表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界エンジョイ勢は無自覚逆ハーレムを築く  作者: ごん
ブラコンの実力育成期
31/146

28.異世界名物・冒険者ギルドへの突撃


 木造と思われる広いフロア。

 荒々しい見た目と個性的な見た目に二極化された人々。

 無骨でワイルド、壁には立派な角を持つ生物の頭蓋骨が剥製のように飾られており、クエストボードには、古めかしい黄色みを帯びた依頼用の紙が、何故かボロボロな状態で乱雑に張り付けられている。

 そして扉の真正面には、アニメに出て来そうな可愛い受付嬢…。


 そう!皆さんご存知の異世界名物、『冒険者ギルド』に、現在私は凸って、ゴホゴホ、突撃しているのだ‼



「きちゃああああああああああああああ異世界名物冒険者ギルドおおおッ‼‼‼はぁ、はぁっ、こ、ここがあの禁断の聖地…♡」



 感動のあまり瞳を爛々と輝かせつつ頬を上気させる私。

 本当に……、本当にここまで長かった。

 ここに辿り着くだけで一週間かかってしまった。


 一週間前、両親に『冒険者を副業としてやらせて頂きたくて…』と頭を下げたときは、何故か二人揃って幽体離脱してたし。


 それからは、母ヴィオラに「男尊女卑がないこの国でも(ごにょごにょごにょ…)」とか「そもそも冒険者というのは危険な(ごにょごにょごにょ…)」とか「訓練と(ごにょごにょごにょ…)」とか、とても丁寧に冒険者のことを説明して貰ったが、やっぱりこの衝動は止められなかった。


(…?なんか、みんな…頬が引き攣ってる???)


 我が師匠のラピス教官に優しく手を引かれて受付に連れて行かれている間、粗暴な見た目の冒険者達――アニメで言うところの、三下っぽい、脇役っぽい奴らだ――がこちらを睨み付けてきたり、下卑た笑みを浮かべたりしてきていたのだが、何故か途中から引き攣り笑いに変わってしまった。


 強者感滲み出る個性的な一団は一瞥もくれなかったが、こちらも同様、途中から少し興味を持たれたようでちらちらと観察されている。


 リズは知らない。

 ギルドに入って来てからというもの、蕩けそうな極上の表情を浮かべ続けていたことを。

 そして、その表情が、初めて冒険者ギルドの門を潜った者のものでないことも、その違和感が冒険者達に恐怖を植え付けていたことも。


 そうこうしているうちに、私とラピス教官は受付嬢の元へ辿り着く。

 受付嬢は、とても可愛らしかった。

 ピンクゴールドの髪をお団子にしており、瞳は青空のような青。

 その上人好きのする笑みで、少女二人が来ても、全く動揺する素振りを見せない。



「冒険者ギルドへようこそ!ここでは、クエストの発注・受注や冒険者登録などを承っております♪本日は何をご所望ですか?」

「今日はこの方の冒険者登録をしたいのですが…」

「冒険者登録ですね!畏まりました♪」



 受付嬢はそう言って、受付の下の引き出しにでも入れられていたのだろう冒険者カードを素早く取り出した。

 また、特殊なペンのようなものも一緒に差し出してくるので、大人しくそれを受け取る。



「このペンには特殊な契約魔法が付与されていますから、十分気を付けて書いて下さいね♪」



(え、なにそれカッコよ…。)


 キュン♡と胸の高鳴りを覚えた私は、早速カードに記入する。


------------------------------------------------------------------------------------

Adventure’s Card

Name【Liz】

Lank【F】

------------------------------------------------------------------------------------


(…か、簡易的だ…!え⁉ってことはHPとかMPとかAVEとかレベルとか、そういう”ステータス”は確認できないの⁉せ…折角の異世界なのにぃ~~~~っ‼‼‼)


 滅茶苦茶にガッカリしている表情を隠すこともせずカードを凝視する。期待させといてあんまりだ。なんならハンカチここで噛んでやってもいいぐらいだ。詐欺だ、詐欺…‼



「ふふっ♪そんなアナタに、耳寄り情報です。《ステータス・オープン》と言ってみてください」



 目の前の惨劇(リズ視点)をものともせず、ニコニコ愛想笑いをしてくる受付嬢の言葉を半分素通りさせながら――そう、意味を全く理解しないまま、自棄になりその言葉を口にする。



「はいはい…《ステータス・オープン》。これで良いんで…、…え?今、ステータスって…」



 リズの言葉をちょん切って、でん、とリズの目の前に半透明な水色の板が出現する。

 そこには、エリザベス・レイナーというリズの本名や、レベル、HPやMPなど、まさにリズが求めていたステータスがズラリ……。

 ごくり、とリズは生唾を飲み込んだ。



「こ、これは…正真正銘の“ステータス画面”‼」



(この艶やかな半透明な水色の板……間違いない。異世界やゲームの世界でお馴染みの、あの“ステータス画面”だ…‼)


-------------------------------------------------------------------------------------

Elizabeth・Rainer

Lv.6 (残りポイント:50pt)

HP 50/50 MP 100/100

AVE 16

MAT 20

AGI 17

VIT 16

DEF 12

INT 26

RES 21

LUK 10

-------------------------------------------------------------------------------------


 ステータス画面とは。

 現在の能力値などを項目にして表す画面のことであり、即ち、ロマンである‼


 ステータス画面は古来から沢山の種類がある。

 異世界系列でもゲーム系列でも、少しずつ変えられたそれは最早、全て把握することも難しい。

 表記位置の違い、表記される能力値の違い、表記のされ方の違いなどなど、挙げればきりがないほどだ。それほどステータス画面の歴史は長い。


 何より‼

 異世界オタクといっても過言ではないリズにとって、ステータスとはファンタジーの代名詞なのである…‼


 よってリズは、身悶えていた。



「はぁ…♡人生の中で、まさか本当にお目にかかれるなんて……♡」



 ガチ恋している有名人に向けるような眼差しが見つめるのはステータス画面。シュールだった。



「…ふむ。レベルにHPやMPは基本としても、めっっっちゃ細かいな?AVEは物理攻撃力MATは魔法攻撃力そしてAGIは素早さでVITはバイタリティーだから確か生命力…DEFはディフェンスだからこれは防御力か。INTは知性?魔法に関わる奴だなRESはレジスタンスつまり魔防。最後はLUK、運。…ってなんか運低くない?」



 ぺらぺらぺらぺら早口言葉かラップパートでも口ずさんでいるのかと思うくらいの脅威の回転力を見せるリズに、周囲はあんぐり。平然としているのは、比較的近くにいるはずのラピスと受付嬢のみ。



「…とてもよくご存知なんですね。()()()()()()()()()

「いやぁそうなんですよ~!分かっちゃいます?」

「はい~!それにしても、凄いですね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そんなに詳細に知っていらっしゃるなんて」



 ダリアの花のようにぱあっと笑顔になる受付嬢の台詞を聴いて、その場が凍った。



「…ふふ、やだなぁ。冗談じゃないですか、冗談♪別に知る方法なんていくらでもありますもんね~っ。例えばそう、貴族様なら書物とか…。あ、冒険者ギルドの説明がまだでしたね。聞いて行きますか~?」



 右胸ポケットにつけられた社員証には、『Renaレーナ』という文字が愉し気に躍っていた。

【手短に(?)】

祝・総合ポイント50pt突破しました‼

ありがとうございます!これからも末永くよろしくお願いします!

また、結構伏線っぽいのも出てきているかと思いますが、リズちゃんの能力上げが行われると比較的すぐ回収されると思うので…できればやっぱり末永くお願いします‼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ