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第二話 出会い

「卓也、今日は外出するぞ」

 

 日曜日。


 『組織』の術者であり、幹部でもある人間が自分の子どもに声をかけた。


 いつもなら一日中訓練をするのだが、今日は父の一言から出かけることになった。



 声をかけられた子どもの名前は卓也。

 両親から『術者』としての才能を引き継いだ十歳そこそこの少年だ。


 卓也の父親は時々『組織』の関連施設に連れて行くことがある。

 それは、卓也がいずれ『組織』の一員になることを見越しての行動であったが、今の卓也には分からない。

 ただ、訓練がどこかの施設の見学になった。

 それだけのこと。



 卓也は父親に連れられて、ある施設に入って行った。

 そこは、一見すると病院にも思われる建物であるが柵に囲まれており看板もでていない。


 父親は、慣れた様子で卓也の手を引き建物の奥に入って行った。


 二人は奥にある一室に入って行った。

「お久しぶりでございます。お元気でしたが」

「それなりにな」

「そちらが、息子さんですね。こんにちは」

「はい、こんにちは」

 部屋の中で二人を迎えてくれたのは、白衣を着た中年の男性だ。

「それで、少しご相談があるのですが…」

「解りました。卓也これで入れる所なら入っていいから、建物内を見学していなさい。後で迎えに行くから」

 白衣に男性が卓也に視線を向けると、父親はカード型の自分のIDを卓也に渡し、退出させた。

 卓也も、ここにいてはいけないのだと判断し、無いも言わずにIDを受け取った。


 卓也が部屋を出た直後から中から話し声が聞こえ始めたが、卓也はそこに留まらず気の向く方へと歩いていった。

 どれほどあきらめていても、卓也は子どもなのだ。



 卓也が幾つかのドアに入り、幾つかのドアに拒絶されて行き着いた先は、地下にある研究施設であった。


 卓也はカードを通すスキャナーはついているが、ドアが半開きになっている部屋にスッと入って行った。


 その部屋には所狭しと様々な機械が置かれていた。


 卓也には用途のわからない物ばかりだ。


 その機械はその全てが、中央にある『筒』に繋がっている。

 『筒』は人が一人入れそうな…入っていて、紫色に見える液体に満たされてる。

 『筒』の中に入っている人間は女性だ。

 卓也は部屋の中を見回した。

 部屋の中には二、三人の白衣を着た人間がいるが、卓也の侵入に気が付いた様子は無い。 


 卓也はゆっくりと『筒』の方へと向かって行った。

 卓也は手を伸ばせば届くほどに『筒』に近づくと、中にいる女性を見上げた。

 女性は体中をコードでつながれており、長い髪はゆらゆらと液体に揺らめいていた。

 そして、卓也が一番目に付いたのは女性の右肩にある僅かに光を放つ勾玉(まがだま)だ。


 卓也はただ見上げていた。


 どれほどの時間がたったであろうか、卓也の背後に人の気配がした。


「見つけるのに苦労したぞ。無意識に気配を消したか?」

「あなたの息子さんらしいですね」

 卓也の背後に立っていたのは、父親と父親と話をしていた白衣の男であった。

「父さん、この人を笑顔にするにはどうしたらいいのですか?」

 卓也は二人の呼びかけには答えず、問いかけた。

「どうした?卓也」

 父親は息子の横に回りこみ、目線を合わせた。

「だって、この人悲しそう…」

「その子、面白いこと言いますね。コレは人形。心なんてありはしないんですよ」

 卓也の問いに答えたのは、部屋にもともといた人間だ。

「なぜそう言いきれるんですか?」

 卓也は答えた人間に向き直った。

「君みたいな子どもはまだ知らないだろうけど、コレは初めて作ったモノじゃないんだよ。何体か外に出したけど、感情なんて無かったんだよ」

 その人間は、卓也を見下し『筒』の女性をモノとしての言葉を発した。

 周りにいる人間、卓也や父親を含めて何も言わない。

 しかし、口調に対してだろうか父親は少し顔を顰めた。

「それは、今までの、過去のデーターですよね?これからはわからない」

 卓也はその人間に対する態度を変えずにそう言い放つと、ドアの方へ向かっていった。

 父親と父親と話をしていた白衣の男は、その後に付いて行って、部屋を出て行った。


卓也が設定では八歳のつもりなんですが、まったく子どもっぽくない…

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