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「お母様は悪役令嬢」  作者: 輝く泥だんご
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第51話 部屋が汚ベ

 同じ顔、同じ声の、但し、超越変態のノキ=シッソ首席補佐官が世界を隔てる時空からニチャアと現れた。瞬間

 Ⅲ両刃双の大鎌がプランク単位の鋭さの幾千億の斬撃でノキの首を切断する。

 然し、ノキ=シッソの永久尽界が虚数域に及んでいるためノキの永久尽界は無傷である。

 而して、いつの間にか八つに増えた己が頭部をお手玉しながら

「ほたるくんちゃん。おっきくなったって聞いてお兄さんは嬉しくなっちゃんたんだぁ〜。まだまだ持続可能な属性の開発の可能性は無限大だよね」×8

と頭部を八つ頚に接続させ一つにコネコネする。

一つにコネコネした後

「暁鐘統合元帥、よくぞベルギア=シッソを生かさず殺さずの状態にして下さいました。此処まで弱体化すれば、(´~`)モグモグ可能ですよ」

「それでは醉妖花様の為に、お父様、いただきます♡」

 ノキ=シッソはそう言うと、ベルギア=シッソの身体に、まるで樹木の根のように、自身の腕をねじり込んでいく。ベルギア=シッソは苦痛に顔を歪めるが、抵抗する力は残っていない。


「私を取り込むとなれば、私の意思も取り込むことになるぞ」


「大丈夫ですよお父様、醉妖花様にお会いすれば万寿すら完了ですよ」


 ノキ=シッソはそう言うと、ベルギア=シッソの構成する情報を取り込み始める。

 ベルギア=シッソを構成するすべては、完全にノキ=シッソに吸収された

「結構、お父様の遺志が強いですが、まあ許容範囲内ですね」

 ノキ=シッソは満足そうに手を叩くと、月跡たちへと視線を向ける。

「さて、お待たせしました。月跡お嬢様、そして、酔妖花様の愛しき伴侶となるべき方」


 ノキ=シッソはローラへと歩み寄り、深々と頭を下げた。

「あなたをお連れするのが、私の使命です。どうか、私と共に、醉妖花様のもとへ」


「分かりました。ただ時間をください」

 ローラは、ノキ=シッソの申し出を、条件付きながら受け入れた。

「どれほどの時間が必要ですか?」

 ノキ=シッソは、ローラに優しく尋ねた。その瞳には、ローラへの理解と、醉妖花への忠誠が宿っていた。

 ローラは、少しの間、考え込むように目を伏せた。彼女の中で、様々な感情が渦巻いていた。恐怖、不安、そして、未知の世界への期待。

「三日、三日だけ時間をください」


「分かりました。では三日後に交易都市アラビリスでお会いしましょう」

ノキ=シッソはそう云うと「報告がありますから」と来た時と同じようにニチャアと世界を渡っていった。


「三日後かー。もっと時間を貰ってもよかったんじゃね」


「そうなお、三年とかでも醉妖花様は怒ったりしないなお、というかネリウムの子達と新生アラビリス帝国関係どーすっかなお」


「私自身もそうですが、アイリーンさん達も今後どうするか決めなくてはなりませんね」


「あら、全部持っていくのではなくて、何一つ、別かれる必要も理由もないわよ」

月跡が不思議そうに云う。


「そんなんだから部屋が汚ベ


「何か言ったかしら。ミント?」

 にこっりと微笑む月跡。


「仔細は分からぬが、醉妖花様は来るものを拒む方ではない、骸薔薇様には私から話を通そう。問題も不安に思うこともないぞ」

 暁鐘統合元帥が請け合う

「んじゃ、アラビリスに戻るとするか。元帥はどうするんだ」


「私は骸薔薇様のところへ一足先に戻るとするよ」


「よろしくなお。特にノキ首席補佐官がしでかさないよう『百薬』として願うなお」


ミントの嘆願に暁鐘統合元帥は頷き、骸薔薇の下へと去った。


 交易都市アラビリスに戻った月跡たちは、ネリウムの本店に集まった。広々とした会議室には、月跡、ほたる、ミント、瑚沼崎、そしてローラの姿があった。


「さて、三日しかないわ。やるべきことは山積みよ」

 月跡が口火を切った。


 ミントが頷きながら云う。

「そうなお。まず、ネリウムの娘たちと新生アラビリス帝国の今後について決めないといけないなお」


「俺は、このままネリウムと帝国を存続させるべきだと思うぜ」

ほたるが意見を述べる。

「せっかく作り上げた組織だしな」

瑚沼崎が静かに付け加えた。

「確かに、我々がいなくなった後も、この世界には秩序が必要でしょう」


「じゃあ、具体的にどうする?」


ミントが指を折りながら説明を始めた。

「まず、アイリーンたちに状況を説明し、今後の帝国運営について相談するなお。次に、ネリウムの娘たちに新しい使命を与えるなお。そして、この世界の各勢力にも、状況の説明と今後の協力を求める必要があるなお」


「それと、ローラの中に眠る『探し人』の力を引き出す準備も必要ね」

 月跡が付け加えた。

 

「私が持つ『人喰い』の生命操作の力で、ローラの中の『探し人』の意識を少しずつ表面化させることができるかもしれません」

瑚沼崎が静かに提案する。


「お願いします」

 ローラは少し緊張した様子だったが、頷いた。


「よし、じゃあオレはアイリーンたちのところに行ってくる」

 ほたるが云った。


「私はネリウムの娘たちに説明するなお」

 ミントも立ち上がった。


「私は各勢力との交渉を担当するわ。瑚沼崎はローラのサポートを頼むわね」

 月跡が最後に云った。

 全員が頷き、それぞれの任務に向かって動き出した。

 新たな世界の幕開けに向けて、準備は着々と進められていった。

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