ。「この植物を使って、汚染した土壌を正常にするのか?」「そうです、これからやらなければならない事が多くあります。」エリカは老人をはげます。


 

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