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福岡の怖い噂といえば③お綱門と空誉上人

 福岡に伝わるトラディショナルな怪談というと、「お綱門」の話と「空誉上人くうよしょうにん」の話が怖い噂の双璧ということで良いのかな、と思います。


 これは私が勝手に決めたというわけではなくて、西日本シティ銀行が連載していた「博多に強くなろうシリーズ」のNo.22として、昭和57年に発行された

『博多の幽霊ばなし』(語り手 波多江五兵衛氏 聞き手 帯谷瑛之介氏・小山泰氏)

にも出てきます。

 アーカイブ化されているので、ネットですぐ読めるのが便利。



 さて、それで「お綱門」の話なのですが、メチャクチャ簡単に要約すると

「1630年3月2日、夫が浮気をしていると考えた『お綱』という女性が、薙刀なぎなたを手に福岡城を襲撃したが、返り討ちに遭って扇坂の門で落命。その後、扇坂の門に触れる者がいると病んで高熱が出るようになった」

というもの。


 要約し過ぎて何が怖いのか分からん! と怒られそうですが、いやホントに1630年から1945年までの長きにわたって、福岡では怖がられていたみたいなんですよ。


 さて「怖がられていたのがなぜ1945年までなのか」という点ですが、これには第二次世界大戦が関係しています。


 お綱門は明治期に福岡城から長宮院という寺に移築されたという事ですが、福岡大空襲(1945年6月19~20日)の時にB-29の焼夷弾で炎上。

 現在は残っていません。


 怨霊の恐怖も、リアル空爆の恐ろしさには勝てない、ということなのでしょうか。

 加えて、明治期に門の移築に関わった大工さんたち、大丈夫だったのかなぁ?


 この場では関係ない話なんですけど、紀伊国屋文左衛門が若いころ、海で一つ目大入道に出合ったという伝説がありまして、大入道は

「船頭、怖くはないのか?」

と訊いてきたんですが、文左衛門は「バカ言っちゃいけねえ」と鼻で嗤ったそうです。


「オヌシごとき、なんの怖いことがあろうか。世の中で商売ほど怖いものは無い」


 ま、お綱門移築に関わった大工さんたちも商売・仕事ですからね。

 怖いなんて言っていられなかったんでしょう。

 後で熱くらいは出たのかも知れませんけど。



 さて、もう一方の空誉上人。


 江戸時代の福岡藩には、中州に処刑場がありました。

 その処刑場で空誉というお坊様が罪人の供養を行なったのですが、二代目藩主 黒田忠之がそれを不愉快に思い、空誉上人を捕らえて釜茹でにしてしまいます。


 この空誉上人が300年間ほど祟っていて、処刑場跡には後に福岡県庁ができるのですけど、そこの知事官舎に幽霊が出る。

 ようやく幽霊が治まったのは、昭和初期に官舎の庭に供養塔が建てられてからであるとか。


 ただ昔話的には以上の内容なのですが、念のためにウィキで福岡刑場跡を当たってみると、空誉上人が殺されたのは上人の友人である後藤基次の出奔の責めを負って、みたいな事が書いてある。

 後藤基次って、大坂の陣で豊臣方の侍大将として真田幸村と共に大活躍する後藤又兵衛のことなんですよねぇ。


 すると空誉上人が処刑されたのは、外様とざまである黒田家が徳川幕府にはばかって、という事になり、忠之が無茶な藩主であったというのとは、ちょっとニュアンスが違ってくるように感じられますね。


 天神・中州にあった旧福岡県庁は、永田町の国会議事堂を二回り・三回りほど小さくしたような外観でした。(現福岡県庁は博多区に移転しております)

 跡地はアクロス福岡と天神中央公園になっており、地下は巨大な駐車場です。


 天神中央公園の中には、福岡藩刑場跡の碑がありますが、今では幽霊も出ません。


                         おしまい

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