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「お母様は悪役令嬢」  作者: 輝く泥だんご
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第6話 ただ一つの花

 八十八重宇段大天幕、その三重宇段天幕内に朝の長子の長子が這いつくばっている。降伏の証の父と祖父の首は、眼鏡男の「かむなぎ様の情緒の育成に悪影響この上なし。ポイしなさいポイ」との言葉により天幕のなかには入れず外でさらしものになっている。


 「黒蝶様、私にとっては縁もゆかりもある者ですが、子供を這いつくばらせているのは、かむなぎ様の情緒の育成にやはり悪影響なのではと思う次第、ご寛恕頂ければ誠に幸いなのですが。」


 「馬令殿にとっては祖霊の敵。許すことが許されるとお思いで?」


 「まあ、どうでもいいことです。かむなぎ様への忠義と祖霊への敬意、比べるまでもないことです」

 

 「それに、私身については、頭目とされておりますが、これから生じる様々があって生じる色々な結果、処分と相なるわけですが、正直申せば、個人的に御免被りたい」


 「そこで、かむなぎ様への忠義、そこの朝の長子、この身の保身、全てをまとまる案が御座いますので、是非に、かむなぎ様へ奏上させていただきたく黒蝶女官長へ許可を申し上げます。」


 「面白そうだね。ああ君の名なんて言ったかな。平伏を解くよ。」


 醉妖花は自然に顕現する。


 顔を上げた今上帝は、異元そのものを見た。


 「どうです?名目上はこの方の上に私がいるんですよ。誰もそう、私もそう扱ってはいませんがね。」


 「ご無礼をいたしました。かむなぎ様。奏上したいことは既にシッソ首席補佐官より決を受けております。さて、その旨は、」


 「一つ、朝を続ける。今上帝は首を持ってきた孫娘のままとする。一つ、新しき教を示す。かむなぎ様は醉妖花として天に咲く。最後に、天中に咲く花は醉妖花、ただ一つのみ」


 「後は、様々なものが様々なことをする。私めもその様々の様々な内の一つということです。手筈は既に整っております。是非に御裁可を」


  ~東英記~


 朝に花咲く。その色、空を満たす。東英歴一万五千三年睦月二十七日の六半の刻、帝国を戦火の海に沈めんとし八の国々兵を起こす。将兵無き帝国は蹂躙されるのみと八の国々は揚々と帝国の地を踏む。されど、亡き将兵八十億は、亡きこと無くし、全て波濤となりて八の国々を飲み込み大乱の始まりとなる。


  ~東英記~


 「しかし、ド変態はやっぱりド変態ね」

 白々のパタパタ1号は汽車の外を一等車の部屋中から窓の外を眺めながら青々のパタパタ2号とくんちゃんに話しかける。


 青々のパタパタ2号はウイスキーを一気飲みしながら


「超越変態は超越変態だなお。しかし、作戦としては普通にベーシックプランだなお。そしてあの超越変態とミントちゃんを同じカテゴリに分類するのには非人道的行為、条約違反だと断定するしかないなお」


 「でもなー、こればっかりはなー、くんちゃんはなーなお。しかたないなお。諦めることも現実なんだなお。このウヰスキー結構いけるなお」


 「なんで俺があの変態と同カテゴリなんだよ!」


 「なんでって、貴方の発注元はあの変態じゃない。まあ、確かに同カテゴリというよりはあの変態の家族なのかしら。」


 「それだけじゃないなお、『裏の商品は品質管理一つとっても問題があることが多いですから、何かにつけて心配するより自作してしましまいますか。』といって自前で裏の組織を立ち上げたなお。今は独立組織として元気いっぱいにやってるお、ふ、他呪多重間者のミントちゃんは働き者なんだなお―✧ヾ(❀╹◡╹)ノ゛」


 「あ、ついでになお、くんちゃんは半陰陽の予定だったなお。それが馬令上人の『親愛なる友人よ、非学非才の私にはフタナリは理解できないのです』の発言で取り止めになったんだなお」


 ミントちゃんもそれは属性盛りすぎだと思ったなお。と今度はブランデーの一気飲みを始める。


 くんちゃんは白く砂糖を振った焼き菓子を上品に食べ、紅茶を飲み、飲み終えると、震える手でソーサーにティーカップを叩きつける。


 「やろう、ぶっ殺してやる。」


 「いや、無理でしょ」


砕け散ったティーカップとソーサーを一瞥しただけで復元した白のパタパタ1号がいう。


 「あのド変態、ド変態じみた力だけど、意外に小器用なこともできるし、今回の騒動だってそうでしょ。」


 「そーかなーなお、今回のは、政治、戦略、戦術の三階建て釣り野伏なお。定石なお。というか闘争の必然なお」


 「まず、大目標を設定するなお。大目標を達成する為の行動群A{-}を設定するなお。行動群A{-}を中間第一目標群A{-} とするなお。中間第一目標群A{-}を達成するための〜と以下相互作用できるものは相互作用させながら繰り返すなお。繰り返しが終わったら後は一括実行のみなお。」


 「言うは易く行うは難しじゃない。それ。やっぱりド変態よ」


 「え〜と。今回の場合はどうなんだ。」


「簡単なお、大目標は醉妖花様をただ一つの花として天中に咲かせることなお。そのために様々なことを色々するんだお。当然、醉妖花様のお力を示す事が必要不可欠なお。そのために八十億程の人間ぶっ殺して死体が十分腐ったら、なんの瑕疵もなく生き返らせるんだお。極超巨大聖都もこれにはびっくりなんだお」


 「そして終極、醉妖花様が全ての中心になるんだお」


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