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枕の下に 希望の上に(5)

掃除屋ソナー

嘆きの丘の下には

白骨遺体のゴミ捨て場

黒く淀むから

二重のゴム手袋も

溶けてしまうよ

異質な遺失物

こんなに散らかって

誰かが

片付けなくちゃいけない

放ったらかしにするだけで

人は此処に

集まってしまうから




僕は掃除屋

自転車乗って

現場へと向かう

行き先には

悲鳴の跡が刻まれて

あの液体に

直接

触れないようにする

壊れた物達

選別して

袋の中へと放り込む

あの雰囲気は

こうやって

無かった事になる

掃除の後には

綺麗な場所として

存在するようになるのさ




封じ込められている

あの森へ

掃除に行ってくれと言われた

あの森では

人が消えてしまう

そうさせる物があるからか

よくは分からないけれど

片付けの依頼は

やり遂げるから

掃除屋って言えるんだ




森の中は

歪な枝と歪んだ花

魔女が住むには

お似合いな雰囲気

散らばる白い骨は

一つの方向を向いて

その先に何かがある事を

教えてくれていた




僕は掃除屋

その先のゴミを

全て片付ける

あのただ綺麗なだけの球体に

縋ろうとした生き物へ

溜め息をついた

厚手のゴム手袋を三重にして

鋼鉄のハンマーで

砕いていく

頭部は

完全装備だから

破片なんか気にしない

あってはならない物は

根こそぎ

捨てなきゃいけない

無かった事にして

綺麗な場所として

存在するようにするのさ




生き物の掃除屋は

沢山居る

バクテリアに蛆に

沢山居るんだ

当人は

ただ捕食しているだけだが

僕達にとっては

掃除をしてくれていると思える

綺麗な形なんだ

僕達の居場所くらい

僕達で掃除できた方が

良いんだけど

手を借りてしまう

発見が

一番早いからかもしれないけど




僕は掃除屋

南に北に

自転車に乗って行く

最後の形は

それぞれ違う

あの形で

きっとこうだったのだろうと

余計な事まで

考えてしまうけれど

全てが終わるなら

全てが終わる




僕は掃除屋

東に西に

自転車に乗って行く

無かった事になれば

無かったのだと

納得していく

人は全てを

覚えていられない

人は新しい物を

作り出して

生きている動物だから

無かった事にして

綺麗な場所として

存在するようにするのさ

僕等が住んでいる家の下で

一千年前に

誰かが死んでいたとしても

誰も気にしないように





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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱりヤクザ映画にでてくるような、お掃除屋さんでしょうか。 森ってところがリアルだな、、、 普通海っていいません?海は駄目らしいですが。
2017/12/10 14:51 退会済み
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