第4話 可愛いミントちゃん
八十八重宇段大天幕大開口に向かって走るものがいる。上質の布で縫製された文官服を着た幼女である。その幼女はある人物を見つけるとさらに速度を上げ、そして
開幕一発初手土下座、もちろんMAXFULLコンボ確定狙いである。
「将軍!なんとか、そこを何とーか、あ、待って将軍お願いです将(中略)ということでもう既にかむなぎ様の決裁済みですので、ひとつ、そう云う訳で、まあ、私としても思うところがないわけではありませんがホントホントに、ただこれもかむなぎ様が定められたことでありますから。では、以上よろしくお願いたします。」
と「Flower Garden of hell」の最高有意識下駆動機関員文官の称号「百薬」を持つ「ミント」(ただしノキの根が髄という髄に張り付いている)から暁鐘は、醉妖花から発せられた訓令の文書をいささか仰々しく受け取ると
「これもまた宮仕え、ならば、かむなぎ様の恩徳が天宮に満ちてゆく、なんと喜ばしいことであるか。」
「あのご理解いただいてます(頭大丈夫)?」
ミントの正直、不敬に直撃する疑問に対しても暁鐘は
「「逃した不埒ものの首をとれ」との勅、はてさてこの不埒ものとはいったい誰のことであろうか。一考、一興である。」
泰然自若である。
「あの、暁鐘将軍殿、先の私の発げ
ミントの言葉を切り、暁鐘将軍が言葉を発する。
「わかっておるよ。ノキから派生した忌み枝を剪定しろということは。ただ、何故、ノキ自身が行かぬのか、そのことに思い当たることはあるのだが、正直気が重い。重いがこれも宮仕えであるということだろうよ。ーさて」
「我が忠義に一点の歪み無し、醉妖花よ、我が武威を御照覧あれ!」
大見得を切り、六つの腕で空間を毟り切る。
そのまさに毟り切ったと同時にその空隙から空間破砕が暁鐘の頭部に放たれる。が、暁鐘は身じろぎもせず、その空間破砕を直に受ける。
而して空間破砕はそれを放った術者の力量を示し、暁鐘の首から上を消し飛ばす。
間髪入れず、二撃目、三撃目の空間破砕が暁鐘の胴体に刺さり巨大な穴を穿つ。
しかし、体躯の過半を消されたにもかかわらず、残った巨腕の一つがぬるぬるりと空隙にもぐりこみ、その手が術者の頭部を掴み、術者をこちらの空間へと引きずりだす。
「おっおー、さすがは、将軍、お見事ですなお!」「不埒ものをとっ捕まえしたなお!」「本当にシッソ事務次官によく似ているなお!」「ちょっとぶっ殺してもいいかなお?」
キャラ付けなのか、それとも単純に気に入ったのか、語尾になおなお、おめめはキラ✨キラ✨ミントちゃんは今日もホントにかわいいね♡
しかし、可愛いミントちゃんのささやかな願いが叶うことはなかった。(´;ω;`)
暁鐘は真綿でくるむように忌み枝を優しく掴み、自らの欠損した身体に、その空になった空間にゆっくりと運ぶ。すると残った身体から太く、細く、幾つもの血管が、あるものは脈打ちながら、またあるものはねじ曲がった針のように静かに伸びてゆき、忌み枝にそれらが触れた瞬間。
何事も、欠損どころか、かすり傷の一つもない身体の暁鐘がただ在った。忌み枝はその全てが無くなり亡くなった。
一拍おいて
「健啖家としても豪快ですね。曉将軍。少しずつ切り分けて使えば万薬にも、肴にも、何にでも望むように楽しめたでしょうに」
呆れた様にミントがいう。
「毒食わば皿まで椅子まで机まで、白状すると、全く余裕がなかったのだよ。今思えば、確かに切り分けてミント殿をはじめ皆と共に食すことも出来たのだが、全く恥ずかしいかぎり、誠に申し訳なかった」
面目次第もないと巨体を縮める。
「いえいえ、悪いのはシッソ事務次官に決まっています。そう、この世の悪いこと全てはノキ事務次官のせいと定められています。少なくとも『Flower Garden of hell』では皆、確信しております。故に!」
「ミントちゃんが公認他呪多重間者なのも、これ、すなわちシッソ事務次官が悪いんですなお!いったい幾つ重ねているかミントちゃんでも分からなくなってるんだなお~。やっぱりシッソ事務次官が悪いとしか考えられないなお(`・ω・´)シャキーン」
「だから将軍も気にするなお!」
ほのぼのミントちゃん仁王立ち、文章が意味不明?気にするなお!