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人でなしのヴァンパイア  作者: 梨味の林檎
1章 リンディア王国
6/29

魔の森.3

「ようやく来たな、爺さん。伯爵。

 今分かっている情報を伝えよう。

 男子4人全員が戦闘職。女子も4人は戦闘職で残りの6人は生産職だ。

 で?お前ら2人の能力を教えてもらおう」


 なんかテンション高めだな、剛士(たけし)は。

 帰宅部のくせにサッカーが上手い。サッカー部のエースより上手い。

 中学時代はサッカー界隈で有名だったらしいが、現在は帰宅部の剛士。


 まぁ、戦力としてみるなら有用だよな。

 運動部は異世界転移していない。朝練に行っていたから。

 そのなかで体を動かすことが得意な剛士がいるのは助かる。

 爺さん1人いれば百人力かもだけど。


「そうそう。自分が選んだやつ覚えてなかったら【ステータス】っていえば見れるぞ。

 ほんとゲームのステータスみたいに表示されるから。」


 ん?覚えてるもなにも……

 まぁいいか。


【ステータス】と。爺さんと僕は口にした。


 それに応じるように視点の中央に文字情報が映し出される。


 ――――――――――――――――――――

 名前:蓮夜(れんや)

 種族:吸血鬼

 職業:なし

 魔法:鮮血魔法、凍血(とうけつ)魔法

 スキル:吸血、獣化(蝙蝠(こうもり)

 ――――――――――――――――――――


 おっと?

 いや、知ってたけどさ。


 爺さんのステータスを見ようと視線を逸らしたら表示されていたステータスは消えた。

 視線を逸らすとステータスは消えるのか。


 そして爺さんのステータスは見えない。

 おそらく爺さんは見てるんだろうけど、僕には見えない。

 わお、ファンタジー。


 本来なら種族は()なのかを確認したかったのだけど、まぁ人なんだろうな。


「伯爵ー?見終わった?あ、ステータスは他の人には見えないぞ。

 あとステータスの項目を注視すると詳細が見れる。」


「そうなんだ。ごめん、びっくりして閉じちゃった。確認するから待ってね。」


「りょうかーい」


 改めて【ステータス】と口にする。


 ――――――――――――――――――――

 名前:蓮夜(れんや)

 種族:吸血鬼

 職業:なし

 魔法:鮮血魔法、凍血(とうけつ)魔法

 スキル:吸血、獣化(蝙蝠(こうもり)

 ――――――――――――――――――――


 さて、どうしようか。


 吸血鬼を選んだ時にも思ったが、吸血鬼は敵として現れることが多い。

 クラスメイトに伝えたところで「敵だ!殺せ!」とはならないだろう。

 ただ、この世界の人にとって吸血鬼が敵だったとき

 僕が吸血鬼だと知っているクラスメイトが口を滑らせる可能性はある。


「僕は戦闘職だと思うよ」


「やっぱ男は戦闘だよな!で?なんの能力なのさ!それが知りたいんだよ」


 剛士の言い方に合わせて戦闘職だと言ったんだけど?

 まぁ、クラスメイトの能力にそこまで興味ないからいいけど。


 とはいえ、伝えられる情報なんて限られる。

 種族は無理。職業はそもそもない。鮮血魔法なんて吸血鬼らしすぎる。スキルは考えるまでもなく論外。


「魔法で凍血(とうけつ)魔法だよ」


1()()()()?でも凍結って氷魔法の上位互換なんじゃね?!すげぇ!

 魔法ってことは職業は魔法使いか。」


 1つだけ、ねぇ。

 剛士の口ぶり的に選べたギフトの数は1つだけじゃないんだろう。


 まぁ吸血鬼しか選べなかったのに、選んだ覚えのない魔法とスキルがある訳だけど。


「爺さんはどんな感じだったんだ?」


「ワシも魔法使いじゃ。使える魔法は炎、水、風、岩、氷、治癒。スキルは魔力増大じゃな。」


 爺さん?あんた本当に魔法使いか?賢者とかじゃない?


「はぁ!?いいなぁ!俺なんて魔法1つだぞ?2つ目選ぼうとしたら『これ以上の魔法選択は不可です』って。

 なんなの?魔法の選択可能数は学力で決まんのか??」


「そんなもんワシは知らんよ」と爺さんと剛士で言い合っている。

 いや。学力で言うなら爺さんは低いだろ。剛士の方が低いけど。


 ともかく、選択できる能力の数には個人差があった。

 僕は1つだけだった。

 にも関わらず、ステータスに表示されるのは1つだけじゃない。


 そういえば「ステータスの項目を注視すれば詳細が見れる」って言っていたな。

【ステータス】と呟いて、種族:吸血鬼を注視してみる。


 ――――――――――――――――――――

 種族:吸血鬼(魔族)


 種族能力

 ・種族魔法:鮮血魔法、凍血魔法

 ・種族スキル:吸血、獣化(蝙蝠)

 ・能力向上

 ・痛覚鈍化

 ・貧血耐性

 ・寒冷耐性

 ・暗視

 ・特定条件下能力半減(陽光接触)

 ――――――――――――――――――――


 鮮血魔法も凍血魔法も、吸血も獣化も種族による恩恵だったわけか。


 スキルに表示されていない能力も気になるが、上から見ていこう。

 一番下にある恐らく弱点を見たくないからじゃない。断じて違う。


 ――――――――――――――――――――

 鮮血魔法(種族魔法:吸血鬼)

  自身の血液が魔力を有し、血液の操作が可能。

  操作には血液中の魔力を使用する。

  血液中の魔力が不足した場合、操作は終了する。


 凍血魔法(種族魔法:吸血鬼)

  自身の血液を凍結可能。

  血液中の魔力を使用して凍結する。

  凍結維持の魔力供給が絶えた時、凍結解除。

 ――――――――――――――――――――


 へー。うん。分からない。

 分からないはずだし、この説明で理解したくないんだけどさ……感覚的に理解させられた。

 この魔法が()()()()()()()()感じられる。

 手足と一緒。普段歩くときに脳で、腕を振って右足、その次は左足。そのまた次は右足、なんて考えない。

 歩く。なんて考えずに歩けるし、この魔法も使おうなんて思わなくても使える。


 魔法の詳細を見るまで、こんな感覚はなかったのに。

 体に流れる血液が力をもって、操作できる感覚。

 この血液にある力が魔力なんだろうな。


 きっと、ステータスの詳細を見ること。それがアクティブ化の条件になっている可能性がある。

 それなら【特定条件下能力半減(陽光接触)】を見なければいいんじゃね?

 その予想を補強するため、次に種族スキルの詳細も確認していく。


 ――――――――――――――――――――

 吸血(種族スキル:吸血鬼)

  求血(きゅうけつ)状態(血を欲する状態)に移行すると犬歯が鋭く変化。

  求血状態の時、スキル吸血が使用可能。

   スキル発動条件:鮮血の摂取(自身は対象外)

   ・効果 治癒、血液回復速度上昇(吸血した対象によって効果量変化)


 獣化(蝙蝠)(種族スキル:吸血鬼)

  ※現在使用不可

  解放条件

  ・吸血にて蝙蝠に該当する獣、魔獣から血液を摂取。

 ――――――――――――――――――――


 うん。予想は当たりだ。

 血が欲しいなんて欲求は今まで感じてなかったわけだし。


 試しに「血が欲しーな」って思ってみる。

 ……これまずいかも。


 説明通り、犬歯が変化した。その鋭い犬歯は吸血鬼すぎる。

 触れて確認して、容姿の特徴がありすぎることを実感する。

「血は欲しくないよー」と思えば求血状態は解除された。

 現状、使うのはなしだな。


 獣化(蝙蝠)は今、使えない。

 それに、条件が嫌すぎる。コウモリ経由で感染する病気は多い。

 それを知っているから、血を吸うのに躊躇いがある。

 病気になってまでコウモリになりたくないよ、僕。


 他の種族能力「能力向上」「痛覚鈍化」「貧血耐性」「寒冷耐性」「暗視」。

 これらも確認して、アクティブしていく。まぁ文字通りの効果だった。


 能力向上は基本スペックが軒並み向上。

 それこそ病気なんかへの抵抗も……うん。コウモリ吸血問題解決した。精神的な面は別としてね。


 痛覚鈍化、貧血耐性、寒冷耐性は、その事柄に強くなる。

 注意点があるとすれば無効ではないところ。


 暗視が一番有能かもしれない。

 暗闇が鮮明に見える。まぁ文字通りの効果だよ。


 で。問題の「特定条件下能力半減(陽光接触)」

 見ない方がいい。分かってる。けどさ、この字面から見てわかるように死ぬわけじゃないんだよ。

 危機的場面で突然アクティブになって急激な体の変化が生死を分かつかもしれない。

 え?見たいんだよ。好奇心に勝てないんだよ。というか、もう見た。


 ――――――――――――――――――――

 特定条件下能力半減(陽光接触)(種族能力:吸血鬼)

 陽光接触時、能力が半減する。能力向上効果停止。

 ――――――――――――――――――――


 シンプル。


 吸血鬼の弱点の代名詞。日差し。

 だが、弱点がこれだけでよかったんじゃないだろうか。吸血鬼の弱点は多い。

「十字架」「銀製品」「ニンニク」「聖水」「流水」「ノバラ」「サンザシの枝」「カラシの種子」

 まだあるかもしれない。許可をもらわないと部屋に入れないとか?

 ……吸血鬼弱点多くね?


 やっぱり、弱点はこれだけでよかったと考えよう。

ちなみに、伯爵が日差しデバフを確認しなくても無駄です。

伯爵がアクティブ化したと思っているタイミング。実は、すでにアクティブ化してます。

魔法・スキル・能力向上・暗視以外は、種族:吸血鬼の確認がアクティブ条件なので。

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