第45話 廃鉱山
一方、聖地都市レイタニアでは、月跡達が『深き茂み』の拠点へと向かう準備を進めていた。
「ミント、情報収集は済んだかしら?」
月跡は、ミントに尋ねた。
「深き茂みの拠点は、レイタニア郊外の廃鉱山にあることが分かったなお。警備は厳重で、多数のLP強化兵と忌み枝が配置されているなお」
「ふむ、問題ないわ。ほたる、瑚沼崎、準備はいいかしら?」
「もちろんだぜ!」「万端です」
月跡、ミント、ほたる、瑚沼崎の四人は、領事館を出て幌馬車に乗り込んだ。
御者席には、ローラが座っている。
「ローラ、深き茂みの拠点へと向かいなさい」
「かしこまりました。月跡様」
ローラは、手綱を握り、馬車を走らせた。
レイタニア郊外の廃鉱山は、かつては、この地域の主要な鉱物資源の産出地であったが、資源の枯渇により、数十年前から閉鎖されていた。
その廃鉱山は、現在、『深き茂み』の拠点として利用されている。
幌馬車は、廃鉱山の入り口に到着した。
「ここが『深き茂み』の拠点か…」
瑚沼崎は、廃鉱山を眺めながら呟く。
「なかなかの警備だなお」
ミントは、周囲を警戒しながら言った。
廃鉱山の入り口には、多数のLP強化兵が配置され、厳重な警備体制が敷かれていた。
「行くわよ」
月跡は、そう告げると、幌馬車から降り、廃鉱山の入り口へと歩みを進め永久尽界を展開した。
月跡の周囲に、銀色の光が放たれ、廃鉱山の入り口に配置されていたLP強化兵たちは、その光に包まれ、一瞬にして消滅した。
「なんだ?」
廃鉱山内部にいた『深き茂み』の忌み枝たちは、入り口で起こった異変に気づき、駆けつける。
「敵襲!」
忌み枝たちは、月跡達に向かって攻撃を仕掛けるが、月跡達は、圧倒的な力でそれを迎撃する。
「ほたる、瑚沼崎、ミント、好きにやりなさい」
ほたるは、16歳の姿になってⅢ両刃双の大鎌を振りかざし、闇の中を駆け抜け、忌み枝たちをなぎ倒していく。
瑚沼崎は、両腕から無数の触手を伸ばし、忌み枝たちを捕らえ、その生命力を吸収していく。
ミントは、自身の永久尽界を増殖させ、忌み枝たちを包み込み、その肉体と精神を破壊していく。
月跡達は、圧倒的な力で、『深き茂み』の忌み枝たちを殲滅していく。
「なんか弱い枝ばかりだなー。ホントに拠点か此処?」
「いえ弱くはありませんよ。最初の月跡お嬢様以外全滅した忌み枝と同じ強さです」
「マジで、遂に、俺TUEEEになったのか」
「強くなったのは間違いありませんが、数体合体したものが現れたら月跡お嬢様以外は厳しいでしょうね」
「ほたるちゃん油断大敵なお。おいちゃんもフラグみたいなことを云ってはダメなんだなお。ローラちゃん無理せずについてくるんだお」
そう言葉を掛けられたローラであるが単独の忌み枝相手ならば優勢に戦えている。ミントの能力の向上が眷属たるローラにも作用しているのだろう。
「それにしても静かですね」
廃鉱山の奥深くまで進んだにも関わらず、敵の抵抗は想定よりも弱かった。警備兵や忌み枝は、次々と倒され、抵抗らしい抵抗もなかった。
「罠かしら?」
月跡は、周囲を警戒しながら言った。
「あり得るなお。相手はあの変態の分体だなお。油断は禁物だなお」
ミントも、月跡に同意する。
「それにしてもこの拠点には何があるんだ。聖地都市レイタニアには魔薬生産拠点が会ったけど、それに匹敵するようなもんがあんのか?」
坑道を降りながらほたるがミントに訊く。
「武器、いえ、兵器のようなものを研究しているとか、詳しくはわからなったけど」
「じゃあ俺の本質で操作可能かな。また俺TUEEEになってしまうぜ」
「やめときなさい。ほたる。忌み枝が作るモノなんて呪われるわよ」
「その方がいいでしょう。何やらこの障壁すら超えて理外の力を感じます」
坑道に張られた、いや坑道の奥を中心とした球のように障壁が展開されている。
「障壁を壊すのは止めておいた方がいいわね。理外の力が溢れだすわ」
「ということでミントちゃんの出番なお。理外の力で同調して浸潤の力で障壁にもぐりこむなお。じゃ始めるなお」
ミントは深呼吸をし、自身の永久尽界を障壁へと向ける。暁鐘統合元帥の眼球から得た「理外」の力と、ノキ=シッソから受け継いだ「浸潤」の力を同時に発動させる。障壁は、ミントの力に反応し、激しく波打つ。しかし、ミントは怯むことなく、障壁へと自身の力を注ぎ込み続ける。
「理外」の力が、障壁の理を歪ませ、僅かな隙間を作り出す。その隙間に「浸潤」の力が入り込み、障壁の構造を内側から解きほぐしていく。ミントの額には汗が滲み、身体はわずかに震えている。二つの異なる力を同時に扱うのは、想像以上に負担が大きかった。
ミントは歯を食いしばり、集中力を高める。障壁は、ミントの力に耐えきれず、障壁に移動可能な部分が発生したが、その瞬間、ミントはその場に倒れ込んだ。
「ミント!」
ほたるは、ミントに駆け寄る。
「大丈夫よ。少し疲れただけだなお」
月跡は、ミントの傍らに膝をつき、その額に手を当てて、魔力を流し込む。
「これは」
そこは、広大な地下空間だった。空間の中央には、10feet程のゴーレムが鎮座していた。




