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異世界エンジョイ勢は無自覚逆ハーレムを築く  作者: ごん
王位継承争い編 /学園編
145/146

134.解決策


「……じゃあ、計画としてはこうなるかな。先ほど話した通りの根回しを行った上で、ヴィンセントが、わが国と国交のない異種族国家との交易を取り付ける」

「できるだけ強国かつ、こちらに有利な条件を付けられると、益々権威を示せますから……。やっぱりガナール国狙いでいきますか?」


「そうだね~。比較的勝率も高いし、ここの貴族達も少しは静かになりそうだし。早速、明日くらいから動き出して……」



 人目をできるだけ偲んだ会議は、滞りなく進んでいた。



「よし。では、私はこれからそれに向けて準備をしてくる。あとのことはまた追々」



 その時。

 殿下の影が、不意に姿を現した。

 しゅんっと跪く影を一瞥もせず、殿下は連絡を聞く。恐らく二人にしかわからないだろうやり取りをすると、すぐに影は消えてしまった。



「……殿下?」



 珍しく、眉間に皺を寄せる殿下。



「兄上、何か問題でも?」

「……ああ、そうだね。それも、王位継承争いをしていられないほどの、大問題だよ」

「え……」



 私とヴィンセントが顔を見合わせる。

 殿下は、そんな私達に、苦い顔で言った。



「……国内の各地で、正体不明の疫病が蔓延している……らしい。それも……、昨日、急に各地で発生し始めた」

「はい⁉正体不明の疫病⁉なんだって、こんな時に……」


「兄上、それが十中八九、人為的に引き起こされたものだとして……。昨日、急に発生し始めたって…?」

「各地に派遣している連絡係からのもので、よくわかっていないらしい。ただ、どこも混乱状態だそうだよ。仕方なく、隔離しているとの情報があったけれど、完全に隔離しても、接触していないのに発症しているとか」


「国内が混乱してる時に、誰かがばら撒いたんだろうね。それも、恐らく魔法で」

「夢と希望の詰まった魔法で悪行を働くだけに飽き足らず、私の親友達にまで迷惑をかける輩がいるなんて……ッ!クッソ…殺s」



 殺意をうっかり漏らすと、殿下とヴィンセントの影に一斉に警戒されてしまった。



「んんっ。……それはそうと、どうします?王位継承争いは一旦中断して、まずは疫病の終息に努めた方がいいと思いますが……」

「そうだね。間が悪いとしか言いようがないけれど、正体不明の疫病の終息は急務だよ。ヴィンセントも、それでいいかな」



 ヴィンセントはそう問われると、少し考え込んだ。



「……兄上」

「うん?」

「先ほど、接触していないのに発症したと言いましたよね。他に特徴は聞いていませんでしたか?」



(引っかかったところがあるのかな。まあ、ヴィンセントにとっては、一世一代の大勝負に水を差されたも同然だもんね。でも、それにしては何か……)



「まあ、少しくらいは聞いているよ。例えば、酩酊状態に近いとか、顔が紅潮するとか……」

「その他に、少し歯が鋭くなったりは……」

「ああ、あったよ。まさかヴィンセント、何か心当たりが?」



 冷静に見返す殿下に、ヴィンセントは、しっかりと視線を絡ませながら言い切った。



「これは恐らく、人為的に開発された空気感染の疫病です。そして、オレのような、ヴァンパイアの『吸血』を利用したもので――オレなら、同じヴァンパイアなら、中和が出来ます。つまり――」



 ヴィンセントは、ひと呼吸置いてから告げた。



「――オレは恐らく、この病気を治せます」

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― 新着の感想 ―
わーお...... リズ!!!!!いまこそ君の磨いた魔法の出番だ!!!!! そしてリズの親友への愛が強くてよき.....( 〃▽〃) リズのかっこいい(?)ところもいいです.....最高です....…
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