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人でなしのヴァンパイア  作者: 梨味の林檎
1章 リンディア王国
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魔の森.2

「そういえば伯爵。」


「どうした爺さん」


「教室でみんながパニックになっておるとき、「神秘的」だとか「穴が」どうこう言っておったじゃろ?ありゃどういう意味だったんじゃ?」


 うーん。ぶっちゃけ今となってはどうでもいい推測…

 だけど木を調べてるだけなのも暇すぎる。だって何もないんだもん。

 話したっていい。


 暇つぶしついでに爺さんに伝える。

 教室の異常事態が空間の固定によるものだったんじゃないか。

 その中で動けるのは生物だけ。

 固定した意味は。生物だけ動ける意味は。何かを選別しようとしているんじゃないか。

 そう考えたとき、ふるいがイメージに浮かんだからこそ「穴が空く」という発言をしたこと。


「まぁ。僕の推測に過ぎないし、合ってたところで「それで?」な話ではあるんだけど。」


「ほー。あの状況でそこまで考えてたんか。やっぱ異常じゃな伯爵は。」


「爺さんにだけは言われたくないわ。」


 爺さんは知ってる。僕が人らしくないことを。

 爺さんが自身の異常性を吐露したときに僕が話したから。


「じゃが、あの宇宙は何だったんじゃろな。あれが神かもしれんな」


 カカカッと笑いながらそんなことを言う。

 なんでそうなる?


「いやいや、あれが神なら僕は認めないぞ?」


「む?どうしてじゃ?あれにワシらは救われたじゃろ。」


 やっぱ宇宙人が関係すると話がおかしくなる。きっしょいな。


「僕の推測が正しいとは言わない。けど、推測通りなら教室での出来事は宇宙人の仕業だろ。

 全ては僕らを異世界に送るため。教室は選別の舞台。次の宇宙はギフトを渡すための中継地点。

 何をどう考えたら救われたなんて考えになる?」


「教室での出来事は別の何かによるものかもしれんじゃろ?

 それに()()()()のワシらを救ってくれたのは事実じゃろうて。」


「たしかに教室のが宇宙人の仕業とは限らない。けど関係してる可能性は高い。

 それに、死ぬ直前?天井に落下したことか?本当に何を言ってんだ、爺さん。

 教室の天井は死ぬほどの高さはないだろ。受け身をとれなくても爺さんなら怪我しないだろ。

 どうしてそこまで宇宙人の肩をもつ?」


「む?おかしい、のう。どうしてあれがワシらを助けたなんて()()していた?

 たしかにあの程度の高低差じゃ死ぬことはないはずじゃ…混乱しておったか?」


「あれが何者だったとしても今の僕らには関係ないよ。正体を特定できるヒントもないし。」


「それも、そうじゃな。伯爵よ。その話、クラスメイトにはするんじゃないぞ。」


「所詮僕の推測にすぎないんだってば。聞かれない限り話さないよ。」


「いいや。聞かれてもダメじゃ。

 あれ(宇宙人)はクラスメイトの精神を保っている要素の一つじゃ。

 それが善良なものじゃない。ましてや精神崩壊した原因の可能性があるなんて、特大の地雷じゃぞ?」


「おっけー。死んでも話さないわ。」


 めちゃくちゃめんどくさい。繊細過ぎるよ、みんなの精神。

 ただ、僕が原因でまた精神崩壊するなんて、そんな責任負いたくない。


「ちなみに。さっきから伯爵は何をしとるんじゃ?木を眺めてうろちょろと」


「あぁ、その宇宙人がいた方向に生えてる木になんかないかなって思って。

 まじでなにもないけど。あと、あそこの空き地は眩しすぎるから避難。」


「本当に吸血鬼みたいな体質しとるのぅ。

 それに、木に何かあっても見つけるのは至難の業じゃろう。めっちゃ生えとるんじゃからな」


 いや、本当にそう。木が多すぎる。

 さすがに無理か。飽きてきたし。


「爺さんー!伯爵ー!お前ら何やってんだ?こっち来いよ」


 どうやら話し合い(地雷原)に参加しなければいけないらしい。

 爺さんから話聞いた後だと行きたくないんだけどー。


「すまんのー!今行くわい」


「行くぞい」と言った爺さんの目は、逃がさないとでも言いたげだった。


 ……うへぇ。行きますよ。行きますとも。

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