第1章・第1話
短いうえにグロ注意。お食事中の方は特に。
意識が覚醒していく。
光を感じ、ゆっくりと目蓋を開ける。
「知らないてんじょ…突き抜けるような青空ですね、快晴快晴、大変結構!」
言ってみたかったセリフをマッハで潰された、泣きたい。
ふむ、どうやら寝っ転がっているようだ。
勢いをつけて起き上がり、伸びをする。
「ん、んー!ん?なんか違和感…て、そうか。キャラクリした外見になってるんだっけ」
自身の両手を確認し、予想が間違っていないことを確認する。ゴッツイ。
そう言えば、最後に見た目の確認しようと思ってたけど忘れてたんだよなぁ……大丈夫かな。
「でも確認しようにも鏡なんて無いしなぁ、どっか水場でもあれば映して見れるかな?」
見た目の確認だけじゃなく、水の確保は大事だし。
川か湖でも探しましょ。
と、ここで辺りをグルリと見回す。
「おぉ、俺の相棒、鉄の大剣ちゃん!」
白い部屋で30ポインヨ使って購入(?)した相棒ちゃん!ホントはもっとでっかいグレートソードにしたかったけど、ステータスの関係で妥協した大剣ちゃん!
就職先を選んだ時の価値観にも似た理由で決まった相棒(妥協枠)を手に取る。
ンッフッフ、やはり大剣は良い!機能性のみを追及した無骨なデザイン、素晴らしい!
「んー、森…だなぁ。テンプレテンプレ」
さらに周りを確認。
鬱蒼と、というわけでは無いが、そこそこ木々が覆い茂ってマイナスイオンが良い感じ。
「あの木なんて、真っ赤で鮮やかな花を咲かせてるじゃないの。なんて木なんだろ?」
【鑑定】を使って調べてみる。
【アドリシアの樹】
『大森林』を中心に、大陸の大部分に分布する落葉広葉樹。美しい青い花を咲かせる。
歳を経たアドリシアの樹には精霊が宿るとされ、地域によっては樹齢の高い個体は信仰の対象となることもある。
生き物の血を吸うと、季節を問わず、普段とは違う色の花が咲く。
吸った生物の強弱によって色合いが変わり、強ければ強いほど、赤は紅く、鮮やかに染まる。
血を吸ったアドリシアの樹は、年々その赤の濃さを増し、血だけでは無く、その無念も吸い上げるようになる。
やがて無念も吸いきり成熟したそれは、精霊であって精霊でない者をその身に宿す。
『邪霊』と呼ばれるそれは、程度の差こそあれ、その無念を晴らそうとする。
それは『生への未練』であったり、『殺されたことへの怨嗟』であったり。碌なものでは無い事は、確かだろう。
『邪霊』を見たのなら、ゆっくりと離れることだ。
気づかれてはいけない。なぜなら、君も吸い上げられてしまうだろうから。
血生ぐせええぇぇぇぇぇっ!!
そして怖ええぇぇぇぇぇっ!!
いきなりホラーすぎんだろ!
【鑑定】おっかねえ!いやアドリシアの樹か、おっかねえのは。
ともかく離れよう、このまま此処にいると高確率で尿が漏れる。
とてもじゃないが、ここで夜を越そうとは思えんね!
さ、サクサク水場を探し
「ウフフフフ」
……んゾワッっときたぁっ。
背中に!
ゾワッときたぁん!
「アハハハハハっアハハハハハハハハハハハハッハハハハハッ」
ゆっくり、ゆっくりだ。
刺激しないように、眠る親を起こさず、親の財布からお小遣いを自主的に戴く時のようにっ。
大胆に、そして繊細にっ!
ミッションを達成せねば、この先生きのこれない!
………?
声が、止んでる…?
恐る恐る、先ほどのアドリシアの樹へと振り返る。
先ほどと変わらぬ、紅い花を咲かせた樹が、そこに在るだけだ。
「気のせい、だったのか……?」
そう、だよな。気のせいだよな。あんな説明を読んだせいで、妄想力たくましい俺の脳細胞が頑張っちゃったんだな。そうに違いない。
「そうとわかれば、気を取り直して水場を探」
振り向くと。
紅い、女が。
「ねえ、あなた」
眼も、肌も、髪も。隠そうともしない、その身体の全てが、紅い女が。
「おいしそ」
「ウォアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ」
ぎゃああああああああああああああああああ、なんだこれなんだこれなんだこれ!
「ちょ、うるさ」
吸われる吸われる吸われる殺される殺される殺されるぅっ!
「き、【強撃】っ!【強撃】っ!!【強撃】ぃいあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
大剣と同じく、白い部屋で覚えたスキル、【強撃】を打ち込む。
「いぎっ、ギュフッ、ヤベッデッ」
力の限り、全力で、打ち込み続けなきゃ、死ぬ、死んじゃう。
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」
もっと、もっと、もっと。もっともっともっともっともっと。
「ギャブッ、ビヒッ」
気づいたら、いつの間にかスキルも撃たずに、地面に転がる紅い女に、ひたすら剣を刺し続けていた。
「アッ…アァッ、アブフっ、ぎぃぃっ、………ぃ。ひゅーっ、ひゅーっ。ひゅっ…………」
「ぶあぁーっ、はぁーっ、ばぁーっ、あっ、うぶっ、おぐっうおぇえぇっ」
おくちから Re:BIRTH ☆
おぉう、やっちまったよ…。
もはや人の形をしていない元邪霊さんの上に……いや、みなまで言うまい。
ていうかコレ邪霊だよな?ただの紅い現地人じゃないよな?これが普通に人間だったら…ってやべ。
「オロロロロロロロロロロロロロ」
と、そこで元邪霊さんが輝きだす。
わぁ、光がゲロに反射してすこぶる幻想的。
「ぅうえっ、あー、キボディワディ」
光が収まると。
俺の産んだ大海原に、光る石が浮かんでいた。
本日はこれまで。次はいつになるかわかりませんな。
一応、書く気ではいますので、もし読む人がいれば気長にお待ち下せえ。
全部GW繁忙が悪いんや!