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「お母様は悪役令嬢」  作者: 輝く泥だんご
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第38話 敵軍中央強襲突破

「無理を押し通すしかないですね」

瑚沼崎は息を整えると忌み枝に向かって突撃する。忌み枝は十分な余裕を持ち、瑚沼崎の頭部を狙って突きを放つ。

 その突きは瑚沼崎の頭部を完全に破壊するものの、残った首から下の身体はまだ動き、忌み枝の両腕を掴み拘束する。拘束する瑚沼崎の手は世界と共に壊れていくが、強引に復元させ忌み枝の動きを封じる。

「十分な時間だぜ」

忌み枝の動きを封じた時間で、ほたるは限界まで自身の永久尽界を削り、削った永久尽界をⅢ両刃双の大鎌の刃に顕現させることが出来た。そしてその大鎌を横薙ぎに振り、忌み枝の首を刎ねる。

 流石に忌み枝の永久尽界に傷がつく。本来であればその程度の傷は何ということはないのだが、ミントの永久尽界が修復するよりも早く傷に侵入し、増殖を始める


「厄介だな、これは」


 跳ね飛ばされた頭部は時間を巻き戻すように身体に戻るが、その間もミントの忌み枝の永久尽界での増殖は止まらない。中段回し膝蹴りで瑚沼崎の胴を爆散させるも瑚沼崎の胸部及び手腕はいまだに忌み枝の拘束を解かない。

 次の瞬間には忌み枝の胴が切断され、また忌み枝の永久尽界に傷がつく。当然ミントの永久尽界が侵入し増殖を始める。

 

「止めだぜ」


 ほたるが再び首を撥ねる。先と違うのは、大鎌の刃としていた、ほたるの永久尽界を全て、忌み枝のまだ侵食されていない永久尽界を切断する刃として振るったことである。

 切断された忌み枝の永久尽界は一挙にミントの永久尽界に侵食され遂に潰えた。


「益尾さんを再生させないと」

ミントはそういって瑚沼崎の残った身体の部分を集め、ほたるは、それでも足りない部分を忌み枝の身体をカットしてそれなりの形に整える。

 残った瑚沼崎の身体が人喰いをはじめ瑚沼崎の身体を再生していく。十数秒後には瑚沼崎の身体は完全に再生した。


「お陰様で助かりました。LP強化兵を食べていなかったら危ないところでした」


「これでmission1-2completeでいいのか?流石に疲れたぜ」


「魔薬組織の情報はGet出来なかったけど、あの強さの忌み枝が出てくるんじゃ今日はこれまでだなお。明日のことは明日考えるなお」


「甘いもの食べなきゃやってられないぜ」

在レイタニア・アラビリス領事館貴賓室で大量のお菓子を片端から食べながらほたるが云う


「確かに飲まなきゃやってられないお」

ミントはウィスキーをボトルから直飲みしながらほたるの言葉に合わせる。


「まあ、しんどかったですね」

瑚沼崎はこの世界では珍しい緑茶を貰っている


「合体してパワーアップは男の子の夢ではあるけどさ」

一通り食べ終わったのかほたるが云う


「首席補佐官が好きそうなものね。いい大人だけど」

青水晶水の入ったグラスを持ちながら月跡が苦笑いする。


「戦略の見直しが必要でなのではありませんか」

給仕をしながらローラが云う


「戦略ねぇ。瑚沼崎」


「はい、今までのアラビリスを中心に力を蓄える方針、戦略では確かに対応しきれないでしょうが、ですが仮定ではあるのですが」


 月跡が視線で先を促す。


「忌み枝の目的は何かということです。状況証拠ではありますが、忌み枝の目的は月跡お嬢様方の殺害のみではないかということです」


「ふーむなお。それはどうしてかなお?」


「現在に至るまで新アラビリス帝国は襲撃を受けていません。受けたのはお嬢様方のみ」

「このような事を申し上げるのも忸怩たるものがありますが、忌み枝一人で交易都市アラビリスを壊滅することが出来るでしょう。主力であるお嬢様方が交易都市アラビリスにいないのです。しかし、交易都市アラビリスは放置されたまま、襲撃対象はお嬢様方のみ」


「確かになー。二手に分かれるとかじゃなくて、3人合体して俺たちの相手だもんな」


「もし、そうであるとすれば、対策は単純です。単独行動をとらない。これに尽きます」

「そして相手の忌み枝ですが、合体して純化したもの、あれ以上のものは、そう現れないと思われます」


「ふむふむなお。それはどうしてかなお?」


「待ち構えていたのは3人であって4人ではないということです。流石に強かったですが、月跡お嬢様と戦うには力不足です。最初の一人のときに思い知ったハズですが、おそらく3人を超えると何らかの制限か、あるいは増加する力に対して消費する人数が見合わないのではないかと思われます」


「確かにあの3人が一緒になったものでも私一人で斃せるわね」


月跡は、静かに頷き、再びグラスの青水晶水を一口飲む。


「忌み枝たちの目的は何?」


「月跡お嬢様もお気づきでは無いかと思われますが、まず、事実として、この世界に来るまでは忌み枝の襲撃はなかった。そしてこの世界にお嬢様方が探している人物がいる。推測として、忌み枝たちはお嬢様方の殺害を目論んでいる。憶測として忌み枝たちはお嬢様方とお嬢様方が探している人物を接触させたくないのではないかと思われます」

緑茶を一口で飲み終わると

「あ、忌み枝たちが造っている組織を『深き茂み』と呼びましょう。彼らの正式名称で呼ぶのもいまいちですしね」


「確かにその通りでしょうね。とすればこちらのとれる対策はかなり制限されるわね」


「まあなー個別行動はとれなくなるし、ネリウムの子達の勢力圏外だし、如何すんのおっさん」


「…局面を打開する作戦はただ一つ、敵軍中央強襲突破です」

※明日も投稿予定です。

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