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初期練習作(短編)

君の時代

掲載日:2015/06/24

 王権によって世界が成り立っていた時代。

「輝」というような名の小さい王家があった。

つい1ヶ月まで国をまたいだ大規模な戦争があり、

それがやっと最近収束したばかりで、

どこの国の軍隊も、民も、国家もボロボロであった。

そのような戦後間もない頃、輝王家に新しい王が即位した。

まだ若く、年端もいかない容姿で、

名は「闇」を意識せざるを得ない響きであった。

国民は不安がり、お互いに王家の現状を噂し合った。

王家も民の懸念をよく分かっていたが、

他の王位継承者は戦争で亡くなったり、

争いによって国外に逃亡していたり、

病気がちでとても公務が務まらなかったりした。

「闇」以外は、彼の幼い妹しかいなかった。


 さて、「闇」が即位してからというもの、

国には飢饉や日でりが続き、

国力がただでさえ弱まっているというのに、

大量の餓死者が出た。

その他にも、占星術師たちが口々に不運を予知し、

国は存亡の危機に脅えた。

隣国は戦争が終わっても、まだ腹の内ではこの国の領地を狙っていた。

この隣国の方がまだましな生活で、国外へ逃れる民も増えた。

王は何をしているのか。いや、何もできないであろう。

民の不安は高まった。


 その頃王宮内では、「闇」が考えをめぐらせていた。

民のためにできることは何か。

どうすればこの国は良くなるのか。

まだ年若い彼に出来る事は限られていたが、

ある一つの決断をして、それをやりぬくことに決めた。

国内から募集をかけ、次の王を決めて即位してもらおう。

反対する者もいるだろうが、一番賢い者が政治をすれば、

この国はもっと良くなるだろう。


 「闇」は連絡を待った。

しかし乞食が来る以外、ほとんど誰も応募してこなかった。

彼は王宮の大きな窓を開いて外を眺めた。

国は既に壊滅しそうなほど荒廃していた。

彼らにはもう政治を考える余裕はないだろう。

もしくは、危険を冒して国外に避難しているであろう。

食料、衣服など基本的な物資さえすでに無いのだ。


 「闇」は隣国に助けを求めることにした。

しかし使者を送っても、なぜか丁寧に門前払いをくらう。

「闇」は悪魔の使いであるという噂は隣国まで広がり、

用心されているようだった。

「闇」は良い考えを思いついた。

うっすらと唇に笑みを浮かべ、仕事に取り掛かった。


 数年後、その国は発展し、豊かになっていた。

「闇」はもうこの世にいない。

悪魔と契約し、自らを捧げてこの国を救うことにしたのだ。

彼はそれゆえ悪魔に転生することになった。

その後、彼の妹が王位を継ぐことになった。


 妹は公務を側近に手伝ってもらいながら、ふと思う。

「闇」とは何だったのかと。

「闇」とは破滅の象徴であり、始まりを意味する。

良い時期もあれば、悪い時期もある。

それゆえ過ぎ去った時代は面白いものだ。

いつしか妹は大きくなり、

「輝王」の名にふさわしく成長し、

彼女の隣には悪魔となった兄がおりましたとさ。

それからというもの、国力は、

彼らの協力によって衰えることがなかったそうである。


めでたし めでたし

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