第43話 ベルギア=シッソ
一方、ミントとほたるは、忌み枝たちとの戦いを続けていた。忌み枝たちは、レイタニアの地下要塞で合体し、さらに強力な存在へと進化していた。その姿は、もはや人間の面影はなく、巨大な黒い樹木に無数の目がついた異形の怪物と化していた。
「強い!」
ほたるは、Ⅲ両刃双の大鎌を振るうが、忌み枝の永久尽界を切り裂くことができない。逆に、忌み枝の放つ黒い蔦に絡め取られ、身動きが取れなくなってしまう。
「このスケベ変態失敗作が」
大鎌に永久尽界の刃を装着し黒い蔦を刈る
。
「確かに失敗作の癖して強い」
ミントが永久尽界に浸潤出来ないか何度か試しているものの上手くいっていない。
失敗作と云っているのは虚勢でも何でえもない、合体に成功し純化すればノキ首席補佐官の姿により近しくなるからだ。人の姿すら保てていない失敗作がここまで強いのは誤算だった。
だが失敗作である以上、何らかの弱点があるはずだとミントとほたるは考えている。
「お約束だと時間制限だったり、一定以上の力を使うと崩壊するんだがな」
「だったら遊んでいるだけで勝てるんでしょうけど。仕掛けるわ。時間を稼いでほたる」
「了解!」
永久尽界を纏った大鎌をの斬撃を黒い蔦をかいくぐって幹に直接喰らわせる。この攻撃には月跡の眷属としての焼き尽くす能力を加えている。いまだ不完全ではあるが、失敗作の幹に消えない火をつけることに成功した。
「まだまだ」
永久尽界の刃を装着し月跡の火を纏う大鎌を振り回し、蔦のみならず枝すら両断していく。流石に永久尽界までは焼き尽くせないものの明らかに永久尽界の耐久力が落ちてきている。
「ほたる、充分よ」
ミントがホタルに伝えると、ミントは自らの永久尽界の力「理外の力」、「浸潤」、「増殖」を一度に使用する。
忌み枝の永久尽界はまだ傷ついていないものの理外の力で理屈そのものをねじ伏せ浸潤の力で忌み枝の永久尽界の内部に入り込み一気に増殖する。
異形の忌み枝は現世の己の体と自らの世界である永久尽界を破壊され遂に敗死した。
「すげーじゃんミント3種類の力を使えるなんて、増殖した永久尽界も自分の力にできるんだろ?」
「流石にそこまでは出来ないなお。本質が3つもあるので拡大解釈とその徹底ができてないなお。増殖した永久尽界はミントにとっても今は異物だなお」
「ふーんそれでもすげーじゃん。『深き茂み』の連中に一泡吹かせられるじゃんか」
「こちらも大丈夫なようですね」
「お、益男のおいちゃん生産施設の方は片付いたかなお」
「片付きましたが、問題がありまして、どうしたものかと」
「それに今回の後始末どうすればよいのか、悩ましいところです」
「それこそ情報戦の出番なお。レイタニアが首謀者となって反新アラビリス帝国同盟を画策、それを最高戦力「月跡」が粛清したでいけるなお。反論できるやつはもう燃え尽きてるからなお。それに魔薬に『深き茂み』のことを考えれば、別に嘘は言ってないなお」
「では、まずは、月跡お嬢様に報告に行きますか」
在レイタニア・アラビリス領事館、貴賓室。
月跡は、ミント、ほたる、瑚沼崎の報告を聞いていた。
「そうね今回の後始末はミントの案を採用しましょう。問題は瑚沼崎の報告の内容ね」
「深き茂みが『探し人』に何もしていないとは思っていなかったけど、直接捕らえられているとはね」
「確かに忌み枝や『深き茂み』は脅威ではありますが、充分考えられる事態ではないでしょうか」
ローラが不思議そうに尋ねる。
「そう思うのも無理ないなお。でもそれは『探し人』は普通の人だったらの話なお。『探し人』は醉妖花様の伴侶となる方なお」
「蟷螂みたいに『探し人』は生きたまま食べられちゃうんだけどな」
「蟷螂みたいにと云いますと、つまりアレの最中に
「そうなお、ナニの最中、食べられちゃうんだなお」
「まあ、話を戻しまして、つまり『探し人』はその気になれば『深き茂み』から自在に出ることが出来る力を持っているわけです。にも関わらず問題は『深き茂み』から出てこないということです」
「かじった記憶から分かることは、ある忌み枝が『探し人』の父親代わりになっていたということ。『探し人』が幼かったころからその力と美しさを利用しようとしたものから守っていたということです」
「ベルギア=シッソ、その忌み枝の名前です」
また暫くの間、投稿をお待ちください。




