第27話 PANDEMIKKU
〜アラビリス建国記〜
アラビリスの空にみつらぼしが輝く、輝きは帝国の淀みを照りだす。みつらぼしに集う星星地に降り注ぎて淀みを打ち抜き戦乱を起こすも星の威光に適うものなし。皆々剣を捨て天を仰ぎみつらぼしの慈悲を乞う
〜アラビリス建国記〜
アランが任された国、ルエン王国へは文字通り正面からの強行突破を行った。この時点でアランのLvは4534まで達し、アランが得た本質『耐えられるものはすべて無害』の解釈の拡大と徹底をおこねるようになっていた。つまり食事も睡眠も耐えられれば無害つまり数週間は不要とすることができた。
国境の検問所は夜間閉ざされていたものの、シールドチャージLv3555、要塞砲の直撃を上回る威力で粉砕しルエン王国首都へと進軍した。道中の抵抗はほぼない。月跡がルエン王国軍の主力をこんがり焼いたためである。が、ルエン国首都を目前にして5人の騎士がアランの行く手を塞ぐ。
「私はみつらぼしに集うアランというもの。親書を直接国王にお渡ししたい」
「みつらぼしが我らがルエン王国に対した非ど
「国王以外に渡してもよいのですよ」
あっさりとアランは言い放った。そのとおり遺恨がある者よりない者のほうが都合が良い。
さらに
「今のルエン王国はみつらぼしに敵対する意思ありとみなしてよいのですか」
続けて
「時間はそう残されていません。敵対ではなく協調の決断を」
アランが云い終わるか否か、5つの剣閃がアランを襲った。
が、特にアランは何もしなかった。アランには能力感知のスキルの類は持っていないが、相対すれば彼我の力の差は経験と血の力で漠然と分かるようになっていた。この5人は人間としては圧倒的な強さ、Lvで云えば1500はあるだろう。しかし
「無意味どころか悪手ですよ」
それでも剣撃は止まらない
「仕方ないですね」
結局5人を殴り倒した。本気で殴ると血煙に変えてしまうので力加減にはかなりの注意を払った。
「それにしても何故襲ってきたのでしょうか。現国王を引きずり落としたいとしか考えられません」
「どうなんです。正直なところお聞かせ願いませんか」
「そのとおりだよアンデッドの化け物。今回の出兵で現国王の求心力は貴族、民を問わずもう残ってはいない」
5人の騎士の中で最も年かさの騎士が回答する。
「そうですか、では親書をあなたに預けますので最もふさわしいとあなたが判断した人物に渡してください。むろんあなたがというのでも構いませんよ」
「本気で行っているのか?」
「よそ者が決めるよりも内情を知っている人物が決めるべきです。それと面倒くさいというのもあります」
「ですが慎重に、みつらぼしの方々は容赦がありませんから」
「此度の戦で重々身にしみている。実際に焼かれたからな」
「と私はこんな感じでしたが皆さんはどうでしたか」
酒店ネリウムの会議室にみつらぼしに報告するため集いし星(元緋色の死)たちが集まる。
「そこまでひどくはなかったけど退位するって」
「私のところは王家としては押し切られて出兵したから粛清に使うって」
「俺のところはマーガレットと同じ有力貴族の粛清だなアイリーンのところはどうだった?」
「アタシだけ2カ国周りさせられたのか。まあ別にいいけどよ。うちは正反対だったな。1つ目は反乱軍に渡してきたし、2つ目は出兵をほとんどしなかったんだな、裏で騒ぐ連中はいたけどそのまま皇帝とやらに渡してきたよ」
「皆よくやったなお。問題の半数はこれで片付いたなお。ちなみにネリウムの子たちの徴募は開幕20割まで確保できたなお。意外とこの国腐ってたなお」
上座に座っている月跡が
「ホタルと瑚沼崎は帝国侵攻を進めているわ。作戦名は『PANDEMIKKU』だそうよ」
「ううむ戦後統治できるのか心配になってきたんだなお」
「20人中1人感染させれば充分と言っていたから大丈夫でしょう。戦後は瑚沼崎だらけが瑚沼崎だけになるのよ。アイリーンたちにも恩恵があるのではなくて」
そんな話をしていると時空が6フィートほど裂け、ホタルがⅡ両刃双の大鎌を担ぎながら会議室に入って来た。
「いや〜すごかったぜ、前後左右みな瑚沼崎のおっさんだぜ」
「まあ、聞いてくれ、最初はおっさんの血肉の飛沫で感染させて眠らせるんだよ。昏睡状態にな。そしたらバリバリ喰うんだよ。そして食った分大きくなったら分裂するんだよ。どっちもおっさんだから繰り返し食っては増え、食っては増えるんだよ。いや〜イケてるぜ!」
「やっぱり心配になってきたなお」
「大丈夫だって、もう増える段階は終わったんだし、だから帰ってきたんだけどよ。帝国もあと少しの運命だな」
「ミント、連合王国と帝国は私達の統治下に入るわ。統合し、新アラビリス帝国建国の準備に入りなさい」
「ネリウムの子たちに特別手当お願いいしますなお」




