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到着

「オルフェン君、そろそろ着くよ。」

おじさんの声に起こされた俺は、欠伸をしながら荷台の外に目をやる。


「…凄いな」

巨大な城壁に囲まれた城下町が見える。

村暮らしだった俺には想像もつかない大きさだ。


(凄いねー!こんなに大きな街行ってみたいなー!)

(そっちからも見えてるのか?)

(うん!オルフェンと視界をリンクしてるから、同じ景色が見えてるよ!)

そんなこともできるのか。

やっぱこんなでも一応神だから、こっちの世界に来ることは中々できないのかな?


(神はあんまり世界に干渉してはいけないってルールがあるから、直接行くことは難しいんだよねー)

少し寂しそうな声だ。

可哀想になってきたな。


(じゃあ今度会う時は、あの城下町みたいな感じの場所にしようよ。そっちの方が楽しいだろ。)

(……うん!オルフェンが暇そうになったら、すぐに誘うからね!)

抑えきれない嬉しさが、声に滲んでいた。



その後入国審査を受け、おじさんは郊外の宿へと俺を案内してくれた。


「オルフェン君、改めて本当にありがとう。試験は明日だ。命を救ってくれたお礼で、宿代はこちらが出すよ。明日は会場までは私が案内する、今日はしっかり休みなさい。」

「…すまない。」


おじさん何から何まで本当にありがとう。俺はマジで何もしてないんだよ。ビビって途中意識失ってたし。お礼ならレオナに言ってあげてくれ。


その後俺は、眠気はほとんど無かったが、明日に備えて早めにベットに潜り込んだ。




もう朝か…結局ほとんど眠れなかった…

馬車で寝てたのもあるし、試験の緊張で目が冴えっぱなしだ。


「オルフェン君、準備はできたかい?」

「…もう少し待ってくれ」

おじさんが来たってことは、もうすぐ試験開始か。

……もし0点取ったら不敬罪に当たるのかな?

レオナの力を使っても、周りがビビるだけで俺の点数は上がらないぞ。




(それにしても、本当に人が多いな)

おじさんに連れられて、石畳の大通りを歩いて行く。両脇には露店が並び、香辛料や焼きたてのパンの匂いが鼻をくすぐった。


(ねぇオルフェン、あの串焼き美味しそう!)

(というか、レオナってこっちの世界の食べ物食べられるのか?)

(うん!オルフェンが手に持っていれば、私がワープしてこっちに持って来れるよ!)

(なら今度持って来るよ)

…いい感じに緊張をほぐしてくれて助かるな。


視線を前に戻すと、道の先にどっしりとした四角い建物が見えてきた。壁は灰色の石で組まれ、正面には大きなアーチ状の入口があり、そこには「王国試験院」の文字と、何かの紋章が刻まれている。

入口付近には既に受験者らしき人々が集まり、係官が忙しそうに声をかけていた。


「ここが試験会場だ。最初は筆記試験を受けることになる。勉強の成果を発揮できることを祈っているよ」

「…ありがとう」

申し訳なくなるな。全く勉強してないよ。そもそも今から筆記試験をやるってことすら知らなかったし。不敬にならないレベルの点数は取らなければ…!


(大丈夫だよ!いざとなったら視界をリンクして、私も一緒に解くから!)

……そうだ、俺にはレオナがいるんだった!


(マジ女神!頭良すぎ!)

(そんなに褒めても、他の人の答案をカンニングすることしかできないよ〜)

(それはやめとけ)

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