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転生  作者: まつ
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女神エリカとけんぞくトムの物語

魔法のない世界に転生して01


 女神エリカの世界に突然召喚されてトムは戸惑った。直前の記憶が走馬灯のように思い出される。自然災害によって突然目の前が真っ白になった。母親が必死になって自分をかばってくれたのだけは覚えている。いま自分は不思議な空間にいる。怖い、ここはどこだろう?周囲を見渡す。トムはさきほどより、何者かの視線を感じる。それはけして自分を害するものでないことはわかる。自分をいくつしみ、守ろうとしている。


 どのくらいの時間がたったのだろうか?わずか1秒後かもしえない。一年の月日が経っているのかもしれない。少年には時間の感覚が曖昧になっている。視線をいつも感じている。孤独感はない。少年は自分にむけて話しかける。「もうずいぶん歩いている気がする。どこか横になれるところがないかな。」すこし歩くと一段高くなっている場所があった。洞窟状の入り口があり、なかに入ると乾いていて、心地よい。寝るのに調度よく、短い草が生えていた。少年は無防備に横になり、すぐに寝息をたてる。


 暗闇からトムと同じくらいの少女がトムを覗いている。少女はおずおずとトムの黒髪をなぜる、「ごめんね、トム。」少女はトムの頬に自分の頬をふれさす。少女は孤独に耐えかねて、自然災害にあったトムをいのちの消滅する直前に、この場所に召喚したのだ。自分には他のいのちをもてあそぶ権利はない。しかしトムが遭遇した自然災害はトムの肉体を消滅させた。自分の自由にできるいのちではなかったが、消滅するなら欲しかった。神すらも一人では生きていけない。うちなる孤独の感情にあがらいがたく、トムを禁忌をもっててにいれた。


 「あぁ、トム、トム、わたしのトム。」少女はからだをトムに重ね合わせて、トムを壊れ物のように、その存在が消えないように、確かめるように、抱き締める。それは決して性的なものではない、自分一人ではもう耐えきれない。少女がトムを知ったのは偶然だった。ある星の自然災害、その前からうつつに見る夢のように、トムの生活するさまが瞬間、瞬間みえるときがあった。少女はトムに興味をもった。そして欲しいと思った。このような弟がいたらどんなに良いか。少女も崩壊寸前だったのだ。


 少女はトムが目を覚ます前に消えた。怖かったのだ、もし受け入れてもらえなかったらどうしよう、少女は自分にじゅくじゅたる思いを持つ。少女は少年に強靭な肉体をあたえた。この世界で生きていくに十分な能力を与えた。少女は少年のそばに食べ物と飲み物を置いた。「トム、どうかわたしといきて。」


 女神エリカはそれから毎日トムのため、食べ物を運んだ。それはトムのためと言うより自分のためだった。自分にやるべき仕事ができたのが嬉しかった。しかしある日トムに食事を運んでいたら、少女はトムに気がつかれた。寝台に食事を運んで去ろうとした瞬間トムによって手首をつかまれた。少女はびっくりした。少年と少女はみつめあう。どのくらいの時間がたっただろうか、「きみがぼくに食事を運んでくれたの。」「はい。」少女はいきなり少年にだきつかれた。強いほうようだった。逃げることはできなかった。少年の体温がエリかに伝わってくる。熱い、生きている、それがエリカの感想だった。


 「名前聞いていい。」「もちろん、わたしの名前はエリカ。」「ここはどこだかわかる?ぼくはどうしてここに居るのだろう?」エリカはちょっといいよどんだ。なんと説明すればよいのだろうか。

 「あなたは死んだの。もとの世界で自然災害にあって肉体が滅びた。でも私はこの世界でたったひとりだった。あなたの肉体が滅び去ったとき、いのちの核だけこちらに来てもらったの。」少女は言いにくそうに説明をする。「わたしは神、わたしにはあなたが必要だった。あなたにこちらに来てもらわなければ、孤独でわたしは生きていけなかった。」少女は声なく泣き出した。トムは少女がなき終わるまで待った。

 「わたしと一緒では嫌?」少女の声と表情には切羽つまったものがあった。少年は断れば、この少女が壊れると思った。

 「きみがいて良かった。僕ひとりならさみしかった。」少女は抱きついてきた。


 「女神エリカ様、これからなんと名前を呼べばよろしいですか?」「わたしのほうが年上、お姉さんと呼びなさい。」「ではお姉さん、これからどのように暮らしていけば良いのですか?」少女はトムの前で少し気取って見せてから、「いま私たちの暮らしている空間は神の領域と呼ばれている場所。二人だけで暮らしていくならここで生活していけば良い。でも人間たちに混じって生活していくなら、人間の生活している星に転生すればよい。その場合私たちは人間と同じような寿命になって生活しないと、おかしくなる。」「この姿で、若いまま生活できるのですか?」「神と神のけんぞくは永遠にいきられる、姿を変えて年齢も偽れる。」「死ぬことはないのですか?」「死ぬことはある、しかしこの場所に転移するだけだ、」「もし、他の星でバラバラになったら?」「トムと姉さんはけんぞく契約でむすばれている、かならず会える、」


 二人は他の世界で暮らしていけるように、多くの技術をこの領域で学んだ。「トム、多くの世界で魔法がある。まほうそしマナによる魔法が一般的だ。基本魔法と、精神魔法を覚えていこう。あと格闘術の訓練をするよ。」教師役として女神は宝物庫にある自動人形に多くの技をインストールして実技を覚えさせた。自動人形も体格を自由に変化させることができる。女神もトムも夢中になった。ひとつひとつの技を、どちらが先に習得するか競争である。


 数年の学習によって基礎的なことは覚えた。名人、達人までは達していないが、そこそこには戦えるところまでは仕上げたつもりだ。女神エリカとトムと教師役の自動人形一体の3人で、人間のいる世界に転移した。


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