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異世界エンジョイ勢は無自覚逆ハーレムを築く  作者: ごん
リズと軟派系第二王子
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82.共犯者様と謎解きを


「じゃあまず、今わかっている情報を整理しようか」



 殿下の言葉に頷いた。



「まず、あのメイドは王妃宮付きで、殿下へ執着していた理由は恋心。元男爵令嬢で、家の取り潰しにあっています」

「メイドは単独犯ですが、別の組織の情報を偶然耳にし、殿下を襲おうとして投獄されました。別の組織は黒いローブを身に着けており、組織の計画は、殿下を犯したのち亡き者にする、というものです」

「…それにしても、なぜ『犯す』という過程が必要なのかが気になりますね」



 私の言葉に、殿下も深く頷いた。



「じゃあ、今度は、あの女から細かく聞き出した情報だね」



 来た。

 私はそう思った。


 実は殿下は、話に信憑性を持たせるため、「内密な話」を装い、メイドと小声でやり取りをしていたのだ。

 と、いうことは、当然私も知らない新情報。

 私は、集中して聞く体勢に入った。



「まず、組織についてだけど、依頼主がいたって話だよ」

「!本当ですか?では、その組織は、後ろ暗いことでもなんでもやる”何でも屋”か、その依頼主と目的が被った組織かのどちらかですかね?」


「それもわかればいいんだけど…。それと、あの女は、とても強力な隠密スキルを持っていたらしくてね。だから、手練れだろう組織の人間も気付けなかった」

「隠密スキル……。それはまた、厄介な……」


「あと、組織の人間の話も一部しか聞き取れなくて、計画実行日時がわからなかったそうなんだ。だから、オレの貞操が奪われることを案じて、その足でオレの部屋に来たそうだよ。つまり、城の中にもまだいる可能性が高い」



 …私はそれを聞いて、部屋の中に二重に張られた結界を仰ぎ見た。


(防護結界と防音結界、張っといてマジで良かったー‼)


 ほっと胸を撫でおろす。

 そんな私に、殿下はにこりと微笑みかけた。



「つまり、何物かが組織に依頼し、偶然メイドが会話を盗み聞きした。焦ったメイドがオレの部屋に来て捕らえられたけれど、肝心の組織の方は、未だ水面下で動き回っている、ということになるね」


「…本ッ当に、あなたの周りは物騒ですね」

「あはは、もう懲り懲りなんだけど……」



 ご愁傷様です、と、虚ろな目の殿下に心の中で語りかけた。



「まだあるよ。こっちは、メイドからの情報じゃなく、オレに直接入ってきた王家からの情報」

「王家からの…?」



 苦い顔をしつつ、殿下は口を開く。



「…実母とジェラルドの、遺体の情報が手に入ったんだ」

「……!」



 それは…。

 殿下にとって、話すだけでも辛いことだろう。せめてしっかりと聞かねば、と背を伸ばした。



「まず、実母は、離れの塔で死んでいたよ」

「離れの塔…。国王陛下の逆鱗に触れたとして飛ばされたところですよね」


「そうだね。そして、そのままそこで殺されたんだろう。ジェラルドは、人目につかない森の中で殺されていた」



 細められた瞳は、どこか悲し気だった。



「呼び出されたわけではないだろうから、部屋から強制的に連れられて来たんだろう。だから、オレが呼んでも来なかった」



 声に硬質なものが混ざる。

 しかし、ジェラルドさんの話を終えた殿下は、苦しみの色を薄めて続きを話した。



「凶器は、得体のしれない毒らしい。遺体の背中には、必ず、文献に書かれているような呪いの文様が刻まれていたってことだから……、それで、オレの噂が広まったんだろう」


「なるほど…。ですが、ほぼ間違いなく、毒は組織の特注でしょうね。しかし、わざわざ呪いの文様を刻むあたり、あの組織はやはり”何でも屋”なんでしょうか?」


「わからない。ただ、疑問点が整理されただけでも大きいよ。なぜ『犯す』という段階を入れなければならなかったのか。『依頼主』は誰なのか。そして、組織の『目的』は何なのか」



 殿下は、「――どちらにせよ」と言葉を区切る。そして、私に手を差し出しながらこう言った。



「事件の解決まで、君にはもう少し付き合って貰うよ。()()()として」



 私は、少し目を見開いて、それからふっと微笑み、勢いよく握り返す。



「はい、望むところです」



 普通に私は犯罪(王城への不法侵入)を犯しているのだ。もう怖いものなど何もない。

 私達は、硬く契約の握手をした。

【連絡】

2話連続投稿期間が今日で終了!ということで‼

やり切った!ありがとうございました……‼

明日からは普段通り、21:00に1話投稿に戻るので、よければこれからも見て行って下さいね。



【ただの作者の感想です】


今回はかなり「情報整理回」でしたね…!最後まで読んでくださった方、本当にお疲れ様です‼何様だって感じですが!


前回のお話がかなり軽めだったので、今回の重め情報と中和して読んでいただければ嬉しいです。実は前回、文字数を少なめにしたのも、そのバランスを取るためだったりします!


それから最近、ブクマや評価をポチポチしてくれる方が増えて、もう本当に感謝感激な今日この頃です‼

感想やリアクション、どれも、とても励みになっています!

「どれもやってませんけど」という人も、ご安心下さい。1閲覧数(pv)で大喜びする人間ですので!

全方位、全方向にありがとうを捧げてます。よければ引き続き見て行って下さいね!

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