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異世界エンジョイ勢は無自覚逆ハーレムを築く  作者: ごん
王位継承争い編 /学園編
133/139

124.彼女と彼(リズ視点/ヴィンセント視点)


「姉様~」

「……」

「⁉お、おーい美南ー?」

「……」

「…すぅーっ…姉様ーーーッ‼‼‼」

「おわぁぁあっ⁉何々どした何あった⁉⁉」



 私は、(意識的には)飛び起きた。

 そして慌てて周囲を見ると、心底心配そうな顔をした二人が居た。



「やっぱり姉様、あれからずっと上の空…。もしかして、保健室で何かあったんじゃ…」

「ほ、保健室⁉ほほほ保健室で学校でって言えばあああアレしかっ」

「……」



 翼を半目で見てから、「ううん、ちょっと気になること言われただけだよ」と説明した。



「気になること?」

「なに言われたの?教えて姉様」

「うーん…。…内緒?」

「「内緒」」



 言ってもいいとは思ったが、気分的に、言いたくなかったというか、言うべきではなかったと思ったというか。とりあえず、私は暫くの間、黙っていることにした。

 …だが、逆に変な誤解が生まれてしまったようで。



「ま、まさか……姉様、本当に婚約者の打診を受けて……⁉ダメだよ姉様。一生ボク許さないよ?」

「じゃあ私は宇宙が終わるまで許さない‼」

「どこで張り合ってるのソレ……」



 据わった目をした二人をどうどうと宥めつつ、考える。

 どういう意図で、殿下があんなことを言ったのかを。ずっとずっと、考え続けた。



 ♦ ♦ ♦ ♦ ♦



 一方その頃。

 黒髪のヴァンパイアは、悍ましい記憶の再来を味わっていた。



「ね~ぇ、いいでしょ?ちょっとだけ……、お姉さんたちと、抜け出そうよぉ」

「イイコト教えてあげるからぁ…、ほぉら、こっちおいで~」

「固くなっちゃってるの?そんなに怖がらないでいいのに、ね、一緒に遊びましょ?」

「……」



 パスカル伯爵家次女、ミリエラ。十八歳。

 ステッド男爵家長女、レーナ。十九歳。

 ルべリア辺境伯家三女、ドロテア。十八歳。


 ヴァンパイアは、思考する。


(ルべリア辺境伯家は、噂通りなら三女のドロテアを溺愛している。他二人は戦力にはならないだろうし、寧ろ足枷になるかもしれないからいいとして、問題はドロテアだ。こちらに引っ張り込んでもいいが、勝機が見つかった途端、愛娘をここぞとばかりに婚約者に押し込んでくる可能性もある…。危険だが、いざとなれば博打覚悟で頼むしか…。いや、魅了に自信があるとはいえ、相手は仮にも辺境伯家の令嬢だし、親はもしかすると真面かもしれない…。オレがコイツに賭けても、見限られるのが関の山か…?)


 勝機を、僅かな可能性を見出すために。

 例え、彼にとって、トラウマを刺激されるような光景であっても。それよりも強い意志が、思考と体を突き動かす。

 そして最終的に、後にベストな選択を取るのである。



「…無理かな。オレ、好きな子が居るから」

「「「……!」」」

「……だから、勘違いされたくないんだ。わかる?わかるよね?…じゃ、そういうことだからよろしく」



 ニッコリと笑い、足早にそこを去る。

 一応、人目があるという意味では安全な教室に素早く入る……と、死角から何かが頭に落ちてきた。



「………黒板消し?」



 古き良き黒板消し。

 ガッツリチョークの粉が付いたもの。

 彼の純粋な黒の髪が、うっすらと白に染まった。


(あ~あ~、色男がみっともないなー。まあでも、これぐらいなら犯人捜しなんていらないか)


 彼はつまらない気持ちで黒板消しを戻し、ぱっぱっと粉を払う。

 その時、彼の目に、ある少女が入って来た。いつもの二人と一緒に、心配そうにこちらを伺っている。

 つまり。彼女の目に、確実にチョークの粉塗れの彼が映っていた。


(……やっぱり、犯人を闇討ちしよーっと…)


 収まりきらない怒りと共に、服にまで付いたチョークの粉を、彼は乱暴に振り払った。

 それと共に、寂寥感が込み上げる。


 彼は、無暗に()()()()()の自分と関わろうとしない少女達を、「それでいい」と思っていた。寧ろ、そうしてくれていた方が助かると。


 だが、少女達が傍に居たなら、こんなつまらない虐めに、こっちが「もういいよ」と言ってしまうほど怒ったり、一緒に粉をほろってくれただろう。少女達との時間がめっきり少なくなり、今後暫くはそれが続きそうなことに、彼はそっと、目を伏せた。

気づいたら夢の世界で爆睡してました、ごんです。

9時投稿できずすみませんでした……!

反省して次こそは計画的に動けるよう頑張ります。

これからも見守っていただけたら嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
ヴ、ヴィンセント....リズに会えなくて寂しいんだね!? なんかよくわからない肉食系猿に絡まれると大変だね!! 作者様ともに、他キャラの皆様も頑張ってください(*`Д´)ノ!!! いるから本当に、切…
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