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異世界エンジョイ勢は無自覚逆ハーレムを築く  作者: ごん
王位継承争い編 /学園編
130/139

121.チュウリツハは癒される


「…エリザベス。我が家は中立派につく。よって、くれぐれも、どちら側にも付くんじゃないぞ」



 帰宅早々、父に言われた言葉だ。

 …そして私は、操り人形のように愚直に従っている。


 夜会から一日目の学園に、私は、レオと翼を伴い一緒に登校した。



「美南、辛かったら、無理しないで会話を丸投げしてもいいんだからね!」

「じゃあボクはその間に姉様とイチャイチャしよーっと」

「何言ってるのかなレオナード君~?勿論君も一緒に来るんだよぉ?」

「え~、でも姉様の護衛が必要だし、やっぱりムリ!逆に、今の姉様を放っておけるほどの冷血なひとなんだ、ビアンカ嬢?え~、へ~、そうなんだあ~っ」

「こ、こんのクソガキが……ッ‼言わせておけばベラベラとぉ…ッ」



 翼が拳を握りしめ、ぷるぷると震わす。頬も痙攣していて、思わずくすっと笑ってしまった。

 しかし、二人はそれを見て、どことなく安心したかのように顔を見合わせた。



「よし姉様、元気になったならコイツを置いて二人で行こう?」

「堂々と抜け駆けしないで貰えますー⁉」

「だって絶好のチャンスだし」

「そりゃまた何で」

「例の二人は近寄ってきてもひっぺ剝がせるし、他の二人はどちらに付くかを決めかねて、こっちに寄って来れないだろうから。…あれ?確かボクの年は十五で、ビアンカ嬢は…」

「はいはい私の頭がバカ悪いってことですねーワカリマシター」



 左手をレオに取られた後、右手をすぐに翼に取られて歩き出す。

 それからもあーだこーだと何かにつけて言い合っている二人。レオ、翼、レオ、翼というように交互に二人の表情を見る。そして、ポツリと言葉が出た。



「…二人って、仲良いね」

「「仲良くない」」



(……そうは言っても、揃うほど息ピッタリなのに)


 バトル漫画の相棒同士のようであり、少女漫画の友達みたいなカップリングのようでもある。

 つまり。



「二人ってもしかして好き合っt」

「殴るよ姉様」

「いやねぇもう殴ってるよね⁉」



 殴っているといっても、こめかみを拳でぐりぐりされているだけなのだが。

 なんともまあ可愛らしい殴り方ではあるのだが、地味に痛い。う、なんか更にパワーアップしたような…。



「ま、でもよかった。やっと調子が戻ってきたみたいで」

「確かに、いつもの私って感じする…。ありがとね、レオ、翼。お礼に頭を撫でてあげよう」

「え⁉いいの美南⁉やった~美南のナデナデだ~♪」

「えへへ、姉様のナデナデ久しぶり~」



 やっとぐりぐりが止まり、「撫でて撫でて~」というように二人がキラキラの眼差しで見つめて来る。可愛いツインズ‼と内心見悶えながら、手を頭に乗せようとしたとき…。



「あ、そういえばレオ君、もう年齢の関係でダメになったんだった」

「…………。」



 貴族的に。

 姉弟でも、お触りは結構NGなのである。



「…え、えっと!うん!ちょっとあとで何かするね‼よしまず先に翼をナデナデして」

「姉様………?」

「あっ、ちょっとナデナデも考え直すね‼」



 最終的に、二人と一緒にカフェへ行くことで決定した。

 レオの圧が、日々重くなってきていると感じる、今日この頃であった。



 ♦ ♦ ♦ ♦ ♦



 そんな感じで、すっかり緩み切った私達。

 のほほんと、いつもより静かな校舎に足を踏み入れる。空気はしん、としていて、時間が止まっているみたいだった。

 

 いつもと変わらない風景に、少しほっとする。

 渦中の人物達が居ないからか、玄関には人っ子一人居なかった。



「ラッキー!姉様とゆっくり教室行けるっ」

「いうて毎日一緒でしょ?」

「有象無象のノイズが入らなくて気分がいいの。ねー姉様、早く行こ?二人だけで…」

「うーんしれっと私を省かないで貰えます⁉」



 静かな校舎を、私達は歩いていく。

 そして、程なくすると見えてきた教室に……人だかり。

 思わず三人一緒に足を止めると、覚悟しきれていなかった光景が、目の前に立ちはだかる。

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い、いやなよかんー
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