悲劇の始まり
(あの雲、美味そうな形してるな)
俺、オルフェンは木陰で横になり、ぼんやりと空を眺めていた。別に空が見たくて見てるわけじゃない。昼ご飯を食べた後、暇すぎて他にやることがないだけだ。
「オルフェン、一緒にレオナ様へお祈りに行くかい?」
顔を横に向けると、シスターが立っていた。
俺が一人で暇そうにしていると、だいたいこんな感じで話しかけてくれる。
「……ああ」
ちなみに俺はかなり口数が少ない。というか、喋ること自体が苦手だ。
「行くよ、オルフェン」
俺は無言でうなづき、シスターの後ろについて行った。
○
レオナ様の像がある修道院に向かう道すがら、シスターがぽつりと言った。
「オルフェン、お前は口数が少なすぎるのと、その目が周りを怖がらせてるのかもね」
衝撃の事実が発覚した。俺って怖がられてたの!?
あまりの情報にフリーズする俺を無視して、シスターは続ける。
「だけどオルフェンは根は優しい子だ。きっとすぐに親しい人もできるさ」
おまけに知り合いが一人もいないことすらバレてたらしい。その優しさが逆に俺の心を抉ってくる。
俺って怖がられてたんだ…結構ショックかも。
人と関わってないから、全く気づかなかったな…
○
「じゃあまず、レオナ様の像を綺麗にしてくれるかい?」
修道院に着くなり、シスターはそう言って女神様へのお供物を取りに行った。
「…分かった」
…なんかこの像光ってないか?
まあいいや。とりあえず磨くか。
そう思って近くの布を手に取った瞬間――
(君、面白そうだね! ちょっとこっち来て!)
頭の中に、声が響いた。
次の瞬間、視界が真っ暗になった。
少しでも面白いと思ったらブックマーク登録や、この下にあるポイントで応援お願いします!どんなポイントでも構いません。初投稿なので、皆様の様々な意見を受け取りたいです!
どうかよろしくお願いします!