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97.即バレからの招待状


「…これって…」



 リズの視線は、レオナードを中心とした半透明の球体、のようなものに釘付けだ。

 三人の攻撃を易々と跳ね返したその球体は、見覚えのある光の膜のようなもので出来ていた。

 そしてそれは、十二歳の時、一度だけレオナードが発動させたものとよく似ていた。


(…”結界”?)


 リズがそう思うと同時に、ヴィンセントが「…これは…、凄まじい隠し玉だね」と、冷や汗の浮かんだ笑みでそう言った。



「とりあえず、勝負は一旦中止かな」

「うんうん、そうだね。ありがとう、ヴィンセント」

「いやいや。君の為ならお安い御用……って、」



「「「「え?」」」」



「り……、リズ⁉」

「ね、えさま…、どこから聞いて…」



 四人の顔から、一斉に血の気が引いていく。

 四人の中で、リズの取り合い話をしていた記憶が流れていく。


 しかし、リズはけろっとして答えた。



「え?うーん、みんなが楽しくバトルしてるところ…から?」



 その瞬間、四人は揃って脱力し、「ふー…」と安堵の溜息を吐いた。

 リズだけは「?」となっていたが。

 しかし、たいして気になることでもなかったのか、リズは早速話を切り替えた。



「…それはさておき。レオ君のこの力のことは、出来れば他言無用でお願いしたいな」



 リズは、特にヴィンセントへ強く言い聞かせるようにそう言った。

 しかし、そんなリズの苦労も知らず、ヴィンセントはさらりと言う。



「それ自体は構わないよ」

「……えっ、ホントに?あの政治脳なヴィンセントが?」


「なんか酷い気がするなあ。…まあでも、少なくともオレから話すことはないよ。何なら、リズに魔法の誓いで生涯縛られることになっても…」

「あー、うん。ありがとうやっぱりそれで十分です」

「……」



 ヴィンセントの視線がぶすぶすとリズに刺さる。

 が、はあっと溜息を吐くと、「でもね」と続けた。



「ここは結構開けた場所だし、誰かに見られていてもおかしくないよ。だから、情報がもしもれても、ここにいる八人のせいとは限らない」

「うん、それは勿論わかってる」


「ならいいよ。これからは、そこらへんの情報統制しっかりしないとね。レオナード君も……、その力、使いこなせるように練習しておいた方がいいだろうし」

「…言われなくても。何せ、どこぞの令息より、この力の方が姉様をしっかり守れそうだしね!」



 レオナードがワクワクに仄暗さを混ぜてそう言うと、ヴィンセントも仄暗い笑みで対抗した。



「…ああ、そうだ。暫くはリズの元を離れて、被害が大きくならない場所で練習してくるのはどうだろう?そう、リズの元を離れて、ね?」

「え~?でもでも、ボク、姉様と離れるのはイヤだから…。その時は、姉様も連れて行っちゃおうかな!ねえ、ボクと旅行なんて楽しそうでしょ?いいでしょ姉様~」


「えっ?え~~~…でも…レオ君と旅行…天使と、旅行……」

「…殿下、このままだと弟愛の前に負けるよ」

「…ハハ。ちょっとよく聞こえなかった…」



 …そんなこんなで、ドタバタな八人の遊び(?)は、比較的和やかに終結したのだった。



 ♦ ♦ ♦ ♦ ♦



 そして後日。

 王家にレオナードのことが即バレし、リズの元に無事、第一王子殿下の第一回婚約者選定会への招待状が届いたのだった。 

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