表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界エンジョイ勢は無自覚逆ハーレムを築く  作者: ごん
リズと兄貴肌・騎士団長子息
71/146

【閑話7】尊き集会(使用人視点)


(((((と……っ、尊い‼‼‼)))))


 使用人達は、絶叫した。



 ♦ ♦ ♦ ♦ ♦



 リズとグレンは、定期的に打ち合いをするようになった。そして勿論、グレン専属の従者となったイザナもそこにいて、たまにアドバイスを求められる時もある。そんな平和な空間を、レイナー公爵家使用人とデイヴィス侯爵家使用人が、温かく見守っていた。


 カキンカキンと音が飛び交い、イザナの指導も飛び交う。…そんな光景もいいが、その後のまったりティータイムも、ハッキリ言ってご褒美だった。


 何せ…


(((((グレン坊ちゃんにもやっと春が‼‼‼)))))


 つまり、そういうことなのである。

 どこかで聞いたようなセリフだが。


 それからも、和やかなティータイムを背景に、使用人達の会話(アイコンタクト)は続く。


(あれって完全にあれよね⁉)

(あれあれ言ってても伝わんないわよ!でもそうね、あれね!)


(先輩も言ってるじゃないですか!つまり、グレン様が惚れてるってことですよね⁉)

(ぎゃあっ!そんなに言われたら…字面だけでも破壊力が高いのに‼)


(でも、あれは完全にそうだわ……長年侯爵家に仕えてきた者としての勘が、言ってるわ‼完全にあれは真っ黒だと‼)


 ギラギラとした目が二人に降り注ぐ。


(ってきゃあああああ‼‼‼)

(ユレナ⁉どうしたの⁉⁉)


(みみみっ……見て下さい!あの尊き光景を…‼)

(ん…?あの尊き光景…?って――)


(((((ぎゃああああああああああああああああ‼‼‼)))))


(ああああああっ、あれは…伝説に聞く『あーん』⁉)

(えっ⁉これってセーフなんですか⁉アウトなんじゃないですか⁉)


(わわわわわからないわ……でも、ギリギリセーフ…?)

(いえ!グレン様の真っ赤なお顔を見るにあれはアウトです‼)


(エリザベス様早く気付いてー‼‼)

(大変…!多分『子供のうちに色々やっとかないとね♪』とか思われているわ‼)


(それでは子供のうちに被害者が量産されてしまいます‼)

(ハニトラ説はないですか⁉)


(あの方が⁉うーんそれはそれで嬉しいわ‼形はどうあれ両想い‼)

(くっ…真意を読みかねます…!これほど鍛えた私の審美眼が、まさか通用しないとは…‼)


 使用人達はそう言いつつも、内心ご褒美スチルに狂喜乱舞していた。


(……ハァッ⁉)


 その時、一人の使用人が別方向を見て、固まった。


(ユレナ…?一体どうし…)


 そして、その一人の使用人に先導された者がその方向を見て、また固まる。次も、その次も、どんどんと罠にかかっていく。それはまるで、メデューサを見た者のように――。


 そして遂に、最後の一人がそちらを向いた。その使用人の瞳に映ったのは……穏やかな慈愛の微笑みで二人を見つめる、イザナの横顔だった。


(へぶぅっ‼‼)


 見事ノックダウンされた残り一人は、他全員と同じようにぼうっと固まりつつ見惚れていた。実はイザナは、使用人人気がとても高かった。顔が整っていることもそうだが、気配りと優しさが女性にドストライクだったのだ。たまに出る毒舌も、沼にハマる第一歩…。


 件の事件で少し信用は落としたものの、その絶大な人気は不変だった。


(はあ……ッ!あのイザナ様が…あんなに穏やかな表情で……‼)


 だが、全員が見惚れた笑みは、そう簡単に見られるものではなかった。というか、今まで誰一人として見たことがないようなものだった。現役時代だったときも含めて。


(あれはきっと……”師匠の笑み”ね!)

(”師匠の笑み”……⁉)


(ええ。イザナ様は今回の事件を通して、とても尊い成長をされた……。そして、グレン様という弟子を得て、見守り、成長を見届けること、即ち”慈愛”の心を手に入れられたの。そうしてその素晴らしい内面が外側にもれ出てしまったのだわ……)


(くっなんてことッ)

(最早、尊さという名の凶器‼)


 使用人達は人知れずざわめいた。

 その時、男性使用人がポツリと言った。



「…イザナ様…可愛いです…!」



((((((((((⁉))))))))))



「いつか立派になって…プロポーズしてみせます……‼」



 その後、グレン様応援隊と、その男性使用人、ジェノバ応援隊が結成されたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ