第31話 今の人生を生きろ
「おっおっおっぱいでっかいなおー。ずる過ぎるなお。直ちにミントちゃんにも血を吸わせろなお―!!」
「ミント、今、私の血を吸ったら、永久尽界ごと砕け散るわよ」
「というか嫌すぎる、元通りになれー」
再度元素置換、というよりも存在置換を行うほたる。而して
「ふ、戻れたぜ。ビビらすなってーの」
「えーもったいなくないのかなおー」
「云っとくが俺は元男だ」
「元男なお、いい加減今の人生を生きろなお。なんかミントちゃん云いこといったなお」
「あの変態に女として見られるくらいなら死を選ぶわ」
姦しさMAXのところ、パンと瑚沼崎が手を打ち、
「まずは、私たちの強化成功、いえ、永久尽界の深化は上手くいきましたが、これだけで忌み枝に対抗可能とは考えない方がよろしいのではないでしょうか」
「どうしてそうおもうなお」
首を傾げ得ながらミントが聞く
「徒党を組んでいる。それも忌み枝同士で。その可能性がかなり高いとミントさんも感じているのではないですか」
ミントは苦笑いしなら
「まあ、そんなところでしょうね。無駄なあがきをと云いたいけれど、殺された私がいえることではないわね」
「といっても対応策はどうするんだ?思いつかないぞ?」
「やはり組織には組織をですかね、統率された数は力になります。アラビリスを本拠地として力を蓄える既存の方針で構わないでしょう」
「と云う訳でローラちゃん達にはお世話をかけるなお。その分、お給金、期待してもらっていいよなお」
「いいえ、ミント様には、返せないほどの恩がありますから」
「さっきから思っていたんだか、ローラちゃんさらに美人になってないか?」
「そりゃそうなお、ミントの永久尽界が強化されたなお。ミントの眷属のネリウムの子たちも全員強化されたなお。美人度UPはその影響なお」
当然のことという風にミントは云うが、それに対し
「全員ってそりゃチートじゃね」
「眷属ってのはそういうものなんだなお。逆に主人が弱体化すれば眷属全体も弱体化するんだなお」
「まあ、アラビリスの強化につながりますので丁度いいのではないですか。それではまた馬車に乗って頂けますでしょうか。目的地まではまだかかりますので」
ローラは御者席に、月跡達は幌付きの荷台へ乗り移り、月跡は藁の上にシーツを引いた簡易ベッドに横になり、ミントとほたるは空きスペースへそれぞれ移動する。
目的地はドゥスクロディア連邦王国だっけ」
「そうなお。幾つか他国の聖地都市を経由する必要があるなお」
「あれ、おいちゃんはのらないのかなお?」
「はい、ローラさんと御者を交代しようかと、必ずまた忌み枝が襲ってくるでしょうし、その方が都合がよいでしょう。ミントさんからもローラさんに云ってくれませんか?」
「OKなお。念話飛ばすなお『ろ-らちゃん、ますおのおいちゃんとこうたいするなお』
『だいじょうぶなお。ますおのおいちゃんなら、よどおし、ひるよるなくぎょしゃやれるなお。うまもとくべつせいで、このていどのいどうそくどなら、きゅうそく、すいみんいらないなお、きせい?ちょうかきんむ?ろうき?あいごほう?みんとよくわかんないから、みんとしらないなおー♡』」
「念話終わったなお」
決め顔で決めたミントに対して
「超弩ブラックだな。マジで」
そのほたるに対して瑚沼崎は
「いえ、このままの移動を続けるのであれば、その方がいいですね。時間を余りかけたくありません。襲撃イベントは少ない方が良いでしょう?」
と云うとローラと交代するために御者席に向かいローラから手綱を受け取った。
「ローラちゃん早くこっちに来るんだなお。渡すものがあるんだなお」
そう云われるままに荷台のミントのところまでローラが来ると
「はい。ローラちゃんにも冒険者証なおLvは290なお。ちなみにローラちゃんのホントのⅬvは2018まであるけど、忌み枝はもっとずっと強いから戦うのは禁止、いいわね」
「ホントに分体だけあってずるいほど強いからな忌み枝は。まあ今度は殺すけど」
寝そべりながら『Ⅲ両刃双の大鎌』くるくる縦に回しながらほたるが云う
「娼館に入って『淀み』や『深み』を知って、色々解ったつもりでした。けど、世界にあんなのがいるだなんて」
「ある程度大きな世界にはいるのよ。焼いても焼いても、滲み出てくる。そういうものよ」
「自然発生しないだけゴキブリの方がましなお」
「忌み枝で一杯の惑星とかあるかも知れないな。うっ、想像しただけで最悪だぜ」
「これ以上、忌み枝の話を続けても仕方ないわ。何かあったら起こして頂戴」
「そーだなーオレらも休むか」「ミントもそうするなお。ローラちゃんも一緒に休むんだなお。あとはおいちゃんに任せて大丈夫なお」「では私も失礼いたします」
※明日も投稿予定です。




