第50話 ( ´ ▽ ` )ノ
赤い光が辺りを包み込み、轟音が鳴り響く。時空が歪み、事象の地平面が消滅していく。暁鐘統合元帥とベルギア=シッソの創造した世界は、互いの力に耐えきれず、虚無へと消え去り世界は元に戻った。
互いに世界を創造してから僅か数六徳の間の出来事であった
月跡のみがその僅かな時間を、しかし月跡にとってもほんの僅かな時間として察知し、残りの4人を守る乗乗結界を展開した。
「驕れるもの久しからず。まさか、まさかここまで私が追いつめられるとは、流石、暁鐘統合元帥」
ベルギア=シッソは崩れ落ちた建物の瓦礫の山の上に、なおも泰然自若と立ち、全身から黒い霧を噴き出しながら言葉とは裏腹に力強く言った。
「しかし、貴方もまた限界でしょう。この一撃で決着をつけましょう」
ベルギア=シッソは、黒い霧を凝縮させて巨大な黒い球体を形成する。球体は、不気味な脈動を繰り返し、周囲の世界を造り替え始める。
暁鐘統合元帥は、ベルギア=シッソの最後の攻撃を感じ取り、六つの腕で六本の大金棒を打ちつけて一本の大金棒に錬成する。その大金棒は、先ほどまでのものとは比べ物にならないほどの大きさで、漆黒の表面には、無数の怨霊の顔が浮かび上がっていた。
「ノキは親不孝者であるな。このようなものを私に渡すとは」 暁鐘統合元帥はそう言いながら、巨大な大金棒を構える。その表情には、苦笑と決意が混ざっていた。
「さあ、最後の一撃だ」
暁鐘統合元帥は、全身の力を込めて大金棒を振り上げる。その動きに合わせて、世界そのものが揺れ動く。
一方、ベルギア=シッソは黒い球体をさらに凝縮させ、その中に無限の可能性を詰め込んでいく。
「これこそが、私の全てだ」
ベルギア=シッソの声が響く。黒い球体は、もはや単なる物質ではなく、一つの宇宙のように輝いていた。
この二つの力により世界の形そのものが崩壊し始める。
月跡は結界を最大限に強化し、仲間たちを守る。
「みんな、しっかりと身を寄せて」
「この世界、もう限界なお」
「 ネリウムのネットワークが機能していません」
「糞が、ノキを殺すまでオレは死なんぞ」
「皆さん、絶対に諦めないでください」
そして、暁鐘統合元帥の大金棒とベルギア=シッソの黒い球体が衝突する。
その瞬間、全てが白く染まり、そして世界が消えた。
残念無念、月跡たちの冒険はここで終わる。
『ううん、まだ終わらないよ。そう、これでお終いじゃないんだ』
『探し人』の声によって、終わるはずの世界は観測されず、在りえるはずのない終わらない世界が観測され確定する。
暁鐘統合元帥の半身は吹き飛び傷口からじくじく血を流しながら月跡たちのもとへ向かい、ベルギア=シッソもまた大金棒により上半身の大半を消し飛ばされた内臓のない身体で月跡たちのもとへ向かう。
『探し人』の声を発したローラのもとへ
ローラのもとへ来た二人はがばり地に伏し、それぞれ口を開く
「御君、我らが花が今咲かんとお待ちです。どうか我ら共に、それが全ての幸福となりましょう」
「御君、なりませぬ。御身が妖花の根に捕らえられれば、それは全ての苦しみとなりましょう」
ローラは震える声で二人に告げる。
「私はローラ、ネリウムの娘、『探し人』ではありません」
「そうよ、勅命で下された『彼』とは違うわ」
月跡も流石に困惑したように云う
「その通りです。それにネリウムの娘は全て私の眷属、私の管理下にあります。ローラに何も特異なことはありません」
ミントは断言する。
「いや、よく見れば違和感があるだろう。ローラ殿の体内に霞のように散らばっている影が集めれば赤子分程の影が見えるはずだ」
「アレか、母親の胎内にいるときに混じっちまった奴か。聞いたことはあるけどな、探し人がそうだとは、まさかだぜ」
「確かに胎児の段階で混じり込んでいるとは、これは想定外でした」
小沼崎はローラの生命力を改めて確認する。すると確かに一つの命になってはいるものの『色』が異なるものが細かく散っている。
「ローラ、貴方は何かを感じなかったの?」
月跡は、ローラに優しく尋ねた。
ローラは首を横に振る。
「いいえ、何も。ただ、時々記憶がはっきりしなくなるような、でも分かりません」
「そうね、まあ、胎児の段階で混じり込んだのなら、自覚がないのも無理はないわ」
月跡は、そう呟くと、暁鐘統合元帥とベルギア=シッソに視線を向ける。
「さあ、どうなさるおつもりですか?暁鐘統合元帥、ベルギア=シッソ」
月跡の問いに、暁鐘統合元帥は、血まみれの顔で苦笑いを浮かべた。
「私の役目は、醉妖花様のもとへ『探し人』をお連れすること。それが全てです。しかし、この状況では、御君の判断を仰ぎたい」
暁鐘統合元帥は、視線を月跡に向ける。
一方、ベルギア=シッソは、神妙な表情で話す。
「私の使命は、あの忌まわしい妖花から、御君とあらゆる全ての世界を守ることです。しかし
「ハーイ( ´ ▽ ` )ノパパお元気そうでcheck iti nowじゃなくてcheck mate now」




