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「お母様は悪役令嬢」  作者: 輝く泥だんご
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第58話 彡 ⌒ ミ✨


 成金趣味万歳万歳の金ぴかぴか宝石じゃらじゃら、あれもこれもそれもオークションにかければ天井知らずの値が付く調度品に囲まれた秘密の部屋で、由緒正しき両手をあげた勝利の姿をした中年のおっさんズ、当然全員頭も禿げ上がって部屋の金ぴか具合をあげているーの中のひとりローレン・ドミニエフは勝鬨を上げた。

「我らの勝利ぞ。GoldenRaspberryの新たな夜明けぞ。いっつまでも生え際がしつこい老人どもも、クッソ生意気な毛根を見せつける若造どもも、我ら”ハイパーレバレッジ全ツッパ友の会の育毛剤費となり果てましたぞ!!彡 ⌒ ミ✨」


「やつらの恩義の声が聞こえるようですな!彡 ⌒ ミ」


「いやまさに有史以来の一本大糞の後の超絶大噴火+結局の全戻し教会、天底を取れたのは我らのみ。脳汁で溺れそうでしたワハハ!彡 ⌒ ミ」


 ドミニエフは満足そうに友の会会員を見渡し

「勝って兜の緒を締めよ。利確兆^兆↑↑人力といいますぞ!!彡 ⌒ ミ✨」


「確かに出金せねば死んでも死に切れませんな彡 ⌒ ミ」


 彼ら「ハイ(〜中略〜)の会」はGoldenRaspberry教のなかでは異端、というより不快害虫のごとき扱いを受けている。商いではなく遊び、ギャンブル依存症のハゲ共、GoldenRaspberry教のまさに面汚しであると。

 しかし、彼らには彼らなりの信念、信仰があり、それも黄金なる果実の一つであると信じている。

会の会員がドミニエフに話しかける。

「しかし、流石、ドミニエフニキですぞ、骸薔薇の勝利とその勝利による骸薔薇の支配の甘受が利潤をもたらすとは、凡愚である私めには電車が止まるの確定としか思えませんでしたぞ彡 ⌒ ミ」


「我らが友、リチェード、会則にもあるとおり、『リスクは資源、奪ってでも取れるリスクは最大にしろ、でも逆張りは勘弁な』に従ったまでですよ彡 ⌒ ミ✨」

”おお”とどよめく友の会、会員達。

「骸薔薇、いえ骸薔薇様が復活されたのであれば、あらゆる抵抗は無意味、むしろ最初の戦いで殺した兵を復活させた事に注目すべきですぞ。それもわからず馬上人を手厚く遇しなかったアホ共にGoldenRaspberry教を任せるわけにはいかぬのですぞ!!彡 ⌒ ミ✨」

 やや興奮した口調でしゃべり終えると手にしたグラスからガバリとワインを飲む。余談ではあるがそのワインは投機目的で取引される一品で実際に飲むことは考えられない値がついている。

 

 会の会員ロドニーがドミニエフはじめ会の会員に話しかける。

「まあ、これで我ら『ハイパーレバレッジ全ツッパ友の会』がGoldenRaspberry教の主導権を握るわけですが、問題が一つ、我々友の会の会員は圧倒的に少数派と云う問題があります。今から友の会の会員を増やすわけにもいかず。どうすべきか悩ましいところですぞ彡 ⌒ ミ」


 彼ら「ハイ(〜中略〜)の会」はその会の性質上、死亡率が極めて高く、ストレスで禿上がる前にこの世から退場するのが常であった。

 

「『情報は金なり、しかし情報を読めぬものはすなわち退場』ですぞ、我らが友ロドニー、骸薔薇様の役人を受け入れてしまえばよいだけですぞ」

何の問題もないと云う様に発言するドミニエフ、しかし


「その発言の意味が分かっていらっしゃるのですか!ドミニエフニキ!彡 ⌒ ミ」

騒然とする室内であるが、ドミニエフは落ち着いたものだ。


「わが友たちよ聞いてほしい

 会則第1条『すべてはマネーゲーム。故にハイパーレバレッジ全ツッパなり。例え命を失うとも』

 みなこの会則に命を差し出したはず。故に我等は友である。其の友として言う

『gamechanger』だ。ゲームが変わったのだ、ならば適応せなければない。ゲームを続けるために彡 ⌒ ミ✨」


 静まり返る室内、だがドミニエフに反抗する雰囲気ではない。むしろ、皆、決意を持って新たなゲームに挑戦しようとするプレイヤーの目であった。


「では、新たなゲームの第一手として、骸薔薇様のお役人への挨拶に参りましょうか」

ドミニエフは立ち上がり、魔法金の杖を手に取った。その姿は成金趣味の極みでありながら、どこか威厳すら感じさせる。


「ドミニエフニキ、その前にひとつ確認を彡 ⌒ ミ」

リチェードが声を上げる。

「骸薔薇様のお役人とは、あの噂の『ノキ=シッソ首席補佐官』のことでしょうか彡 ⌒ ミ」


「その通り」

ドミニエフは満面の笑みを浮かべる。

「世界を賭けたプレイヤー同士、きっと分かり合えると確信しておりますぞ彡 ⌒ ミ✨」

「まさか、ドミニエフニキはノキ首席補佐官と取引を?彡 ⌒ ミ」


ロドニーが息を呑む。


「いやいや、取引などという生易しいものではありませぬぞ彡 ⌒ ミ✨」

ドミニエフは窓際に歩み寄り、夜空を見上げる。

「我らが目指すのは、全てを賭けた『唯一無二のgame』。骸薔薇様の世界で、究極にして至高のリスクを味わうのですぞ!彡 ⌒ ミ✨」


「流石ですぞ、ドミニエフニキ!!。ニキの光輝く姿はまさに醉妖花様の美しさを引き出す一品に相応しい!!」

 何処から、何時から入り込んだものやら、ノキ=シッソが感極まりましたとばかり、目頭をハンカチで押さえる。どんな清浄地にも入り込む黴菌のような男である。


 しかし、流石は「(全略)」の会、会長であるドミニエフは動じない。禿げ上がった頭皮こそがくぐった生死の際の数を示している


「その完璧なフサは、私にはわかりますぞ、涙ぐましいまでの防ハゲ対策の結晶だということを。それを現実のものとして実行できるあなたこそが、ノキ=シッソ首席補佐官だということを!彡 ⌒ ミ✨」


「お判りいただけますか!なんかもー、無類無敵のド変態扱いの私ですが、際の後退が、ウッとなるときもあるんですよ。しかし、完璧でなければならない。無類無敵のド変態であることが皆の安寧そのものであるために!」


「その瞬間こそが、リスク極限のときこそが、首席補佐官が最も輝くとき、我ら「(全略)」の友、全員は魂の底より賞賛を申し上げますぞ!彡 ⌒ ミ✨」

 ドミニエフは魔法金の杖を投げ出し、ノキは白手袋を外しガシッと握手をする。 


 同じ部屋の別の場所では、他の「ハイパーレバレッジ全ツッパ友の会」の会員達も、この異様な光景を滂沱の涙を流しながら見つめていた。彼らの友の会会長が、噂に聞くノキ=シッソ首席補佐官と固い握手を交わしている。


「失われし毛根は今日この時のために金聖樹にささげられたのですな彡 ⌒ ミ」

リチェードが呟く。


「まさに、これこそが真の『唯一無二のgame』の始まりですぞ彡 ⌒ ミ」

ロドニーは興奮気味に応える。


ノキとドミニエフの握手が終わると、ノキは満面の笑みで会員達を見渡した。

「さて、皆様にはGoldenRaspberry教の新たな舵取り役として、大いに活躍していただきます。もちろん、リスクについては最早、説明はいりませんよね」


「おおっ!首席補佐官、それは本当ですか!彡 ⌒ ミ✨」

ドミニエフの目が輝く。


「ええ、まずは『帝都直通高速転移陣の管理運営権』を皆様にお任せしましょう。もちろん、決して失敗があってはならない仕事ですが、これは始まりにすぎません。必ず『(全略)』のご友人、皆様を満足させる『game』をご用意いたしましょう」


部屋中が興奮の坩堝と化す。友の会の会員達は口々に歓声を上げ始めた。


「リスクはチャンス!彡 ⌒ ミ」

「生涯最高のゲームに登録いたしましたぞ!彡 ⌒ ミ」


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